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「チ・カ・ホは生きている〜札幌駅前通地下歩行空間誕生秘話〜」(3)

前回の(2)チ・カ・ホ開通までの道のりはこちらからご覧ください。

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(3)この10年でチ・カ・ホがどう成長したか

内川:皆さん方は10年前に思い描いていた姿からどういうふうに成長したかなというのを、一言二言お話いただけたらなと思うんですけれども。芳村さんからいかがでしょうか。

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芳村:さっきの稼働率にも関係するんですけれども、やっぱり我々、通行量は多少は増えるでしょうけど4万人ありきで、それが地上と地下に分かれるんだから、当然地下は4万人以下だろうと予測していました。いろいろシミュレーションして広告代理店なんかにヒアリングしても、広告をチ・カ・ホの壁面に出す人はそんなにいませんよ、と言われました。

 たしかに、当時はリーマンショックから立ち直ってなくて景気の悪い時代でもあったので、それで沿道ビルの接続もどうなるんだって時だったんですよね。それが、去年地区計画を変更したということや、2030年の新幹線延伸というスケジュールもあるのかもしれませんけども、今どんどん沿道ビルの建て替えが進み地下接続をされているというのは、やっぱりチ・カ・ホのポテンシャルじゃないかと思うんですね。

 皆さんが10年前、少なくとも僕は10年前、単なる通路にしちゃいけないと思いながらも、ここまで活用されたり人が行き交うようになったりっていうのは、実は想定していませんでした。自分が携わった仕事のなかでも、当初予想したよりも良くなったものの代表だなと非常に嬉しく思うとともに、今立場が変わって、まちづくり会社という、チ・カ・ホの管理活用をする立場にいるので、こういったポテンシャルの高いものを、設置目的の達成とか先人たちの苦労に報いるためにも、しっかりやらなきゃいけないなというふうには、すごく思っています。


内川:ありがとうございます。続いて、八柳さんお願いいたします。

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八柳:はい、石塚さんから10年から20年前のお話があったんですけれども、20年前にチ・カ・ホの検討がスタートしたときは、私は都心交通をやっていました。チ・カ・ホについては、あれば便利だなという認識くらいしか持ってなかったんですよね。そこからいかに積み上げて、付加価値を付けていくかというのをみんなで考えていったんですよね。

 その時に、先ほど言ったように、歩くだけじゃなくて賑わいとかを感じられる、地下街みたいな通路がいいなとか。それまでの“地下通路”の検討は、ビルと接続しないほんとの箱だけだったんですよね。それをやめて、沿道ビルと積極的につなごうと。つなぐにはなるべく幅広でつなぐという。というふうにコンセプトを変えていったし、道路なので歩くことしかできないという考えで今まではずっとやってきたんですけれど、物を売ったりイベントをやってもいいよ、というふうにまた舵を変えました。

 その他考えたというメリットというのは、冬でもバリアフリー空間が必要なんじゃないかということで、それには結構賛同してくれる人もいました。その当時の経済状況として、札幌駅側の開発が一人勝ちで、大通の商業は非常に困っていました。そういうのもあって、支持する人も結構増えてきました。

 それから、つくった空間は一流の人が設計しただけあって、非常に優れたデザインになっていると思います。また、沿道の事業者の方からも、ビルの接続協議をしていくなかで、チ・カ・ホを前向きに捉えてくれて、ぜひやりましょうという声も多かったです。まあそういう環境もあって、みんなに使われるような空間ができたのかなと思っています。

 当時思っていたことと、今と違うなというのは芳村さんも言いましたけども、活用はあまりないと思っていたことです。こんなに活用されるようになったのは、やっぱり良いコンセプトでつくったっていうのもあるし、まちづくり会社が一生懸命運営してくれたというのもあると思います。

 それから当時は、繋ぐビルがいっぱい出てくるという説明をしていたんですけれども、正直いうと実はそんなに出てこないと思っていました。日生ビルのようなビルが目の前に建ち良好な接続空間ができたことも、現在のビルの建替えラッシュに繋がっていると思います。

