10月27日の外出_はじめての文学フリマで目標を定める
これは、人生とは何が起きるかわからないものだと実感した、10月27日のできごとである。
10月26日の夜、日曜日に特に何の予定もないことがわかった私は、夫に文学フリマ福岡に行ってみたいと伝えてみた。そして夫は、快く送迎を快諾。
「どこであると?」
夫にそう聞かれた私は、Xで文学フリマ福岡のポストをチラ見し、こう答えた。
「福岡国際会議場っぽい」
「マリンメッセの横なら、ポッキーと散歩して待っとくわ」
「いいね〜」
夫婦の穏やかな会話という名のラリーを数回交わし、さらには、日曜日に楽しげな予定を入れることができた私は、完全に浮き足立っていた。
しかし、この時点で気づくべきだった。
自分の過ちを。
そして、今日。私はルンルン気分だった。
午後3時から雨の予報となっていたので、昼食に味噌ラーメンをこなすと、早速、私は家を出た。
目的地は、福岡国際会議場。
夫が運転する車に乗りこみ、後部座席でグウスカ眠っていると、いつの間にやら目的地についていた。
黒い服装の人たちが、国際会議場に入っていくのが目に入った。みんなリクルートスーツを着ている。何やら、他のイベントもあっているらしい。
もちろん、普段着の人もいる。
私は「ほうほう、君たちも文学フリマなのだね」と、心の中で、普段着の人達に右手を差し出した。
そして、福岡国際会議場の中に入ると、スタッフらしき人が立っていた。
「検定の方は2階です!」
なるほど、検定も行われているのだな、と思う。
看板を見ると、「マイナビ転職」とも書かれている。そうか、スーツ姿の若者たちは転職勢なのだな、と私は心の中で「ファイト!」と中島みゆきの歌を口ずさんだ。私も転職をしたいと思ったりもするが、どう考えても年齢層が違いすぎる。44歳のおばさんもあの中に混ぜてもらえるのだろうか。
私は、文学フリマの会場である3階に向かった。
しかし、私はそこで違和感覚えた。
おかしい。明らかに何かがおかしい。
文学フリマが開催されていない?
私はすぐに、Safariで「文学フリマ福岡」と検索。そして、その会場の場所をじっと見つめた。
福岡国際展示場?!
まさか! 会場を間違ったのか!
会議場じゃなくて、展示場? あっちゃー!
やらかしたーーーーーーーーー!
私は、ガックリと項垂れたりはしなかった。実のところ、こんなことは、いつものことである。全然気にしない。時刻は13:00。文学フリマは16:00まで開催されている。余裕のよっちゃん。
後は、夫が「バカかお前は!」とブチ切れて、帰宅を宣言しなければなんとかなる。
私はすぐさま夫に連絡をする。
「ここ、マイナビ転職の会場やったー! ごむぇーん! 間違ったー!」
「さすが、アホやな」
夫は電話口で、笑っていた。
私は夫が愛犬を散歩している海辺へと、足早に向かう。波は穏やかで、のんびりとした空気が流れている。心なしか、ベイサイドプレイス博多のポートタワーが笑っているように見えた。気のせいだけど。
私は再び、夫の車に乗り込むと、後部座席で豪快に居眠りをした。
目を開けると、そこは福岡国際展示場だった。
私はドキドキしながら、3階へと向かう。
もしかしたら、「会場誤り再び」もないとは言えない。二度あることは三度あるのだから。私は全く自分を信用できない。前科百判くらいありそうだし。
けれども、私は看板を見て安堵した。
そこはちゃんと「文学フリマ福岡」の会場だった。
今日の目的は、潮井エムコさんのサイン本を手に入れることと、おほしんたろうさんの何かを手に入れること。
この記事は、noteの存在を知らなかった私も読んでいたくらいに有名なお話。
エムコさんのお話は、どれも自分にはない視点で書かれていて、面白くて、そしてあったかい。デジタルで本は買っていたけど、サイン本が欲しいと思っていたので、こんな絶好の機会を逃す訳にはいかない!
面白いだけでなく、じわーんとするお話も多い。4歳の家出のお話を読んだ時、私はエムコさんをぎゅっとしたくなった。
というか、4歳の記憶って、そんなに鮮明に覚えてるもんなん? まじやべーとも思った。福岡国際展示場も覚えられない私には、記憶力やばすぎて、あり得なさすぎて、驚きを隠しきれなかった。色んな意味で、衝撃を受けた。
話を文学フリマに戻そう。
会場についた私は、正直に言うと、初の文学フリマの楽しみ方がよくわからなかった。
とりあえず目的を達成すべく、私は潮井エムコさんとおほしんたろうさんのブースを目指した。そして、目標は無事に達成!
見本本?のコーナーがあったので、パラパラと好みの表紙の本をめくってみたりした。いっぱいありすぎてわからない。難しくて思考回路遮断。とりあえず、通路を歩いてみたりしたが、ブースの中の人に目を向けられると、どう対応していいのかわからず、手元のパンフレットをチラ見して誤魔化したりする。コミュ障炸裂。無理。難しい。アウェイ感ハンパない。
しかし、ちゃんと目的のものは手に入れたので、満足して会場を後にした。
おほしんたろうさんは、お笑い芸人さんらしい(イラストレーターの方かと思ってた)。福岡ローカルのバリはやッ!という番組で、一コマまんがのコーナーがあるのだが、私は毎朝、その一コマまんがに癒されている。
なんかよくわからんけど、絶妙に好き。好きなところを答えられないのが、好きってことでいいよね?
おほさんはnoteで日記も書かれていて、絶妙に癒し。なんだろう。理由はないけど、やっぱり好きなんだよな。ゆるさがいいのかな。
mg.という冊子は表紙を見て、中身を見て、すぐに買いたいと思った。ぎっしり「美味しい」が詰まった文章と写真の虜になって、私はすぐにそのブースに行って冊子を買った。
あまりのクオリティの高さに、思わず「これって、お仕事でされている本なんですか?」と訳のわからかない質問をしてしまったのだが、「同人誌です」と丁寧にお答えいただき、同人誌のクオリティに驚いた。
世の中にはすごい人がたくさんいるのだなぁと、改めて私は思った。
そして、私は、心に決めた。
すごい人になる前に、私にはやらなければならないことがある。