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材料費ほぼゼロのめんたいこのスパゲティと鱚のアヒージョ

食材の一部は夫から提供されたものです。
なお調味料などは、材料費には含まれません。

春の時期は、ほとんど毎週のように釣りに出かける夫。今は鱚が釣れるらしいので、我が家はほとんど毎週、鱚を食べている

その日も夫は30匹ほど鱚を釣って帰ってきた。

天ぷらはうまいが、毎週ともなると飽きる。それに、魚を捌くのが正直めんどくさい。

ああ、めんど。誰か捌いてくれませんか? 

と、台所で声をあげてみても、自分の声が虚しく台所で反響するだけだ。だから、私は声をあげない。だって、なんだか切なくなるだけだから。

魚をどうしても捌きたくない私。
色々と考えた結果、その日は鱚をアヒージョにすることにした。
最近は高級となってしまったオリーブオイルを贅沢にスキレットに注ぎ込む。スキレットって名前がいい。かわいい。

「今日はスキレットでパンケーキを焼いたの」
「スキレットでパンケーキ?」
「そう、スキレットにぎゅうぎゅうにパンケーキの種を流し込んだから、ひっくり返すのが大変だった」
「でも美味しそうね!」
「発酵バターとはちみつをたっぷりかけて食べたら、口の中が幸せでいっぱいになったわ!」

どこかのこじんまりとした可愛らしい村の少女に、そういう会話をしてもらいたい。ひらひらとした白いレースのついたエプロンをつけて、赤いギンガムチェックのテーブルクロスに、真っ白いお皿とおばあちゃんから譲り受けたカトラリーを並べて、ホットケーキならぬパンケーキを食べてほしい。

そもそも、スキレットでパンケーキ焼くのは難しそうだな。

そんな妄想と共に、私は内臓と鱗を取り終えた鱚をオリーブな油に塗れさせるというミッションを遂行した。ぐつぐつと煮えたぎる油の中で、さっきまで悠々と海で泳いでいたはずの鱚が、自分の運命を受け入れる時間も与えられないまま、静寂を保ち横たわっている。

私はそこにアウトドアスパイスほりにしを投入し、一味唐辛子も投入する。

うまそー。

我慢ができなかった私は、手に持っていた箸で白くなった鱚の身を摘んで口の中に迎え入れる。柔らかい鱚の身にオリーブオイルとスパイスが絡んで、うまいことこの上ない。ホワホワとピリピリが口の中を駆け巡り、私は耐えきれずビールをぐびりと飲んだ。

最高!

アヒージョだけでは、腹の虫は抑えられない。

私は夫がお取り寄せしている無着色の明太子を冷蔵庫から取り出した。薄皮を取り明太子の中身をボールに入れる。せっかくだからと3房分ボールに入れた。薄皮をぺっとゴミ箱に放り投げ、手についた明太子をお行儀悪くペロリと舐める。うっま。明太子、うっま。私は再びビールを飲んだ。かー。たまらん。

マーガリンかバターかよくわからない乳白色の固形物を適当にスプーンですくうと、明太子を入れていたボールに放り投げる。めんつゆと牛乳も適当に入れる。庭に大葉が生えてたらわざわざ買わなくてもいいのになぁと思いながら、スーパーで買ってきた大葉を刻む。茹で上がったパスタをざるにあげ、お湯を切ってからボールに入れてかき混ぜる。マーガリンかバターかよくわからないものがパスタの熱でだらしなく溶けていく。私はそれを絵柄が剥がれかかっている菜箸でぐるぐるとかき混ぜた。

出来上がっためんたいこのスパゲティを皿に盛り、どこかの誰かが私の代わりに栽培してくれた大葉を容赦なく千切りにしたものをわさっと乗せる。焼き海苔を冷蔵庫から取り出して、ハサミで切り刻んで、めんたいこのスパゲティの上に散らしてみた。

箸でかき混ぜながら、出来上がったスパゲティを食べる。うっま。マジでうま。めんたいこってなんでこんにうまいの。好きだわー。マジで好き。大葉がいい味出してる。最高の脇役。君がいるのといないのとでは大違い。どうするかな、育てるかな。庭がめっちゃわさわさになるよね。それもありかな。

なんてことを考えながら、めんたいこのスパゲティと鱚のアヒージョを楽しんだ。

ほとんど夫から提供いただいた食材で、夕飯が賄えることに感謝したい。これからもたくさんいろんなものを釣ってきて欲しいし、お小遣いで色々とお取り寄せしてもらいたい。




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