 それから、経済効果というのも当時出したんですけれど、出したのは工事費の経済効果と、駅と大通が結ばれれば都心に来る人が増えるだろうということで、増えた人×消費金額みたいなざっくりした経済効果しか出していなかったんですけど、現在これだけビルが建て替えられれば、床の固定資産税だけでも結構なボリュームになっていますし、まちづくりという面でも消費やなんかも含めてすごい大きな経済効果になっているんじゃないかと思います。それから街路樹ですね。新しいのを植えてもすぐ大きくなるよという話を当時していたんですけれども、すぐに大きくならないなというのは、感じているところですね。あと、このビル(札幌三井JPビルディング)の地下にですね、イベント支援通路をつくろうという話しがあったんですけど、今どうなったのか…。


内川:使われております。


八柳:都心交通ビジョンの話にもあったのですが、駅前通にはなるべく車を入れないようにしようというのが昔から交通計画に携わっている人のポリシーでした。バス路線や駐車場の入り口もやめよう、というようにやってきました。当時の6車線から4車線に変えましたが、4車線にして良かったなと思っています。


内川:ありがとうございます。続いて、清水さんにお願いしたいんですが、清水さんは何年か経って維持担当部長として戻ってまいりましたが、自分が計画していたものが、今度は維持の側にまわるということで、やっぱりこうしておいて良かったということがあればお聞きしたいです。

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清水:そうですね、ビル接続があとから出来るようにということで、当時設計段階から構造壁でつくらないで、柱壁構造。柱さえ壊さなければ壁はどこ破ってもいいですよと、そういうスタイルでつくったっていうのは、後々良かったことかなと思っています。

 また、ビル接続に関しては当時、総合交通計画部さんの交通施設担当課さんが中心となって説明していたわけなんですが、技術的なことについては土木部の私どもが一緒に随行して説明する立場で動いてました。各ビルそれぞれの思いがありまして、西側の大手さんのビル会社さんは、将来展望も含めて中長期的に捉えながら、メリットがあるないの判断をされていたことが多くて、最初に日本生命ビルさんが手を挙げてくれたという中で、その後皆さんと一緒に議論してこの三井JPビルさんもこの北3条広場の整備と合わせて、都市再生特区かなんかでやったような気がします。

 それに引っ張られるようなかたちで、いろんなところが手を挙げて。例えば、敷島ビルさんやヒューリックさんは、まだ建て替える予定はすぐにはないけれども、接続部分は先行投資でつくっていただくということをしていただいてます。

 一方、札幌駅前通協議会の会長さんである越山さんが、ちょっと様子見させてくれと…。駅前通みんなで頑張ろうって言っている団体のトップの人が慎重だったんですが、そう言いながらも結果的にちゃんと建て替えていただいて、しかも地上にあった出入口を中に取り込んでいただくと。最初からやればそういうことも必要なかった、余計なお金かけなくて済んだのにと思いましたが、その時はまだ信じられないような、どれだけ賑わうんだろうか、どれだけ接続にメリットがあるんだろうかというところを見極めたいという、ここは地元企業ならではの慎重な考え方なのかなという気はしました。

 ただ、そうは言ってもそれを踏まえて東側のビルも少しずつ接続がはじまってきたというところが、非常に嬉しいところです。ただですね、僕ら本体を管理する立場で言わせてもらいますと、使われ方が少しずつ変わってきているなという気はしています。

 当時、僕らが立ち上げた頃、消防法をクリアしなければいけない。道路としてつくるので、あくまでも道路施設なので地下街とは違いますと。なので、先ほど言ったスプリンクラーなどは必要ないですとか、換気設備も最低限のものがあればいいですとか、そういう話をしながら国交省とか消防局の方と話しながらやっているわけですが、その時に言われたのが、当然火を使ってはいけません。あるいは火災が発生したときに、延焼しやすいものを使う活用はいけません。

 あと、ビルとビルの接続には、間口が20m以上の離隔がないといけません、というような話を受けたりした中で、ビルとビルの間をひとつ壁つくればいいじゃんというのは、憩いの空間って奥行きが4mあって、接続空間が8mあって、接続空間を往復すると16mなんです。

 4mの幅の壁をつくれば、行って帰ったら20mだよねということで、国交省もそれは斬新な考え方だなって言って、街路計画の皆さんもOKということになって、それで接続できたっていうのがあるんですが、ちょっと使われ方として最近、割と物販メインで広場を動かしているところを見ると、決して燃えないものばかりを置いていないなと。

 ただその分、きちんと注意喚起をやっていて、これまでの使い方の実績として、そういう危険が発生してない、あるいはしっかり運用管理ができているというところから、認められているのかなという気がしています。

