コーヒーが教えてくれた新しい日常と生きるヒント
今まで普通にできていたことがある日を境に急にできなくなった時、人は大きく動揺してしまい失意のどん底に落ちてしまいかねません。
よくある理由の筆頭が病気やケガで、その日までは普通にできていた運動が困難になり、食事にも制限が必要になることが多いです。
人生は長く続くものなので、そういった困難な経験は誰しもが一度や二度は遭遇するものだと思います。
僕自身もそのような経験があるので、その際にどのように乗り越え、どんな工夫をしたのかを共有したいと思います。
乗り越えるきっかけをくれたのは、コーヒーでした。
何かができなくなる、それは想像よりも辛い
僕の場合は23歳の時に胃の手術を受けたことで、その苦境に立たされることとなりました。
手術した部位が胃であるため、飲食に関わる制限となってしまいました。そして、当時の僕はお酒も飲み煙草も吸っていました。いずれも当然禁止されることになります。
食事量は激減します。うどん一本で満腹になってしまうほどで、食事回数は1日5回以上に分けて少しずつ栄養を摂取します。食事よりも薬の方が多く摂取していました。楽しくない毎日。
禁酒禁煙、そして食事ができない、あとはジュースを飲むくらいしか嗜好品を通してリラックスをする手段がなくなってしまいました。
ここまで追い込まれてしまった当時の僕は、この状況でも何か楽しめるものが他に何かないか、崖っぷち状態で色々と考えており、ふと「コーヒーにこだわってみよう」と思いついたのです。
食事制限が教えてくれたコーヒーという福音
療養していた当時の僕は仕事を休職していたので時間だけはたくさんありました。
そのため、思いついたことをすぐに実行すべく、さっそくコーヒー豆やコーヒーを淹れるための器具について調べることから始めました。真剣に調べ始めてみると様々な知識を得る事となります。
今まで自販機にお金を入れてボタンを押してサッと飲んでいたコーヒーが、実は様々な国のコーヒー豆から作られていた事を知ります。さらに、その抽出過程は非常に緻密で、多様な器具を駆使し、複数の工程を経て丹念に行われる事実も知ることになります。
今までの浅はかだった自分を深く反省しつつ、コーヒー豆を挽いてドリッパーにセットし、ゆっくりとドリップを初めてみたところ、挽いたコーヒーにお湯を注ぐ行為が何だか心を落ち着けてくれることにも気づき始めていました。
そしてサーバーからマグカップにコーヒーを注いで、立ち昇る良い香りを楽しみながら熱々のコーヒーを口に運んだ時、本来のコーヒーはこんなにも美味しくて心安らぐ飲み物だったんだと心の底から感動したのです。
これ以来、ほぼ毎日のようにコーヒーを楽しんでいます。
そして、この経験はその後の僕にとって、新しい日常だけでなく、人生における困難を乗り越えるヒントも教えてくれています。
何かができなくなった時には別の何かを考える
禁酒禁煙ほぼ絶食の僕を救ってくれた香り高いコーヒーは、その後の人生にも価値ある学びを与えてくれています。
何かができなくなった時には別の何かを考えるという、マインドをポジティブに切り替える発想は、今でも大いに役に立っている考え方です。
胃の病気を患った年配の男性には、術後の健康指導によって禁酒を命じられて絶望してしまう人が多いそうです。胃を摘出するとお腹が膨れる炭酸を飲むことが好ましくないため、ビールを我慢することになります。
今まで仕事終わりに毎日自分を癒してくれていたものが、ある日突然飲めなくなるので無理もありません。
しかし、本来的には病気の治療ができたことを喜ぶべきところを、もうビールが飲めないという絶望によって喜べていないのは少しもったいないと思います。
そういう気持ちになるのはわかりますが、やはり気持ちを切り替えて別の何かを楽しめるよう、アイディアを膨らませて積極的に試してみた方が、その先の人生はより豊かになるはずです。
ボブ・マーリーの『Coming In From The Cold』という曲に下記の歌詞があります。
和訳に自信はありませんが「ひとつの扉が閉じてしまった時も、もうひとつの扉は開いている」といったところでしょうか。
何かができなくなった時には、その厄災を嘆くのではなく、これからできることに意識を向けると、困難な状況でも前向きに生きていくことができるはずです。
この記事が、何かができずに辛い気持ちになっている人のささやかなきっかけになると非常に嬉しく思います。ここまでお読みくださりありがとうございました。
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