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筋トレのコツ20:様々な目的で行う「コンバインドトレーニング」の特徴

この記事では筋トレを続けていく上で重要になるコツの中でも、『コンバインド・トレーニング』の特徴についてまとめています。尚、具体的なトレーニングの方法については省略しています。あくまで「考え方」だけです。


「コンバインド・トレーニング」とは?

何らかの能力を向上する事を目的として行うトレーニングには、

・筋肥大や最大筋力の向上を目指すレジスタンス・トレーニング
・筋肉の収縮速度や神経系の機能向上を目指すスピード・トレーニング
・筋持久力や全身の持久力の向上を目指すエンデュランス・トレーニング

という大まかな分類があります。

一方、今回説明する「コンバインド・トレーニング」とは、簡単に言えば、それらのトレーニングの要素を、複合して行うトレーニング法の事を言います。

尚、明確な基準で分類されている訳ではありませんが、目的によって、トレーニングの方法は大きく変わります。

下記ではそれぞれの特徴について簡単に説明していきます。「コンバインド・トレーニング」という名前は聞いた事がなくても、行う目的を考えれば、何となくイメージはできると思います。


「サーキット・トレーニング」とは?

「サーキット・トレーニング」とは、様々な種類のトレーニングを組み合わせて、制限時間内に、それを順番に行っていくようなトレーニング法の事です。コンバインド・トレーニングの中では、最も一般的に認知されているトレーニング法かもしれません。

その方法を簡単に説明すると、例えば1回の実施には「数十分間」の制限時間を設け、その制限時間を数秒~数十秒あるいは数分ずつ区切ります。また例えば10種目のトレーニングがある場合、その数十秒間の区切りの間に1つのトレーニング種目を行うようにします。そしてそれを終えたら、数秒~数十秒間休憩し、再び同じように数十秒間の間に1つのトレーニング種目を行います。

そうして10種類のトレーニングを休憩と交互に行い、順番に回っていき、制限時間いっぱいまで繰り返します。これがオーソドックスなサーキット・トレーニングの方法で、続けて行う事で、有酸素運動のような効果が得られます。

ただしサーキット・トレーニングでは、一つ一つのトレーニング種目の強度によって、運動強度には「極端な差」が生まれます。

つまり一つ一つのトレーニング種目の強度が高ければ、心肺機能を高める「インターバル・トレーニング」のような効果も得られますが、あまりに強度が低いと、今度は逆にただの「作業」になってしまいます。

よって「サーキット・トレーニング」を適切に実施するためには、「今の自分の体力に合った方法」で行う必要があります。例えばスポーツクラブなんかでは、大人数でまとめて行う事が多いのですが、強度設定が上手くできていないと、期待した効果が得られない可能性があります。


「クロス・トレーニング」とは?

「クロス・トレーニング」とは、特定のスポーツを行っている人が、そのスポーツにおけるパフォーマンス能力を向上させていく際、「そのスポーツとは全く異なるスポーツの要素」をトレーニングに取り入れて行うトレーニングの事を言います。

例えばラケットを使うスポーツならバドミントンとテニス、格闘技ならボクシングと空手、投てき競技なら野球とやり投げ・・・というように、例え違うスポーツであっても、近い動作を行うスポーツはたくさんあります。そのため、それぞれの近い動作をトレーニングに取り入れる・・・という事は十分にあり得る事です。

一方、クロス・トレーニングでは、本当に全く別のスポーツの動作を、そのトレーニングに取り入れます。つまり例えば格闘技をやっている人が、天井から吊るされた綱を腕の力だけで登るとか、タイヤを引くとか、タイヤをひっくり返すとか、そういう事をトレーニングとして行う訳です。そう聞くとテレビで見た事がある人もいると思います、あれですね。

他所から見ると「そんなトレーニングをして何の意味があるの?」と思えるようなトレーニングも中にはありますが、人によってはそれを行う事で、例えばリラックス作用や新しい刺激が得られたり、頭の体操になったり、あるいは単純に基本的な筋力・スピード・筋持久力の向上になったりする事があります。


「コーディネーション・トレーニング」とは?

「コーディネーション・トレーニング」とは、いわゆる「調整力」を鍛えるためのトレーニング法の事です。

この「調整力」というのは、簡単に言えば、「体を隅々まで細かくコントロールする能力」の事です。つまりコーディネーション・トレーニングでは、細かな動作、あるいは複雑な動作を正確に行うために、神経系を刺激する事を目的として行います。

尚、調整力を高めるためには、できるだけ多種多様な動作を行った方が良いです。なので、「コーディネーション・トレーニングの際に行う事」には特に制限がなく、前述した「クロス・トレーニング」のように、他のスポーツの動作を取り入れる事もあります。


「ファンクショナル・トレーニング」とは?

「ファンクショナル・トレーニング」とは、いわゆる「機能性」を高めるためのトレーニング法です。簡単に言えば、「実際に行っているスポーツの動作」における「効率」を高めるためのトレーニングの事です。

例えば特定の動作を反復し、その動作をスムーズに行えるようにフォームを改善していったり、筋力・スピード・持久力を効率良く使えるような体の動かし方を覚えたり、怪我からの復帰あるいは予防などを目的に、体への負担を抑えるような体の使い方を学んだり・・・などといった目的で行います。


「スタビリティ・トレーニング」とは?

