子どもに関わるお仕事を頑張っている方へ
プロフィールから、私のホームページに飛べるようになっていますが、
改めて、ここに転記します。
ホームページ前文より
『私は小児専門の言語聴覚士として20年間、あらゆる相談を受けてきました。
”言葉が遅い”、”落ち着きがない”、”園での生活にうまくなじめない”。
いろんな親子に出会い、それぞれの日々の暮らしに起こる出来事を共有してきました。
「聞きたかったこと、全部わかった!」と晴れ晴れした顔で帰っていくママ達を何度も見送りながら、こんなふうに、自分で育てられる自信を持つことが、とても大事だと感じています。
「自分らしく、この子を育てられている」そう思えるママ、パパを増やしたい。
「自分らしく、支援ができている」そう思える子どもへの支援者を増やしたい。
「自分らしくあって、大事にされる」そう思える子どもを増やしたい。
そのためには、小児の発達を理解し、子どもの育ちと親子関係のサポートができる人材が、もっと必要です。
私が臨床家として、6000組以上の親子を担当してきた経験から思うことは、
・各年齢ごとの子どもに、共通して言えることがある。
・それぞれの診断名に、共通して出てくる課題がある。
それらを考慮しながら、人それぞれ違った性格や家庭環境があるという、個別性の高さを組み合わせていくことが、小児の臨床には求められます。
変化が大きい幼児期の”今”の発達を見立てたり、あれもこれも気になるけれどどれを優先したらよいのかなど、答えが一つではない問いが、たくさんあります。
だからこそ、お互いに知恵を持ち寄り、感じたことを語り合いながら、子ども達のよりよい育ちのためにチカラを合わせていけたら、心強いと思いませんか?
必要な人に届いて、活用してもらえますように。
アトリエLove&Compassion主宰 結城ルミ子』
小児発達に関わるお仕事の特徴
①発達って、いろんな要素が関連して複雑
例えば、言葉の遅れの相談を受けるにしても、
運動の発達、手指の操作の発達、人とのやりとりの力、身辺自立の程度、見てわかることや聞いてわかることの力、記憶力、集中力、遊びの力などなど、
全部の発達についての情報が必要になってきます。
もちろん、詳細な情報を得たからといって、解決したいことのために活用するには、分析や解釈が必要です。
そう、これが見当違いなら、もとの状況を悪化させることだって、あるかもしれない。
そして、情報が更新したなら(発達の様子が変化してきたり、生活が変化してきたなら)、
それに合わせて、また仮説を立て直していく作業も続いていきます。
②個々の経験値、価値観の違いに対応していく
ひとことで『ひとそれぞれ』と言ってしまえば、元も子もないw話でもあるけど。
例えば、「○○が、他の子どもに比べてできていない」という相談だったとして、
これまで一度もその経験をすることがなかったのであれば、
豊富に経験してきた他の子どもと比べてできていないのは当たりまえ。
どんな環境で、どんな暮らしをしてきたか。
どんな考え方の保護者に、どんなふうに関わられてきた『今』なのか。
それを短時間だったり、最小限の保護者との会話などで、情報収集&推測していくことが求められます。
そんな『個別性の高さ』をどう、さばけるか。
これって、どんな複雑なクイズより、難しいことだと思うんだけどなあ。
③養成学校の授業では、臨床に関わるカウンセリングマインドや、自分のこころの守り方をほとんど教わらない。
これこれ⬆️
学校ではいろんな障害の知識や、医学的な知識などは、かなり勉強する時間はあります。
でもね、
臨床家としての生き方や、
有害なコミュニケーションを取ってくる人から、自分の身をどう守るかなどは、ほとんど教えられてこないまま、
ぽん!と、現場に産み落とされるw
これって、実際に働いてみるとすぐにわかるけど、
とっても怖いことなのです。
仕事の複雑さと、職場の人間関係や、担当ケースとの人間関係で、疲労困憊して、
子どもに健やかに育ってほしい、
安心して子育てしてほしい、
そんな当初の志が、あっという間にどこかに散らばってしまう。
おまけ;私の新人時代の闇話(笑)
真夏によくある怪談話も怖いですが、
私が新人だったころの話も、鳥肌ものですよ。
20年前!よね。どんな世の中だったか、覚えていますか?
