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簡単に金額で表すことのできない切実な「被害」


人口減少と高齢化。そこに襲い掛かる更なる被害。それは野生動物による被害です。
野生動物と聞けば、みなさんはどんな動物をイメージをするでしょうか。都市部に住んでいるときは「野生動物」と聞いても、「?」とあまり思いつきませんでした。馴染みがありません。篠山に住んでからも、私が思い浮かんだ野生動物はシカやイノシシだけでした。つまりジビエのことです。都市部ではなかなか食べられない珍しいお肉。江戸時代にはモミジやボタンと呼ばれ、丹波篠山の特産にもなっています。そして私は「野生動物は食べるために獲られているだけだ」と思っていました。もちろん食用目的での捕獲もありますが、実際は甚大な被害が起きているのです。

獣害問題と現状

獣害の「獣」はシカ、イノシシ以外に、クマ、サル、タヌキ、アライグマ、アナグマ、ハクビシンなど、大型から小型まで様々な哺乳類を指します。

 アライグマも?!と驚かれましたか?そうなんです。1970年代にペットとして人気がでて輸入されましたが、見た目とは裏腹に荒い気性で、犬や猫のようには人になつくことが難しいそうです。繁殖したアライグマが野生化し、今では特定外来生物に指定されています。雑食で何でも食べてしまい、畑を荒らしたり家屋に入ってきたりします。

可愛いからと近づくと、大変な目にあります。。

野生動物による被害の事を一般的に「獣害」といいます。
そしてその「害」には大きく分けると3つあります。

農作物への被害


 一つ目は、『農作物被害』です。被害総額は全国で年間約156億円(令和4年度)にものぼります。農作物は収穫するまでが大変です。例えば、全国的に有名なあの丹波篠山の黒枝豆と黒豆。ふっくらした大粒の豆をつくるために4月の発芽からスタートします。夏の酷暑や台風を乗り越えてやっと大きくなった枝豆を野生動物は好んで食べます。一口でも野生動物に食べられてしまうと売り物になりません。

サルにより食い散らかされた枝豆。

自家用菜園に対する食害


二つ目の被害は、『自家用菜園に対する食害』です。
さともんの鈴木代表にお話を聞きました。
「農村生活において、自給自足は醍醐味です。たとえ販売目的ではなくても、昔から農村のそれぞれの家庭で日々の食卓を潤してきた生活の一部であり、また地域の高齢者の「楽しみ」「生きがい」を育む場です。獣害によって繰り返し荒らされることにより、自分の畑で収穫するというささやかな喜びが失われている状況が生じ、これまで耕し続けた畑を手放す農家が増えています。現場では「こんなところに住みたくない」という悲しい言葉を耳にすることもあるなど、といっても過言ではありません。簡単に金額で表すことのできない切実な「被害」があります。

作物を育てるのには手間も暇もかかります
サルにかじられたスイカ。甘くなければ次々に手を出していくので、被害が拡大します。
イノシシに踏み倒された稲

日常生活への支障

 
最後の「害」は、集落内に野生動物が出没することで受ける日常生活の影響や精神的な害です。森林の中で餌を探し求めて歩き回る野生動物にとって、農作地で育てられる作物はとても魅力的な栄養源に見えます。
そして繰り返し集落などの人の生活空間に出没するようになります。昔は彼らも人に遭遇することを避けていましたが、だんだんと人や集落に馴れてくると、警戒をゆるめ人を恐れなくなってしまいます。たとえばサルなどは家屋に浸入したり、人を威嚇したり、器物を損壊することもあります。
アライグマやイタチなどが屋根裏に住み着いたり、最近ではクマによる人身被害も大きなニュースとなっています。

賢くて身体能力が高く手先の器用なサルは、屋根に上るなどして高い場所のものも容易に手に取ります。

 獣害はこのように、農業への経済的なダメージ、個人の希望ある暮らしへの脅威、家屋への損害や精神的な問題など、大きな問題になっているのです。

人口減少、高齢化、獣害と問題 これらの問題が非常に複雑に絡み合っており、もはや住民だけでは問題が解決できない。。。

となっていたころに、さともんと川阪地区が出会います。
気になるさともんについては次の記事に続きます。


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