「スタビリティ・トレーニング」とは、いわゆる「安定性」を高めるためのトレーニング法です。

この「安定性」とは、簡単に言えば、体が上下・左右・前後にブレないようにする事、あるいは体がそうしてブレた時に、体の状態を元に戻すための「バランス能力」の事です。それを高める事を目的として行います。

例えばバランスボールの上でバランスを取ったり、バランスディスクに片足で立って、誰かに体を押してもらったり、などのトレーニング法があります。

尚、バランスを取るために必要な筋肉、例えば腹筋や背筋などを鍛えるようなウェイトトレーニングも、このスタビリティ・トレーニングには含まれています。


「アジリティ・トレーニング」とは?

「アジリティ・トレーニング」とは、スピード・トレーニングの中でも、特に「敏捷性」を高めるためのトレーニング法の事を言います。

この「敏捷性」とは、単に素早く体を動かす事ではなく、「できるだけ正確に」素早く動かす能力の事です。つまり「スピード」よりも「コントロール」が先に来ており、それを高める事を目的にして行います。例えばラダーで素早くステップを踏むというようなトレーニングが考えられます。

尚、そのように「コントロール」が先にあるので、例えば常に一定のリズムを保って動作を行うようにする事で、疲労が蓄積した状態でも、素早い動作を正確に行う能力を高める事ができます。更にその際の集中力を高める事もできます。


「クイックネス・トレーニング」とは?

「クイックネス・トレーニング」とは、スピード・トレーニングの中でも、特に「俊敏性」を高めるためのトレーニング法の事です。

この「俊敏性」は、簡単に言えば、「何かのきっかけ(五感から得られた情報)に対して、瞬時に状況を判断して反応し、素早く体を動かす」という意味があります。つまりそれを意識してトレーニングを行います。

例えば誰かの動作、光、音などを合図に、特定の動作を素早く行ったり、ボールをランダムに投げてそれをキャッチしたり、といったイメージです。


「SAQトレーニング」とは?

SAQは「スピード(S)」、「アジリティ(A)」、「クイックネス(Q)」の頭文字を取っています。

この内、「スピード」は単に素早く動く事、アジリティはスピードをコントロールする事、「クイックネス」はスピードを活かす事を意味しています。

つまり「SAQトレーニング」とは、総合的なスピードの向上を目的として行う「専門的なスピード・トレーニング」の事を言います。スピードを高めるためなら、とにかく何でもやります。ただし最終的には実際のスポーツの動作に到達させる必要があります。


「プライオメトリクス・トレーニング」とは?

筋肉は勢い良く伸ばされた時、反射的に縮む性質を持っています。これを「伸張反射」と言います。

特にこの伸張反射の後に、意識的な収縮をタイミング良く行う事で、反射的な収縮が勢いとなり、効率良く筋力を発揮する事ができます。その連動性を高めようとするのがこの「プライオメトリクス・トレーニング」です。

方法としては至って簡単で、筋肉を勢い良く伸ばした後、瞬間的に収縮するだけです。その理屈さえ分かっていれば、一般的なウェイトトレーニングでも行う事ができます。ただし注意点などもあります。詳しくはいずれ記事にしようと思っています。


「バリスティック・トレーニング」とは?

「バリスティック・トレーニング」とは、筋肉を瞬間的に収縮させ、いきなり最大筋力を発揮した後、次の瞬間には脱力するように行うトレーニング法の事です。特定の筋肉で行う場合もあれば、全身で行う場合もあります。

前述のプライオメトリクス・トレーニングと少し似ていますが、そちらは「筋肉が勢い良く伸ばされた後、その勢いを利用して収縮する」ようなトレーニングです。

一方、こちらのバリスティック・トレーニングは「完全に脱力させた状態から、瞬間的に最大筋力を発揮させ、次の瞬間には完全に脱力させる」というようなトレーニングであり、筋肉の収縮のさせ方が異なります。


「ホリスティック・トレーニング」とは?

「ホリスティック・トレーニング」とは、瞬発的なトレーニングを行った後、持久的なトレーニングを行い、それを交互に繰り返すようなトレーニング法の事を言います。

これにより両者のトレーニング効果を得ながら、インターバルを短くする事ができ、短時間で効率的にトレーニングを行おうとします。また筋力と筋持久力をバランス良く鍛え、パフォーマンスを向上する事を目的とします。

ちなみにウェイトトレーニングで行う場合、単に「ホリスティック法」とも呼ばれます。一方、ここで言う「ホリスティック・トレーニング」は、「トレーニング効果を最大限に引き出すためのコンディショニング法」として提唱されている「ホリスティック・コンディショニング」とは別の意味になります。


「スプリント・トレーニング」とは?

例えば速く走るためには、歩幅の大きさと足の回転、そして地面からの反力を活かすための減速のない着地が必要です。またトップスピードに至るまでの過程や、トップスピードに至った後の体の使い方なども必要です。もちろんそれを行うための基本的な筋力や神経系の機能も必要になります。

つまり「スプリント・トレーニング」とは、それらを総合的に高めて、短時間における全力運動時の「スピード」を高めるためのトレーニング法の事を言います。前述の「SAQトレーニング」と似ていますが、こちらは単純な「直進力の向上」を目指します。

ちなみにこの「スプリント」という言葉は、基本的には速く走る、速く泳ぐ、速く滑る、速く漕ぐなどを要するスポーツ、あるいはそのような動作の時にピンポイントで使われます。

それ以外の場合、前述の「SAQトレーニング」が使われる事が多いです。まぁそこまで厳密に区別されている訳ではないですし、そもそも区別する意味もないんですけどね。




以上です。何かのお役に立てれば幸いです。

「サポート」とはチップのようなものみたいです。頂いたチップは食品やサプリメントなどの検証に活用させていただき、後日記事にしたいと思います。