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【哲学読書の勧め】15年ぶりにあった先生に叱られた

叱られた……

 なんとなく憧れていた先生と食事をする機会をもらった(彼は社会的にも随分偉い人になっていた……)。神田だかどこかの、古民家みたいな風情のあるアンコウ鍋の店だった。
 僕は、何やら複雑な味の鍋を突きながら、そこで年甲斐もなく叱られてしまった。曰く、「君は15年前から使う言葉が変わっていない」。すでに酒で出来上がっていたのにも拘らず(アルコール依存症なのだ……)、頬を打たれたような衝撃を受けた。「感性だけで生きているように見える」とも言われた。

 僕は僕で様々な経験をして、色々な学びを得てきたつもりだった。光合成とかに詳しくなったし、マネジメントの勉強もした。が、語彙力が変わっていない。それを15年ぶりに会った先生に、すぐに看破されたのだった。ここでいう語彙力とは使う言葉の多さや難しさのことではなく、持っている概念や思想のことを指しているのだと思う。例えば、「戦争ってなんかダメだよね」くらいのことしか言えないみたいに。

 別にそれで生きてきたし、それで生きていっても良いのだけれど、ただ僕は自分が馬鹿であることを認められないタイプの人間なので、その頃からもう一度本を読むようになった。自分の中の概念を増やすためだ。思想は思考して言語化……つまりアウトプットしないと増えない。概念は、生み出すこともできなくはないかもしれないけど、いろんな人がいろんなことを言っているので、それをインプットするのが手取り早い。
 そして「哲学」というのはどうも様々な概念を生み出す学問のようなので、哲学書を読むのが近道の中の近道だと考えたわけだ。というわけであれから何冊か本を読んでいるのですが、そのうちから4冊だけ……僕と同じく概念を獲得したい人に読書を勧めます。

おすすめの本

実存からの冒険 - 西研

 先生に読むことを勧められた本。実存主義の哲学者についての本で、特にニーチェ、ハイデガー、フッサールあたりを論じていた。僕はこの本に生きる勇気をもらったので圧倒的にお勧め。
 人生は冒険だ、ただ心が踊る方に向かうしかないのだ。そういうメッセージを受け取れる。この手の本で初めて泣いた。

知識ゼロでも楽しく読める! 哲学 - 青木滋之

哲学マップ - 貫成人

 僕は哲学マップから読んだけど、知識ゼロでも〜の方が圧倒的にわかりやすい。まずそっちで一周さらって、そのあとで哲学マップを読むと良い気がします。この手の入門書はたくさん読むのがおすすめ。いろいろな見方があるんだなあ、というのもそうだし、いろいろな方法で何回もインプットすることで次第に概念を理解していくのを感じる。

はじめてのスピノザ 自由へのエチカ - 國分巧一郎

 スピノザの入門書。上のとはまた別の、四冊目の哲学史についての入門書を読んでスピノザに興味を持ったので読んだ(このように四冊目で初めて興味を持つことがある、というのも入門書は複数読むのが良い理由かもしれません)。すでに二つ記事を書いていますが、自分の中の自分であろうとする力conatusに従って生きることを勧める思想。

 とにかく今はいろいろな概念を仕入れていきたいと思います。すでに脳はアルコールで随分萎縮している感じもするが……まあその与えられた条件の中で、今ここで、今ここから、どうやって生きるのが最も心が躍るのか、ということだと思うので、概念欲しいな、と思ううちは、明日も本を読みましょう。

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