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そのこだわり

なんと言ってもこの暑さは、完全無欠のバカ夏である。アチアチ過ぎて、とろけてしまいそうだ。

困ったような暑さに、ビール飲んでヘラヘラやってる私も、「なにか食べたい」などとは、ちっとも思わない。

それでも食べなきゃいけない、というのなら、そうだなぁ、ウンと山椒の効いた麻婆豆腐なんかをスルスルスルと、時にゴフッと頂きたい。

キリリと冷えたビールに、山椒が効いた四川風麻婆豆腐なんては、大変ステキではないか。

家から近くの中華屋さんに、四川風麻婆豆腐のうまい店があって、そこは水餃子なんかも、胡麻が効いていてうまい。

今日のバイト終わりに寄って食べたいなぁなんて思って財布を覗くと、例えば、椎名誠の文庫本を買うのが、やっと程度の額しか入ってないから、キリリと冷えたビールと、ピリリと麻婆豆腐なんてのは、入道雲を掴むのと同じくらい、難しいことなのだ。
なんだか夏バテもより一層強固に襲ってくる気がしないでもない。

夏の野菜と言えば、トマトである。

放っておくとすぐ冷蔵庫でずくずくになるトマトで、私はカレーを仕込みたいと思う。

これは四川風麻婆豆腐の代わりに作るのだから、小気味よく辛くなくてはならない。

まず、大量の玉ねぎを荒くみじん切りにする。

これはそうだなぁ、3人前で2つくらい使ってよろしいかと思う。

みじん切りした玉ねぎを、大量の油で、
焦げるまで炒めたのち、ターメリック、コリアンダー、クミン、チリパウダーを入れていく。

ターメリックは少量、クミンも入れすぎると舌が痺れますから、今回はチリペッパー中心のカレーということで、普段より多く、チリペッパーを入れ、スパイス供が油を吸っていくのを見て、ニヤニヤしていただきたい。

黒く焦げた玉ねぎと、油を吸ってブクブクと太ったスパイス達に、喝を入れるようにして、
夏野菜の王様トマトをすりつぶしながら入れますと、これだけでステキなドライカレーのようになりますね。

麻婆豆腐の代わりのカレーですから、
ここに加水し、塩を加えて味を整える。

先ほどまでゴミケラのようだった玉ねぎ達も、この加水によってグッとカレーらしくなりますから、あとはお好みの野菜を適当にどさっと、
やはり旬のナスなんかは、油とも合うので大変美味である。

煮込んで、味見して、整えて、
スパイスカレーの出来上がりである。

夏こそキッチンに立ち、汗をかきながら、
出来るなら缶ビールを飲みながら調理しますと
ワンワンと照りつける太陽も、
なにか心地の良い演出のように感じるのだ。

夏にかまけて適当になるこの瞬間、
そのこだわりでもって、打ち克って頂きたい。

そして、夏にワシワシ食うカレーは、美味い。

「ほら、このスパイスの辛みと、玉ねぎのコク味がもう。」

はやくも缶ビールは3本目に突入しようかという時である。

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