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N4-パリで食べる中国式朝ごはん

フランスには1世紀以上前から中国人が住んでおり、その中には労働者として来た移民もいれば、1970年代に中国共産党設立時に政治難民としてフランスから保護されていた人たちもいる。
現在では、二世、三世の人たちがフランスで生活している。パリ、またパリ郊外には中国人コミュニティが集まる地域がいくつかある。

今回はその1つであるBelleville(ベルブィル)という地域にある中国式(台湾式なのかも知れない)朝ごはんが食べられる場所を紹介したい。

このBellevilleはパリの北東側にある。地下鉄2番線または11番線から外に出るとすぐに目につくのは、たくさんの店が中国語の看板を掲げていることだ。その他にも少数派ではあるがアラブ系、アフリカ系の店もあり、移民が多い地域なのが分かる。

(この地域は「餃子アパート」と言って、不法移民がアパートの中で餃子を作り、それをレストランに売るということをしていた元締めが警察に逮捕されて有名になってしまった場所でもあるが、堅苦しい話は別の機会に)

地下鉄Belleville から歩いてすぐのところにBest Tofuという、豆腐屋さんがある。てっきり豆腐屋かと思いきや、中国式の朝ごはんが食べられるとのこと。

店内は狭く、テーブルがいくつか並んでいるが、せいぜい15人程度が座れるくらいだ。

中に入るとすぐに目につくのは大量の肉まんと揚げパン。

一つずつ包まれた肉まん


揚げパン

肉まんは豚肉入りと野菜入りがあり、1つ1.3€(現在のレートで日本円で210円ほど)とお手頃な値段だ。
揚げパンは1つ1.2€(現在のレートで日本円で190円ほど)。
昼前にも関わらず店の前にはお持ち帰りの注文待ちの人が数人待っていた。

客のほとんどは中国人で、全員豆腐の汁を頼んでいた。
私も早速真似をして注文。

この豆腐汁に揚げパンをつけて食べているのを真似して食べてみる。味はあっさりめ。それよりも豆腐がとても美味しい。豆乳ももちろん美味しい。
さすが豆腐屋だなぁ、と思いつつ食べ進める。

揚げパンがキツくなってきたので隣に座っていたおばさんに半分いらないか、と聞いてみた。
おばさんは少しびっくりした顔をして、いらないよ、と言ってきた。
そのまま食べ続けていると、おばさんに中国語で話しかけられた。フランス語があまりできないらしくカタコトで離し続ける。日本人だと言うとへー、とだけ言われた。

ちなみにこのおばさん、豆腐汁だけを注文し、後は自分で持ち込んだ蒸した里芋を食べていた。
(他の客も持ち込みして食べていたから普通なのかもしれない)
おばさんがおもむろに、アルミホイルに包まれたものを出して私に「魚のフライ、食べて」と指差して言った。
せっかくの好意を無駄にしたくなかったのでいただいた。

おばさんの持ち込み魚のフライ

魚は鯖のフライでとても美味しかった。
私の唯一知っている中国語ハオチー(美味しい)と言うと、おばさんはニコッと笑い、もっと食べろと進めてきたが丁重に断った。


店を出ると、3人ほどの若い女性が道端に立っていた。食べることに気を取られていて忘れていたが、Bellevilleは中国人売春婦が多くいる場所でもあるのだ。
なんとも言えない気持ちになりながらその場を後にした。

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