エジソンから学ぶ食の多様性|1日5食の闘病生活
一般的に食事の頻度は「1日3食」が定番となっています。朝食・昼食・夕食です。
朝は目覚めた後に一日を健やかにスタートできるよう、朝食を食べてエネルギーを補給します。
昼には仕事や勉強などで一時的に不足してしまった栄養素を補うよう、休憩も兼ねて昼食を摂ります。
夜は家族や友人とのコミュニケーションの機会として、夕食を摂ります。
これらは多くの人々にとって日常的な習慣となっており、健康上の観点からも適切な頻度の食事回数だとみられています。
しかし、1日3食という習慣は本当に健康に良いものなのでしょうか。
発明王エジソンと1日3食の関係
「1日3食」の習慣について考えるとき、ひとつの有名な逸話があります。
それは19世紀~20世紀にかけて、発明王として知られたエジソンが、自分が発明した電気トースターの売上停滞に伸び悩んだ時にメディアに対して、自分は食事を「1日3食」食べていると説明し、自ら電気トースターの需要を伸ばしたという話です。
この話には諸説ありますが、エジソンが活躍したこの時代に電気製品が爆発的に普及したことは事実です。
それまでの家事労働は現代ほど簡単なものではなく膨大な時間が掛かっていたため、これら家庭での電気製品の使用を通じて食事の準備や消費の方法が簡便化されました。
結果的に1日に3回食事を準備して摂取することが簡単になったため、「1日3食」という文化は定着していったようです。
このことから、「1日3食」という頻度で食事をしているのは20世紀以降の現代人であり、それまでの人々はそこまで頻繁に食事をしていなかったと考えることができます。
全世界史を通して考えると現代人は「1日に何回も食事し過ぎ」なのかもしれません。
1日5食の闘病生活|驚きの栄養摂取方法
プロフィールに書いた通り、僕は20代の前半に胃の全摘出手術をしたことがきっかけで、手術後の闘病期に1日3食の食事ができなかった時期があります。
それは、1日に3回も食事ができなくなったのではなく、主治医から「1日5食食べるように」と指示されていたからです。1日3食どころか、1日5食です。
「どういうこと?」と思われるかもしれませんが、それには非常にシンプルな理由があります。
胃を全摘出すると一回の食事で食べることができる量はほとんどありません。そのため1日3回の食事では1日分の栄養摂取が足りないのです。
1回の食事で摂取できない栄養素を、1日のうちにできる限り多くの回数に分けて少しずつ食べて栄養を補給しよう、ということです。
朝食ではパンをひと切れ口にして、その後は間食としてクッキーをつまみ、昼食にうどんを数本すすり、間食でカロリーメイトをかじり、夕食には消化に良い豆腐ハンバーグを食べてみる。術後数か月を経過した時はこの様なラインナップで食事をしていました。
この生活を経験したことから「1日3食」という習慣に疑問を抱くようになります。
もっと個人の状況にあわせて食事をしてもいいのではないか。そう思ったのです。
固定概念は捨てて自分のペースで食べる幸せ
過去に「和食は本当に体に良いのか」という、和食への一般的な信仰心に疑問を投げかけた記事を書いたことがあります。
ここでも僕の闘病経験で感じた疑問を書いています。胃を失って闘病している時に、一般的に健康であると信じていた和食を食べることが、胃を失った状況の当時の僕には非常に相性が悪かったのです。
食事の回数もそれと同じだと思います。「1日3食」という習慣が絶対的に正しいわけではないし、「和食は身体に良い」という信仰も、食べる人それぞれの相性によるものです。
もちろん、「1日3食」は現代の生活習慣において非常に適した食事頻度だと思いますし、和食が身体に悪いとも決して思ってはいません。
しかし、当時の僕の様に摂食に困難な事情がある人が、これらの常識に捉われてしまって「食事をしなくてはいけない」と無理に悩んでしまっているところを見たことがあります。
食事を残すことは罰が当たるという考えのもと、嫌いな食べ物を無理して食べてストレスを感じる人もいれば、摂食障害に苦しんでいる人もいます。
食料資源が有限であるこの現代において「食事ができる」ということが本来は非常に幸せなことであるはずです。
そんな幸せな行為を、固定概念やこだわりによってストレスのある行為にしてしまうのは、少しもったいないのではないかと思うのです。