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栄養と心の飢餓感

期間を決めて食事を断ち、
心身の健康を整える
ファスティングが流行っている。
私も興味本位で
何度か試みたことがある。

しかし、
気持ち悪くなったり
頭が痛くなったりすることが多く、
体質に合わなかった。

確かにやり遂げたあとは
スッキリしてるのだが
その過程がどうもしんどい。



それに、
ファスティングをしていると
どうしても思い出してしまうのだ。





私は中学生で、若くして膵臓炎になり、
膵臓と小腸をつなぐバイパス手術をするため
三ヶ月ほど入院したことがある。

バイパス手術、という言葉の響きが
すでに大層な感じがするが
ほんとに大変な手術だった。

膵臓は沈黙の臓器、
ともいわれるように、
調べることが難しい。
正確に検査をするために
私はなんと2週間も絶食をした。

その期間は食事も飲み物も、
お水さえ飲んではいけなかった。

点滴はしているので、
栄養は足りている。 
けど、口から何も食べれないとは、
なんと苦しいことか。
食事をするとは、
なんと偉大なことか。


「点滴をしてるから、
空腹感は感じないはずだよ」 


病院の先生はそう言い放った。

子どもだった私はその言葉を
素直に信じようとしたけれど、
今ならこう言うだろう。

「んなわけあるか、ボケェ!!!」笑

(汚い言葉でてすみません)

ご飯を食べるのは、
栄養をとるためだけじゃない。

料理を味わい、見て楽しむこと、
家族や友人、大切な人と
時間を共にすること、
それは、心の栄養になる。

そのときの私は
栄養学的には問題なかったとしても
精神的には飢餓感でいっぱいだった。

ただでさえ面白くない入院生活なのに
ご飯を食べる楽しみを奪われ、
テレビをつければ
お菓子のCM、グルメの番組、
気が狂いそうだった。

歳の頃は13歳、まさに食べ盛りの
お年頃だっていうのに。
この時もっと沢山食べてたら
胸だってもう少し大きくなっていたかも…
ってそこは関係ないか。笑


今ほど食べ物が豊かでない時代に
生きていた人の前では
笑われるかもしれないが、
食べ物はあるのに
食べられない
というのは
つらい経験だった。

あの時のことを思い出すから、
私はファスティングが
できないのかもしれない。

そして、あの飢餓感は、
忘れたい記憶ではあるけれど、
忘れてはいけないもののような気もする。




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