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N3-セネガル人コミュニティのサッカー大会で食べる西アフリカ料理

私にはセネガル人の友人(男)がいる。私の学生時代のインターン先で働いていた元同僚の彼は15歳の時に従兄弟達といわゆるボートピープルとしてヨーロッパに渡ってきた過去がある人だ。(未成年の移民の話はまた今度)

先日、その友人から電話があり私の家の近くで西アフリカ地域チームのアマチュアサッカー大会があるから良かったら応援に来ないか、と誘われた。私はサッカーが全く好きではない、ルールすらあまりよくわかっていない。それを知っている彼が誘ってきたと言うことは何かきっとあるはずだ。
「バーベキューやったり、いろいろ屋台みたいなのが出るよ。いつもお世話になってるからその日は俺の奢りで何でも食べて」と彼は続いた。
無料で食べられるというのに行かないわけがない、二つ返事で了承した。

当日、12時頃にサッカー場に行くとその周りでバーベキューで炭を起こし始めていた。
友人のチームはセネガルのGoumbaleyという小さな村の出身者とその友人(この辺の境目はかなり曖昧)で構成されているチームで、その他にもセネガルの別の地域の出身者のチームや、コートジボワール、ギニアなどのチームもあった。全部で10チームが参加していた。
西アフリカから労働者としてフランスに来た彼らの数少ない娯楽がサッカーなのだ。みんな自分のチームのユニフォームを着て本気度が伝わってくる。

何度か面識があった友人の従兄弟達とおしゃべりしながらバーベキューの肉が焼き上がるのを待った。が、一向に肉を焼く気配がない。みんなゆっくり準備をしている。お腹を空かせた私を見て、友人の従兄弟がビサップ(ハイビスカスジュース)をくれた。


ビサップ(ハイビスカスジュース)

セネガル人の90%はイスラム教徒なのでお酒はこういう場にはない。イスラムの国あるあるだが、甘いものをよく飲む。このハイビスカスジュースも一体何キロの砂糖が入っているんだ、というくらい甘い。

ハイビスカスジュースでお茶を濁していると、大きなバケツを持ったおばさんが現れて、「パステル3つで1€」と大きな声で叫び始めた。パステルはいわゆる皮が厚めの揚げ餃子。中身はツナ、または牛肉とトマトを煮込んだものを詰めてることが多い。
もちろん、買わないわけにはいかない。

パステル これはツナ入りだった

そんなこんなしているうちに、友人のチームの試合が終わって友人とやっと合流。
すっかり食べる事に気を取られていたが、一応メインはサッカーの試合なのだ。どうやら負け試合だったらしく、チームで作戦会議をするらしくまたどこかへ行ってしまった。

「バーベキューの肉焼けたみたいだよ」と友人の従兄弟が声をかけてきたので早速バーベキューの近くに向かう。串刺しにした肉をマヨネーズがかかったパンに挟んで食べる。入れたい人は生の玉ねぎを入れる。西アフリカのサンドイッチはこんな感じのものが多い。

サンドイッチ

サンドイッチを食べていると、バーベキューで肉を焼いていた人がどこかへいってしまい、近くにいた友人の従兄弟とその友人と焼き場を任されてしまった。

Merguez(メルゲーズ、北アフリカでよく食べられる)羊のソーセージと串焼き

タダ飯が食べられる、と思ってきたのにまさかの働かされるとは、と思いながら無心で串焼きを焼く。友人の従兄弟も軍手がないから熱い、といいながら串焼きを焼いている。しばらくバーベキュー係を務めていると、元々バーベキュー担当だった人がさっきとは別のおばさんを連れて戻ってきた。
このおばさんはデザートを売りにきたらしい。私も大好きなデゲ(チャクリとも言う)を売りにきた。
(デゲは前回の記事にも書いた、西アフリカの唯一と呼べるデザート)

デゲ(チャクリ)

デゲは中に入っている穀物のせいでお腹にすごく溜まる。サンドイッチを食べた後にズシンとくる甘いデザートだった。

そんなこんなをしているうちに友人はなんと二試合も終えて、決勝戦に残れたらしく喜んでいた。
「試合見てた?」と聞かれ、いやごめん全然見てなかったと答えてると、笑いながらやっぱりね、食べる物結構あったから忙しかったでしょ、と言われた。
なんだかんだ決勝戦はきちんと応援して、(ルールが分からないからなんとなくですが)無事彼らのチームは優勝できました。

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