 あと、最近ちょっと困っているのは、自転車乗ったりスケボー乗ったりする人たちが出てきまして、禁止行為と言ってもお願い事項なんですよね。条例で縛っている訳では無いので、取り締まりができないわけなんですが、なんとか協力をお願いするという立場で頑張っていかなきゃなと、そこは思っています。


内川:ありがとうございます。ここ1、2年ですかね。チ・カ・ホの中で自転車に乗ったり、スケボー乗ったりする場面が増えているなあと。最初の頃はたしかに、火を使ってはいけないということは当然ながら言われていて、燃える紙なんかもあんまり置いておかないでほしいと言われていたなと、ふと思い出しました。今は自由にやらせていただいているので。



清水:古着とかも売っていますよね。


内川:ただ、夜間は警備さん付けてくださいねだとか、人でカバーできるようにしてもらってはいますけど。そういえば最初の頃はそんなこと言われていたなと思い出しました。清水さん、ありがとうございました。ではずっと見守り続けてくれている石塚さん、お願いいたします。

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石塚:さっきお話した、2001年のワークショップで出された市民のこうあってほしいというのが実現した、ということに尽きるんですけど、やっぱりそれが実現できた背景としては、広場条例という条例があってちゃんと活用できる裏付けができたということと、沿道のビルが接続するモチベーションを高める上での容積率緩和を伴う街並み形成型の地区計画が出来たということと、それを運営するまちづくり会社がちゃんと立ち上がって、素晴らしい働きをしているというその3つが仕組みとして揃っていたから、市民の思いが出来上がった。単に空間だけではできなかったと振り返ってみて思います。

 ただ良いことだらけではなくて、1000人ワークショップの時に市民の皆さんが言われた今すぐつくらなくてもいいんじゃないか、計画を白紙にすべきじゃないかという根拠のひとつが、地上部が衰退してしまうんじゃないかという意見だったんですね。

 やっぱり地上が賑わって、まちはなんぼというところがあるのに地下の方に人の流れがいってしまうのはどうなんだろう。それは今も地上の通行人数が開設時よりも少なくなっているということに、そういう懸念は反映されちゃっている。ですけれど、今後建て替えが進むビルが広場をつくったり、1階部分の用途がどんどん賑わいをつくる用途に変わっていくなかで地上に賑わいが取り戻される、そういう街並みになってほしいなという気がします。

 あと、チ・カ・ホができたことによって、それだけではないんですけれども、大通駅の地下空間とか、あるいは札幌駅の地下鉄の地下空間のクオリティが格段にアップしたと思うんですよね。賑わいによって。あれはやっぱりチ・カ・ホがモデルになって、ああいう整備をすると市民に受け入れられるし良い場所になるっていう、それが波及していって良い姿に変わってきているんじゃないのかなっていう気がします。チ・カ・ホは、チ・カ・ホだけではなく、広く言えば都心のまちを牽引するモデルとして、いろいろな役割を果たしたのかなと改めて感じています。


内川:ありがとうございます。いま、地上の話がでてきましたけれども、地区計画でセットバックした空間が昨日から、立ち呑みができるオープンカフェみたいなものが、あるビルでは置かれるようになったりしてですね、やっとそういう使い方をしてくれる空間ができてきたなという気がしています。

 去年は人通りが全くないというような感じだったんですけど、徐々に人が戻ってきていています。当初(2010年)の地上の通行量、3万人に近づいてきていて、いろんな建て替えを踏まえながら地上部の賑わいも取り戻せていけたらいいなあと思っている次第です。残り時間も僅かとなりましたので、芳村さん、まとめの言葉があればお願いします。


芳村:まとめというほど偉そうなことは言えないですけれども、私にとってはやっぱりチ・カ・ホ=まち会社、エリアマネジメントということは、切っても切り離せないものなんですよね。

 それで、まち会社つくる時にチ・カ・ホの指定管理、活用をやるだけではなくて、きちんとまちづくりに取り組みますという10年計画をペーパーにして地権者の方々にお見せをしたなかで、まち会社は10年後こんなことをやっていますというということのひとつに、地区計画の推進というのがありました。もうひとつは、再開発等の調整ということが10年以上前の資料に書いてありました。

