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「自分らしさ」はいらない【読書録】

「自分らしさ」はいらない くらしと仕事、成功のレッスン/松浦弥太郎著

松浦弥太郎さんの生き方、考え方が好きで、いくつかの本を読んできた。
この本は惹かれ、題名に惹かれて手にしたもの。
個が大切にされ、「自分らしく生きよう」ということをよく聞くようになった。その中で、松浦さんが言う『「自分らしさ」はいらない』という表現に強く興味を持ち、その真意を知りたいと思ったからだ。


本書が提唱しているのは、「心で考える」ということ。
日々、仕事や暮らしをしていると、ついつい頭でばかり考えて判断をしていることが多い。頭で理論的に考え下す決断と、心で考える「私はどうしたいか」をうまく使っていくと、自分のためにも他人のためにもいい決断ができる。

「自分らしさ」を大事にするうちは、自分中心でこれまでの自分の経験した範囲でしか考えることができないであろう。「自分らしさ」を捨てることで、心が解放され伸びやかに心で考えられるようになり、新たな挑戦もできるようになる。
心を働かせるエンジンは、感受性と想像力、愛情である。

心で考えることは、仕事でも、くらしでも大切であると言う。
仕事では、誰かのためにしているものであるはずなのに、ついつい誰かのためでなく仕事をしたり、どうやったらいいのかなと悩んではいてもそこから先にいけなかったりということがある。商品やサービスは、届けられた人が、嬉しいや役立つかなど心を動かす行動が成果になるので、作り手は心を動かし相手の立場になることが重要である。対等なコミュニケーションを行うことが大切。
くらしにおいても、なんでなんだろう、どうやったらよくなるんだろうと、素直な気持ちで考えることで、新たなよい方法が見つかることがあるだろう。

松浦さんのやさしい文章は「つねに読み手のことを考えているから書ける」という。それは、読んでくれる人が知らない人で不特定多数の人であっても、彼らを愛していて、「自分が愛している人のために文章を書いている」のだと。
愛するということも、心をつかうこと。愛することは、次の5つから学ぶことができる。
①愛するのが上手ではないと知る。
②とにかく人と触れ合うこと。遠い国の争いも他人事ではなく心を寄せる。
③相手がしてほしいこと、困っていることを推理する。
④自分にできる限り、人を愛する。思いやりや親切を周りの人に与える。
⑤与え続ける。


仕事、くらし、日々を過ごしていると、「何でやっているんだろう」という淡い違和感がありつつも、自分に気づかないふりをして、頭で考えて行動して、その場では乗り切れるが、後々苦しめられた経験がある。これは、心からはヘルプが出ていたけれど、頭では立ち止まる余裕がないと判断してしまったから。小さなことが積み重なって、心と身体が疲れてしまった。
元も子もない。

日頃から「心」で考えることを意識して、自分にも他人にもよい状態を生み出せるようになりたい。そのためのヒントをたくさんいただけた。



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