つい先日、講義中に発達検査、新版K式2001の話をしていると、「僕と同級生(同じ年齢)」と言った学生がいて、震えました(笑)
さて。
私は大学→養成学校の流れだったので、24歳で社会人に。
1年目は、私の母校でもある大学の、歯学部付属病院で、主に口唇口蓋裂ケースに関する臨床でした。
ほとんど歯科医師ばかりで、先任のST(言語聴覚士)と入れ換えでの一人職場でしたが、皆さんとても親切にしてくださって、ありがたかった。
大学病院ゆえの、内部での派閥的なものは多少感じましたが、それぞれの専門を尊重し、それぞれがベストを尽くした治療をする、という志が、新米の私にも伝わってきました。
もともと1年契約だったことや、やはり発達全般に携わりたい思いがあって、地域の療育を担う施設を持っている会社へ就職。
そして愕然とするわけです。。驚きの連続。ネガティブな意味での、ね(笑)
例えば。
・サービス残業は当たり前。
定時は17時15分だけど、毎日ほぼ21時まで職場にいるのは義務!みたいな。
私と同期の新人たちが19時に退勤しようものなら、
「新人のくせに、こんなに早く帰るなんて信じられない」とバイザーに陰口を言われる。
それを聞いて、他の新人たちもおののき、残る。。。のエンドレス。
当時私は、片道1時間半くらいのところに住んでいたので、毎晩23時過ぎに夕食がほとんど。もちろん朝も早い。満員の地下鉄に揺られて通勤。
残業の内容は?といえば、担当ケースの報告書を、1名あたり3ー4時間かけて、繰り返し修正させられたり、
会議と称して、他の職員の悪口大会の席に、いさせられたり。
私のではない仕事を、一緒にするように言われたり。
残業時間をまともに書いて提出すると、怒られて書き直させられる。
・土日も休めない
なんか知らんけど(笑)、職場の誰かの自宅での食事会に強制参加。
そこでも、職場でのいろんな人の悪口を延々聞かされるという謎の時間。
別パターンとして、いろんな障害の団体が主催するイベントのボランティアに、新人だから勉強しておいでと駆り出される。
施設の行事のあとの、保護者との食事会もあったり、どこまでも気を遣う。
・体調不良でも休みにくい
小児の仕事をする人あるあるで、子どもからいろんな感染症をもらうことがある。
私ももれなく、原因不明の高熱が続き、結局短期間入院した。
体調不良のために、年休を申請したいという電話連絡でも、かなりの不機嫌な応答をされ、悪態をつかれる。
・たくさんいた同期がどんどん辞めていく
文字通り、やつれて辞めていく。。。
真面目で、性格も良くて、礼儀も保たれて、優しかった、あの子も、あの子も。。
みんな、20代半ば、だよ。
保育士も、看護士も、社会福祉士も、理学療法士も、作業療法士も、みんな資格を一生懸命に取って、ここにやってきたのに。
初めての職場で、うつ病になって退職する娘の荷物を取りに来たその子の両親の姿を、
私は今でも覚えている。
・仕事でのダメだしがしつこい
そりゃ、未経験だから当然なのにねえ。
考えろ、と言われるから、考えて自分の意見を言うと、口答えしたと思われ、また怒られる(笑)
・仕事を増やす、謎の教育がある
あるとき、金魚すくいの教材を作るよう言われ、せっせと作っていると、紙でできたすくう道具の名前を調べるように言われた。
しかも、金魚の卸し業者に電話して、聞けと。
わざわざ卸し業者に電話をして「ぽい、という名前でした!」と報告すると、「そうだよ」と。え?知っているのに、わざわざ電話をかけさせたわけね。謎w
まだまだあるけど、この辺で。
時代なのか?!そんな風潮だったのかなあ。当時の療育現場って。
これに、担当している保護者からのクレーム対応や、慣れない業務の数々が加わった日々でした。よく生きていたな、私。
当時も、産業カウンセラーに相談はしていて、傾聴や共感はしていただいたけど、「先輩たちから嫉妬されているね」で終わりだった。
当時の私は、「え?ベテランの先生たちが、なんで新人に嫉妬するわけ?」と意味不明でしたw
人間に対する理解を深めていくなかで、この答えも自分で納得することはできたけど。
子どもが好きで、子どもに関わる仕事に就いた方々へ
子どもの健やかな育ちの一助に、なりたい。
毎日がんばっている保護者を労ったり、勇気づけたり、子どもの育ちを一緒に喜んだり、したい。
とても大事なその気持ちが、もし、持ち続けられないことがあったら、
あなたが信頼できる周りの人に、話を聞いてもらってくださいね。
具体的な仕事の知識や、経験を聞くも良し。
人間関係の抜け道を、聞くも良し。
有害なものから、自分の身を守る方法を、聞くも良し。
自分の人生にとって、この仕事をする意味を聞いてもらうも良し。
もちろん、私からも伝えられること、話を聞いてあげられることは、あります。
今日の朝ドラで、さやかさんが、ヒロインもねちゃんの未来が良いものでありますようにと、心から願ったように。
私も、あなたにとって、良い未来になるように、祈っています。
もしかしたら、かつての私にも、こうして願ってくれていた人がいたのもかもしれないね。
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