 その当時は本当に10年後に出来るかな、ただ、少し風呂敷広げないと誰も良いねって言ってくれないから、当時は多少背伸びした目標だったのかもしれないですけれど、それが地区計画の推進というか、地区計画の変更といったものを、まち会社が事務局となっている札幌駅前通協議会が提案をできたということと、まさに開発案件の調整をする開発検討委員会というものができて、それもまち会社が事務局となって、現在いくつかの案件を地域、行政そして開発者の間に入って調整をしているっていう、本当に10年以上前に目標として掲げたものをきちんとやっているということはやっぱりすごいなと思うとともに、実際に建て替えが進むということは、先ほども言ったかもしれませんけれどもチ・カ・ホのポテンシャルというところに依存するところも大きいなと思っています。

 やっぱり、チ・カ・ホを整備、そして、その後の活用を当初から考えていただいた札幌市の人をはじめとした、地元の人も含めた先見の明に頭が下がる、といった思いです。

2018_12_クラシェ

開通当初から行っている主催事業「クラシェ」

内川:チ・カ・ホ開通当時大通まちづくり会社にいた柴田さんからは、チ・カ・ホが出来上がるというのはどう見えていたのでしょうか?


柴田:私、近くの中学校を卒業したくらい、比較的近くに住んでいたんですね。当時、ここの場所というのは名前がない場所だったような記憶が残っています。10代、20代の頃だったんですけど、お恥ずかしながらそのくらい印象が全然なかったというところだったんですね。チ・カ・ホができたことで、本当にここが人が集う場所になって、そこがなぜ出来たのかというのを聞けて、すごく感銘を受けました。お伺いしたいのは、さらに10年後、こんな人たちに使ってほしいというイメージはありますか?もしあればお伺いしたいです。


芳村:指定管理やっているまち会社の立場から言うと、やっぱり稼働率というのは大きいと思うんですね。それで、10年前はまず質より量だよねというのがあったと思うんですけど、これだけ稼働率が上がったら質にもこだわっていきたいというか。

 それは、今やっていることがだめという意味ではなくて、様々なことが毎日、初めて見るようなことも起こるような、ワクワクするような空間を、今は多少マンネリ化していることは否めないので、そういったものを目指したいと思っています。

 それはまち会社が指定管理を受けている部分だけでは実現できないと思うので、行政の方はもちろんですし、やっぱり接続ビルの方なんかとも連携、協力してチ・カ・ホ全体をそういったかたちで、接続空間とか、あるいは沿道ビルの中の民地も含めて一体的なことをやってはじめて多様な使い方・活用ができると思うので、これから接続部分も増えるので、そういったことを目指してやっていきたいなと思います。

 それがこれから10年のミッションかなと思います。それは地上部の活用も含めて一体となった活用ということですけど。そんなことを今考えています。


内川:石塚さん、10年後のまちに対してエールをお願いします。


石塚:引退したいと言っている人に10年後を問いかけるのはいかがなものかと思うんですけども…。


清水:また引っ張られますよ(笑)。


石塚:ただ去年あたりからコロナとどう付き合ってくのか、この先10年くらいなんらかのかたちで付き合っていかざるを得ない状況になる可能性も強いんじゃないかなと感じています。

 そんな中で、今までまちなかに行くというと、どこかのお店に行ってショッピングをするとか、どこかのお店で美味しいもの食べるとか、そういうことが動機になっていたかと思うんです。これからは、そういう場所に行くということだけではなくて、公共空間そのものに行くことが魅力になっていく。

 そこだとソーシャルディスタンスや、屋外空間だということの安心さを得ながら、楽しい時間を過ごせるという。そういう場所をどうつくっていくかというのが、重要な10年になるんじゃないかなと思うんですね。そういった点で今チ・カ・ホがこれまでに培ってきたものを、更にそういう視点から磨きをかけていくというところが重要なんじゃないかなと改めて思っています。


内川:ありがとうございます。結構、ソーシャルディスタンスの取り組みもしていて、ニュースにも出たことありましたよね。


石塚:さっき内川さんも言っていましたが、セットバックしたところにカフェが出るっていうのも、まさにコロナ禍ということを逆手に取れば、そういう空間で安心して時間を過ごせるし体験をするということが重要になってきて、今までつくられてきた広場をさらにどう活用するか、というのが新しいミッションになっていくんじゃないでしょうか。チ・カ・ホだけじゃなくて。


内川:ありがとうございます。では清水さんからも、お願いします。
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清水:はい、多分これから10年というと、2030年とかになりますから、その時には新幹線が繋がって、駅前の北5西1、西2を中心として北4西3も含めて、大きな再開発系のビルが、まちが大きく変わる転換期になると思います。

