立ち飲み屋で0次会からの、鉄板焼きからの、焼き鳥からの、〆はカラオケ。
「あけおめ〜」
「あけおめ〜」
「また飲みに行こうよ〜」
「じゃあ2月頃ね〜」
数少ない高校の頃からの友人とご飯を食べに行った。私は友人が少ない。その中で継続的に連絡を取り、定期的に会う高校生時代の友人は二人くらいしかいない。彼女はその二人のうちの一人。気の置けない貴重な友人だ。
高校生の頃は同じような環境にいた友人たちも、仕事をし結婚をし子育てをし、引っ越しをし、色々な人生の段階を経て、少しずつ疎遠になっていく。共通の話題も減り、昔の記憶は朧げになる。
けれど、定期的にコミュニケーションをとる友人であれば、その段階を共有していることが多い。全く違う道にいて普段は交差しない人生が、定期的に交差し、思い出を作ってくれる。一人で歩いている狭い道が、いろんな人たちと交差することで、広く複雑に、そして豊かなものになるのだろう。
その日の昼過ぎ、LINEが入った。
(仕事が忙しくて、遅れるかも〜)
(オッケー。適当に暇つぶしとく〜)
約束の店は、福岡市南区、西鉄大橋駅近くのこうね大橋店。
大橋駅周辺に美味しい立ち飲み屋があるとリサーチ済みの私は、暇つぶしに一杯だけ飲んでいこうと立ち飲み屋に寄ることにした。
大橋駅からすぐ近くにある酒屋の奥に、角打ちがある。ここのイカウニが絶品とのことで、早速、店に入ってみた。たくさんのお酒が並ぶおしゃれな酒屋の空間の奥に、カウンターといくつかのテーブルが並べられた綺麗な角打ちがあった。
すでに常連客と思われる方達が、美味しそうにお酒を楽しんでいる。
「いらっしゃいませ〜」
店主が私に気づいた。
「初めてなので、システムがわからないんですけど、一杯いただけますか?」
私がそう言うと、常連客の方達がこのお店のシステムやおすすめを教えてくれた。レジで1,200円を支払い、10枚綴りのチケットを受け取る。チケット制だ。
ハートランドビールがチケット3枚というお得感!
私はあまり来れないし、せっかくなのでと、その日おすすめのクラフトビールをいただいた。
TOKYO BLUES セッションエール。
綺麗な黄金色をしたエールタイプのビール。はじめに柑橘系の爽やかな香りが鼻を抜ける。飲み終わると舌に残るのは、ガツンとした苦味。おいしっ!
クラフトビールはこうでなきゃという個性的なものを感じた。
イカウニはサクサクとした鮮度の高いいかに、しっかりとウニが絡んで、これまた美味しい。他のおつまみもたくさんの種類があり、どれもチケット2〜3枚とお得。
すでにイカウニに3枚と、ビールで7枚のチケット、合計10枚を消費していた私は、これが0次会であることを思い出し、クラフトビールとイカウニで自分を満足させて店を後にした。
常連さんたちが、またおいでね〜。また飲もうね〜と手を振ってくれて、心地良い空間だった。
そして私は待ち合わせの時間の少し前に店に入る。
本店が福岡市中央区薬院にある鉄板焼き屋さん。鉄板焼きと広島のお好み焼きが楽しめるお店。
飲み放題のコースもあるけど、好きなものを食べたいし、好きなものを飲みたいよねということで、今回はコースはなしで。
最初にピクルスを選択。玉ねぎときゅうりとプチトマト。どれも味が濃くて甘酸っぱくて美味しい。玉ねぎには鰹節が添えてあり、玉ねぎとあえて食べるとまたうまい。
ピクルスでビールを楽しんでいると、若筍のソテーが登場。
すでに鉄板で焼かれた料理がアルミホイルに載せられたまま、熱々の鉄板の上に置かれる。ずっと熱々の状態で料理を最後まで楽しめる。たけのこのシャキシャキとした食感としっかりとした塩味で酒が進む。
焼酎も見たことがないのがたくさんあったので、いも焼酎のソーダ割りも楽しんだ。
飲んだのは、南之方ととろとろ、そして蔓無源氏。この蔓無源氏がライチっぽいフルーティーさがあって面白かった。美味しい。
早めにお好み焼きを食べておかないと鉄板焼きでお腹がいっぱいになるよ、という前情報を聞いていたので、お腹がいっぱいになる前にお好み焼きと山芋鉄板を頼んだ。
お好み焼きは全て麺入り。モチとチーズを選択。
うんま〜!!
麺が入るからかなりボリューミーかと思いきや、粉自体が少ないので、パクパク食べれる。
あ、全部塩焼きだった。どれもこれも美味しくて、大満足。
しかし、夜はまだ始まったばかり。積もる話もあるので、大橋駅周辺を散策して、すぐに入れそうなお店に入った。
子育ての話、仕事の話に高校時代の思い出。お互いの情報がアップデートされていく。
「次、行っちゃう?」
二人でカラオケに行き、アラフォーが沸き立つ昭和平成の歌謡曲を歌い、さらにメガジョッキで酒を飲み、そして二人とも好きだったSMAPの曲を歌い、大いに盛り上がった。
時刻は12時。
もう帰ろっかということで、私はタクシーに乗り込み家に帰った。
家のドアを開けた途端、二階の寝室で寝ていたと思われる愛犬ポッキーが吠えまくっていた。
私は不審者ではありません。
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