日記0621 「クイズミリオネア」
緑道を歩いていると、遠くにラジカセで音楽を流し散歩する老人が見える。微かに聞こえてくるのはアメリカのヒップホップ。ずいぶんイケてる老人だな、あるいはラジオでも聞いてるのかな…などと適当な推理をかましているうちに音は近づく。やがて老人とすれ違い、聞こえていたのがボブ・ディランの『Like a Rolling Stone』であったと判明する。小型のラジカセは低域が一切出ないからヒップホップもボブ・ディランも全く同じに聞こえる。音源が遠ければ尚更だ。「ラジカセ老人におけるドップラー効果」の一例に遭遇した。
住宅街…遠くより、一人歌いながらこちらへ歩いてくる初老の女性が見える。まあまあな声量だ。只者ではない。何を歌っているのかと興味津々ですれ違うと、聞こえてきたのは坂本九『見上げてごらん夜の星を』だった。良い選曲だなと感じ入る。しかしよく考えれば、大雨から小雨へと移ろう午後の雰囲気にはあまり相応しくなく、今晩は曇りだから星も見えないだろう。傘を持つ女性の目は澄んでいる。歌い方に迷いはない。きっと、彼女にだけ見える星があるのだろう。後ろ姿を一瞬目で追った。
東京都知事選挙の期日前投票に初日から行ってみようと思い、役所の出張所に赴くが早とちり。出張所での投票はまだ行えないらしく、役所の総本山に行けとの掲示を確認する。投票意識こそ高いが、ちょっとした下調べをし損ねるそのアンバランスさに笑ってしまう。自分の話だ。もっとも、投票先を男性にするか女性にするか、白紙票にするか用紙を黒く塗り潰して黒紙票にするか、まだその段階で悩んではいる。
小銭が手に入ると居酒屋で飲めや喋れや、を繰り返し、今朝もまた早起き。(という名の寝不足)。そうして前日を思い出している。最近は四文屋の梅割り焼酎の再ブームがきていてそればかり。ぬるくて腹に優しい。チビチビ飲めば悪酔いしない。ただし変な夢を見る。
今朝見たのは、自分が「クイズミリオネア」の回答者になっているという内容。これには大いに心当たりがある。この前、久々に『レクイエム・フォー・ドリーム』を見たからそのせいだ。映画内で中年女性が見る夢にそんな内容のものがあったから。
あいにく自分は「痩せ薬」ではなく酒による夢だから情緒は大きく異なる。快い。
夢の中の「クイズミリオネア」の司会者が誰であったか、なかなか思い出せずにいる。
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