見出し画像

意外なところに和食との共通点。DNAに刷り込まれた味覚!?| スリランカカレーの特徴#5

さかな天国、スリランカ

スリランカは、日本と同じく海に囲まれた島国。
漁業も盛んで港町には魚市が出て、その日水揚げされた魚が毎日並びます。
スリランカカレーの食材にも、魚やエビ、イカなどがよく使われます。
元来、魚好きなこともありますが、わたしは魚のカレーが一番好き。黒胡椒の辛味とゴラカの酸味がたまらない美味しさなんです。

画像2

魚は魚でも、料理の隠し味に使う魚があります。
その名も「モルディブフィッシュ」
シンハラ語ネームは「ウンバラカダ」と言い、いわゆるスリランカ版鰹節です。

生の鰹の頭と内臓を取り除き、皮も剥ぎます。塩水で茹で、日本の生利節と同じものを作ります。これを燻煙した後、数日間天日乾燥させます。ここまでは、日本の荒節と同じもの。
日本の鰹節はこの荒節に長期保存や風味アップなどを目的にカビ付けをしますが、モルディブフィッシュはカビ付けをしません。同じ鰹節でも、製造工程で少し違いがあります。
下の写真は、左:モルディブフィッシュ、右:鰹節(荒削り)

画像3

旨味の組み合わせが美味しくする

使い方にも少し違いが。日本のように鰹節を削った出汁を調理に使うのではなく、細かくフレーク状にしたものをスパイスのように料理に加えて旨味を出す、つまり調味料のような使い方をします。調理過程で取り除いたりせず、一緒に食べます。

もちろんカレーにも投入!しかし、どんなカレーにでも入れるわけではありません。入れる or 入れないに厳密な法則は見出せませんが、野菜のカレーなど旨味を足したい料理に使っている印象です。
他にも、ココナッツや青菜のサンボル(和え物)にも入れたり、炒め物の際に風味をプラスしたり。なかなかの仕事人でありますな。

鰹節の旨味は旨味成分のイノシン酸によるものですが、旨味成分は複数組み合わさることで味わいが増します。野菜にはグルタミン酸という旨味成分が含まれているものが多いため、この組み合わせでスリランカカレーが複雑で味わい深いものになっているのではないでしょうか。

まとめると、モルディブフィッシュにより、五味(酸・苦・甘・辛・塩)に「旨味」が加わることで、スリランカカレー独特の味の奥行きを作り出し、美味しさのレベルが底上げされている感じです。

意外な共通点

さて、世界広しと言えど鰹節を使う料理文化を持つのは、なんとスリランカと日本だけ。スリランカカレーと和食の意外な共通点に加え、国同士のつながりも見えてきました。

画像2

モルディブフィッシュは、歴史を遡ると14世紀頃から作られていたと言われています。日本の鰹節の最古の記録は16世紀初頭なので、もしかすると鰹節はインド洋周辺国から日本に伝来したのかも…!?(実際、そんな説もあるようです)

いずれにしても、スリランカカレーが日本人に好まれる要因のひとつに、モルディブフィッシュの存在が挙げられるでしょう。勝手な考察ですが、長年にわたり味覚のDNAに刷り込まれているのかもしれませんね。

今ではオンラインショップなどで手に入ります。でも「わざわざ取り寄せるのは面倒」だという方は鰹節で代用可能。その際は必ず原材料をチェックして「鯖」ではなく「」を選び、ひらひらの薄削りではなく荒削りをお買い求めくださいね!

おまけ
神戸のスリランカカレー店「カラピンチャ」がモルディブフィッシュの製法工程をアップされています。興味深い♫

#スリランカ #スリランカカレー #スリランカ料理 #スパイス #スパイスカレー #モルディブフィッシュ #だし #ウンバラカダ #サライラサイ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?