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風俗嬢からOLへ、そしてシングルマザーへ。(第4話)

私の人生に多大な影響を与えた彼との出会い

「西区の小野さん」
とスタッフに言われ、車で連れて行かれたアパート。
デリヘル嬢として、彼のドアの呼び鈴を鳴らし、ドアが開いた。

そこには強面でガタイの良い男性が立っていた。

私「初めまして🙂さらです♪」

根暗な私が頑張ってニコニコ笑顔で挨拶をした。

彼(小野さん/お客様)
「おっ、どーも。入っていいよ。」

見た目はかなりイカツい感じだったが、笑顔で気さくに答えてくれ、リビングへ案内してくれた。ロフト付きのワンルームの部屋だった。

何時間コースにするのか。
どちらからシャワーを浴びるのか。
それとも一緒にお風呂に入ってイチャイチャするのか。

彼はそんな話は一切せず、テレビを普通に観る感じでソファに腰掛けた。だから私もソファの横(地べた)にちょこんと正座した。

彼「……ほんまかわいいなぁ。
そんな、地面に座らんでええやん。ソファに座り。」

テレビを観ていた小野さんがぼそっとそう言った。

…このお客様は関西地方の方なのかな?
そう思い、九州に住む私は関西弁がとても新鮮だと感じた。(ちなみに私は生まれも育ちも九州です。)

可愛いね。などはよくある褒め言葉なので、いつもの愛想笑いで「ありがとうございます♪」とだけ伝えた。
一刻も早くプレイ開始の電話をお店に掛けたかった為、

私「何分にしますか?予定の1時間コースでいいですか?」

そう促し、1時間コースの許可を貰い、コース代金も頂いた。

店に電話し、サービスの時間がやっとスタート。

でも一向にテレビを観ながら動かない彼。

私「シャワー浴びてきてもいいですか?」

代金を頂いたからにはきちんとデリヘル嬢としてのサービスをしないといけない。

早くちゃっちゃと終わらせないとー!!
小野さん何ぼーっとテレビ観てるのー!!
時間勿体ないよー!!

と心の中では叫んでいた。


私が先にシャワーを浴びますね!(=私がシャワー終えたらあなたもシャワーして早くサービス終わらせないと!)
シャワー話を何度も持ちかけ、遠回しに「早くしろ攻撃」を何度試みても、彼は笑みを浮かべるだけで一向にプレイをしようとしない。

すると彼は、とても柔らかい笑顔で
「何でデリヘルなんかしようと思ったん?」
そう聞いてきた。

私は、
①大学で交換留学生としてイギリスに行けるはずだったのに駄目になったこと
②自費で留学に行きたい事
③家は貧乏なので、自分で稼ぐしかない事

そう正直に話した。

すると小野さんは
「何かね、今まで会ってきた風俗の女の子沢山おるんやけど、さらちゃんはちょっと。。。
いや、、、何か違うんよ。。。。
チューもできんわ。笑」

そう言ってきた。

別の男性客から「デリヘル呼んでもプレイしなかった話」はよく聞いていた。
それは「かなりのブサイクが来て萎えた」とか「写真ではグラマラスだったのに、いざ本物見たらハリポタのドビーだったから冷めた」などの話。
でも今回はそっちの理由ではなさそうだったからひとまず安心した。

それから世間話をいくつかし、サービスどころかシャワーどころかキスも握手もしないまま、プレイ時間は終了した。
さらに帰り際には、5000円札を私のバッグにさっと入れ
彼「これは店にやらんでええ分。やけん、さらちゃんそのまま持っとき!」
そう言ってくれた。
ついでにオロナミンCドリンクも頂いた。

お礼を言い、お客様である小野さんにさよならを告げ、ドアを閉め、いつものように外で待機していた店の車に乗り込んだ。

…やばい😭😭😭
…さっきのお客様の部屋にバスタオル置いてきちゃった😭

私は1度も使わなかったバスタオルの存在を忘れていたのだ。

すぐに送迎のドライバーにその旨を伝え、車から降ろしてもらい、再度彼のアパートの部屋の呼び鈴を押す。

ピンポーン。

私「すみません!バスタオル忘れちゃって。。」

そう言うと、彼は既に私が忘れたバスタオルを握っており、
「かまんよ。また顔見れたし逆によかったわ^_^」
そう言って忘れたバスタオルを渡してくれた。

その日の仕事は彼が最後の客だったので、そのまま家に帰り、その日に相手したお客様を忘れないようにメモしているノートにその日の出来事を書いた。

「○月○日。西区の小野さん宅。
怖い顔、でもめっちゃ優しい。
5000円とオロナミンCくれる。
プレイしなかった。なんか気になる。」

−−−−なんか気になる。

自分の日記に初めてそう書いた。

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