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終火・最終話「あれから、そして再会」

 私は一年以上ぶりの公園。海が一望でき晴れてる時はキラキラ輝く海を観ているだけで心に溜まったモヤモヤがスッと取れるから好きで、年に数回は訪れる場所でもあったが、元カレの涼太と出会った公園でもあり、彼との思い出がたくさん詰まった公園だったから、なかなか来れずにいた。

 だが、やっと来ようという気持ちになることができた。

 時が経ち自然とこの公園に足を向けられるようにさせてくれたのか。

 

 私は一人で海を眺めていると、私の後方に一人の男性が四つんばいになって探し物をしているようだった。

 私は、その男性に声をかけた。

「なにかお探しですか?」

「コンタクトを落としてしまって」

「それは大変! 良かったら一緒に探しましょうか?」

 そして足を動かした瞬間

「あ――!!! あった!」

 その大きな声に私は驚いてしまい、足をまた動かした先にコンタクトが落ちていたようで、私は踏んでしまったようだ。

「ゴメンなさい! 私コンタクトふんじゃったみたいで」
 
「あっ、いやっ落としてしまった僕も悪いから。車の中に予備でメガネも置いてあるから大丈夫ですよ」

「弁償させてください」

「そんな、良いですよ」

「それじゃ困りますから」

 そして私はスマホの番号を書いた紙を渡した。

 このことがきっかけで、番号とLINEを交換し2年付き合った後に、めでたく結婚することになり1週間後には結婚式を挙げるのだが、私のお腹の中には今彼との間に出来た大切な命が宿ってます。

 そう言えば、この公園で出会ったんだよな。涼太とも。
 そして今度の彼、旦那さんになる人とも。

 しかも同じくメガネ男子だし、きっかけが探し物って言う(笑)

 この公園には探し物をするメガネ男子がそんなに居るのか?

 同じメガネ男子ではあるが、今度の彼は3つ年上の頼れる大人の男性な人だった。
 元カレの涼太が頼りなかったというわけではないが、年下だったし、私の方が強くしっかりしていなきゃ!そう思いながら、いつも何処か肩に少し力が入っていたかもしれない。

 今度の彼は年上ってのもあって、素直に甘えられる存在ではある。

 彼、旦那さんになる人の名前は、緒方駿介(おがたしゅんすけ)
 
 私は久しぶりに、この公園に来ていた。

 駿介が車で送ってくれて、用事があるからと私をここで降ろして用事を済ませたら迎えに来ることになっている。

 私はここの屋根付きのベンチに腰掛けて海を眺めていた。


すると2歳くらいだろうか可愛らしい男の子が近寄って来た。


  私が手帳を見ていると、笑顔で指をさしていた。

「こら、ケンちゃんだめでしょ! すいません」

「あっ、いえ」

 母親らしき女性が手を引っ張って遊具のある方へ連れて行こうとしていた。すると、父親らしき人も現れ一緒に手を繋いで3人で歩いて行く光景にほっこりしながら見ていた。

 私はそれから涼太との思い出を懐かしむかのように出会った場所を歩き始める。


 私が500円玉を落とした場所、ここで涼太がスマホ落として探していたな!


 海賊船前で待ち合わせしたこともあったな!



 階段下でも待ち合わせしたこともあったな!



 そうそう、ここのベンチで涼太に「別れよう!」って言われたんだ。
 
ちょっと苦い思い出ではあるが。

そして、私が時計のところに戻る時だった。



 見覚えのある一人の男性の姿が見えた。
 お互いに目と目が合い気付く。

「涼太、いや、涼ちゃんだよね」

「加奈子か」

「元気だった?涼ちゃん」

「うん。あっ僕、実はあの後、香織さんに告白して振られたんだ。けど、それから別の人と付き合って結婚して子供も居るんだ」

「そうなんだ。私も、あの後に違う人と付き合って、1週間後に結婚式挙げるの。でね、今、私のお腹の中に赤ちゃんが居るの4か月目」

「おめでとう! あっ、奥さんと子供が待ってるから行くな」

「もしかして、さっき私のとこに来た2歳くらいの男の子って涼ちゃんの子供だったんだね! 奥さんも可愛らしい感じの人じゃん! 涼ちゃんが幸せそうで良かった」

「加奈子も幸せそうで良かったよ」

「じゃぁね」

「お――」

 私は涼太が子供と奥さんの3人で手を繋いで歩いている後ろ姿を見ながら、色々あったけど、涼太との出会いと別れを経験したからこそ私は今、駿介と生れてくる子供の3人と幸せな家庭を築けることができるのかもしれない。


 それから10分後に駿介が迎えに来た。

「駿介~!!! 今日の夕飯何が食べたい?」

「そうだな~? 加奈子が作るもんなら何でもいいけど、そうだな~ハンバーグかな」

「じゃぁ、ハンバーグね」

 そして私は本当の意味で涼太との気持ちに蹴りを付けることができ駿介の元へ嫁ぐことができます。

 

 涼太ありがとう!




最後まで読んでくださった皆様ありがとうございました。


今度はこのお話の男性視点
涼太側の視点からのお話を書こうと思います。
来年以降の年明け以降になるかもですが、ぼちぼち
書き進めていくので、女性側からの加奈子側視点との
両方を読み比べていただけると、同じ時系列での相手側の
心情や情景などがわかるかと思いますので気長にお待ち
下さいませ~

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