 一方で駅前通については、確かに駅前通はチ・カ・ホができて10年間良い形で街並みがつくられつつあるなかで、ちょっと東側の裏道、さらにその次の西2丁目とかを考えた時に、今一歩東西の広がりがないと考えたときには、その10年後の新幹線の開通に合わせたまちづくりと、駅前通をモデルとした都心の新たなつくり方っていう、それはどういうものを目指してどういうものをつくっていくかというのは、都心まちづくり計画も含めて改めて再考するタイミングが来ているんじゃないかな、という気はしていますが、私も残り数ヶ月しか現役がないものですから、卒業したあとは石塚さんと同じように見守って参りたいと考えております。


内川:ありがとうございます。では締めに八柳さん、お願いします。


八柳:清水さんの話聞いていて思ったんですけど、10年前に一生懸命やってた人は退職されて、第二の人生を歩んでいる人は多いんですよね。優秀な役所じゃなくて民間的なマインドを持った人が結構いるので、そういう人に声をかけて、ボランティアでいいからまち会社のいろんな活動でもいいし、手伝ってもらうようなことをやっても面白いんじゃないかなあと思っています。


内川:八柳さんはいつもボランティア皆勤賞、ありがとうございます。


八柳:いえいえ。石塚さんも言っていたんですけど、やっぱり魅力的な公共空間が大事だなと思って。歳を取って役所を辞めたときに、自分の行き場所とか友達とか失っちゃうんですね。

 その時に、例えばチ・カ・ホに来て通りを歩いている人を見ているだけでも、ひとりじゃないんだという気持ちになるし、サードプレイスじゃないですけど、家や職場以外のほっとする空間みたいな役割みたいな。まあ地上がやっぱり一番大事だとは思うんですけども、そういうような地下と地上の雰囲気をつくってってもらうといいなと思うんですよね。地上にはベンチをもっと置いたほうがいいと思うんですよ、すぐできるし。

 それから、清水さんが再開発の部長だったんですけど、公開空地とか使った商売は役所がダメだって言ってできないみたいなんで、そういうのをまち会社がコントロールするようなかたちであれば、物売っていいよとかコーヒースタンド出して良いよみたいなことをやるように皆んなで考えていったらどうかなって、…清水さんを攻めているわけではないですけども(笑)。


清水:そういえば、私が今の維持担当部の前に再開発系の部長をやっていた時に、大同生命ビルの建て替えがあり、そこへの補助金の交付という形で支援したというところも、チ・カ・ホとの関りでしたね。

 戻りまして、最初、地下歩行空間つくったときも、道路でいろんなもの売ったりするなんて考えもできなかった時代です。道路法が、いろんな活用をできるように緩和をしていってたんですね。その時期とタイミングが合って、それをかなり道路の使われ方に対して前から議論があって、改良していこうということになったので。

 今の再開発事業で公開空地を商売で使えないというのも、国が決めた補助対象の基準ルールなんですよ。チ・カ・ホの時と同じように、そういうふうに使うべきだという議論をもっと盛り立てて、国の方で基準を柔らかくしてもらうという動きを皆ですることが手始めに大事なのかなと思います。


内川:ありがとうございます。魅力的な公共空間になるようにと、10年間進めてきましたけれども、これからのいろんなアイデアや宿題をいただいたところなので、今後も良い空間づくりをして、ちゃんとまちに繋がっていく、そんな空間にしていければなと思います。本日はどうもありがとうございました。

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★「チ・カ・ホは生きている〜札幌駅前通地下歩行空間誕生秘話〜」の内容は最終回となります。ご覧いただきありがとうございました。次週は本座談会後の"番外編"をお届けします。

チ・カ・ホ開通10周年企画座談会
「チ・カ・ホは生きている〜札幌駅前通地下歩行空間誕生秘話〜」
収録日|2021年7月13日(火)
会 場|眺望ギャラリー テラス計画
登壇者|八柳壽修(東亜道路工業(株)技術顧問 技術士)
    清水英征(札幌市建設局土木部維持担当部長)
    石塚雅明(株式会社石塚計画デザイン事務所 顧問)
    芳村直孝(札幌駅前通まちづくり株式会社 代表取締役社長)
モデレーター|内川亜紀(札幌駅前通まちづくり株式会社)
撮影|Doppietta photo

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