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レイングッズの注目ブランドについてマーケティング的に分析してみた|株式会社ワールドパーティーの#マーケティングトレース

こんにちは、さるこじといいます。

先日、株式会社ワールドパーティーという会社についてマーケティング的に面白い会社だよ、という投稿をしましたが、
今日はより詳しくマーケティングトレースしていきたいと思います。

※マーケティングトレースとは

外部環境(PEST分析)→STP→4P
の順で分析していきます。

株式会社ワールドパーティーの基本情報

株式会社ワールドパーティーは、大阪市住吉区我孫子に本拠を置くレイングッズメーカー。
1994年に前身の洋傘加工業であった株式会社中村から名義変更し、株式会社ワールドパーティーを設立。雨傘、日傘、レインウェア、レインブーツ、その他レイングッズを企画・製造する。「Wpc.」、「unnurella」、「KiU」の3つブランドを持ち、生産を中国で行いスケールメリットを生かして価格を抑える手法を取る。ビニール傘は扱わず、百貨店マーケットもあまり手掛けないというスタンスを堅持している。
(Wikipediaより)

外部環境(PEST分析)

まずは外部環境の分析です。
表にまとめたものが以下の図になります。

200828ワールドパーティーマーケティングトレース (4)

レイングッズの消費に直接影響を与えるのは
「政治的要因」と「社会的要因」がメインだと思われます。
第一に、自転車の傘差し運転に対する規制が厳しくなった影響と、
アウトドア・サイクリング・キャンプのブームにより、
レインコートへの需要が高まっています。

一方、気候変動に伴い日傘の需要増折りたたみ傘への需要増、環境への意識の高まりからビニール傘からの脱却などの変化があり、顧客のニーズが大きく動いていることが予測されます。

余談ですが日本のビニール傘の消費量は世界一で、一説では年間6,500万本も消費されているようです。

また、傘シェアリングの普及は無視することのできない新たな脅威です。
傘にも「所有から共有」への移行がある可能性は十分にあります。
傘シェアリングの普及と共存するのか対抗するのか、の戦略を考えることが中長期的には必要になってくるでしょう。


STP

次にターゲット層の分析ですが、
デモグラフィック(人の変わらない基本特性)で考えると
メインターゲットは「20~30代の女性」でしょう。
メインブランドのWpc.のメインビジュアルは女性ですし、デザインも女性向けのポップでかわいらしいものが多いです。
ただ、「20~30代女性」をメインターゲットにしつつ、男性・子供にも客層を広げつつあり、
男性でも使いやすいデザインの折りたたみ日傘や
(商品説明でも、男性向けをアピールしています)

こども向け製品の拡充を進めています。

また、サイコグラフィック(個人の心理に基づく性質)で考えると、
「アウトドアな趣味が多く、ある程度経済的自由度がありファッションへの関心も高い」
層がターゲットになると推測します。

4P分析のところでも後述しますが、
・ブランドコンセプト
→Kiuのコンセプトは「大人の外遊びを応援するブランド」
・価格帯
→ノーブランド品と比べると少し高めな中価格帯。
・ファッション雑誌への広告掲載
・アパレルブランドとの積極的なコラボ

→ファッショナブルさを前面に打ち出している。
・配荷店舗
→【Adam et lope】や【Actus】など、
 ある程度所得のある社会人をターゲットにしたショップに配荷している。

の理由から、上記のように推測しました。

次にポジショニングですが、
傘ブランドを例に【価格】と【使用シーン】の二軸でプロットしました。
【Wpc.】がワールドパーティのブランドです。

200828ワールドパーティーマーケティングトレース (5)

上記のターゲット層に向けて、
「おしゃれなのに、アパレルブランド品よりも安くて高機能そう」
というポジションを取りに行っていると考えています。

そもそも傘は、ドメスティックブランドを持つのではなく、
ブランドライセンス品を製造するビジネスモデルが一般的のようです。
ライセンス品はブランドによって微妙にポジショニングが異なりますが、
大方、【Wpc.】よりも高価格のものが多いです。

4P

次に4Pに基づく、具体的な中身の分析です。

200828ワールドパーティーマーケティングトレース (6)

・Product
大きな特徴はやはりデザインでしょう。
ポップなデザインでタウンユース向きなデザインのものが多く、かつユニセックスで使えるカラーリングのものが多いです。

また機能性にも工夫があり、使用シーンをある程度絞り、それに合わせた過不足ない機能を付与しています。
例えば、自転車用のポンチョでは、自転車での通勤通学にフォーカスされており、耐水圧は10,000mmとゴアテックスなどにはかなわないものの通勤通学には十分な耐水圧で、リュックが入るバックスペースや、めくれ防止のパーツも付属しています。

大人気の自転車用レインポンチョに新作が登場!-株式会社ワールドパーティー-Wpc-公式サイト|WORLD-PARTY-Possibility-Creation

・Price
ポジショニングのところでも書きましたが、ノーブランド品よりも高く、アパレルブランド品よりも安い中価格帯です。

・Promotion
個人的にはここが一番ワールドパーティの特徴だと思っています。
傘のブランドライセンス品や、アウトドアブランドのレイングッズなどと比べると圧倒的に認知度に差がある状態で戦いをしければいけない中、ターゲット層に確実にリーチできるプロモーションに絞りながらも、複数の接点を持つことで「ザイオンス効果=単純接触効果」をうまく活用しているのではないかと考えています。

実際に我が家でも、保育園の送り迎え用にこちらの自転車用のポンチョを購入しましたが、もちろん耐水性やデザイン、自転車用になっていることなど、Productの要素も判断基準にはなっていますが、最終購入を決めたのはファッション雑誌の広告と店舗で売っているのを見たから、でした。
色々な場所で目にすると、単純接触効果でそのブランドへの愛着がうまれることに加えて、「売れてるのかな」「最近流行っているのかな」と思わせることも可能です。

・Place
Amazon、楽天の総合ECで顧客との接点は確保しつつも、セレクトショップ等の店舗への配荷にも力を入れています。
Plomotionのところでも記載したように、店舗への配荷は直接的な売り上げだけでなく、認知への影響も大きいと考えられます。

まとめ

前回に引き続き、株式会社ワールドパーティーについて取り上げてみました。
STPからマーケティングミックスまで一貫した戦略があり、トレースすることで色々な気づきがありました。

コロナによる外出自粛や傘シェアリングの台頭など、逆風になりそうな要素がいくつかありますが、これらをどう乗り越えていくか今後も注目したいと思います。

では。

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