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数値やファクトのなかのリアル

物事を議論したり、論理的な思考をしたりするうえで、大切になる情報が数値やファクト(事実)です。数値やファクトに基づいた資料は「根拠のある資料」であるため、これにより物事を論理的に議論することができます。

世の中の流れなども、データを分析してみることで、人々が思い描いていた印象とは異なる事実がわかることもあります。客観的に正しい認識をするために、数値とファクトは大切な要素なのです。

そのため、世の中にはありとあらゆる膨大なデータが公開されており、インターネットを利用すれば、それらの情報にすぐにアクセスすることができます。また、アクセスをしなくとも、日々のニュースで自然と目に入ってくるでしょう。

代表的な指数としては、一人当たりの生産性を示すGDPや、日本経済の代表的企業の株価が反映される日経平均株価やTOPIXが思い浮かびます。

その他にも、世界各国の人口や、日本国内の自治体ごとの人口、世帯当たりの収入など、様々な視点からデータを手に入れることができます。

これらを正しく取得して認識し、世の中を見ることで世界への理解はぐっと高まります。

しかし、その理解は本当に正しいものなのか。データよりもう一歩奥まで踏み込んだ方が面白くなります。

昔読んだ佐藤優の本で、経済学と小説について紹介しながら「経済の本だけでなく、小説も読んでくださいね」と書いてありました。

経済学によって社会のことをよく理解することはできるけれど、小説を読むことでその経済のなかで人々がどんな思いを抱いて生活をしているのかがわかり、社会に対して血の通ったイメージができるようになるということです。

この考え方を知ってから、僕はできる限り数値とファクトのもう一歩踏み込んだところにまで、イメージを働かせるようにしています。

本を読んだりインターネットで調べものをしたりすることで、全世界の国々の情報は入手することができます。中国やインドの人口やGDPもわかれば、南米のコーヒーやビールの消費量まで調べることができます。

しかし、やはりその国まで足を運んで現地の人々と交流をしない限り、本当の血の通ったイメージはできません。僕はインドには行ったことがあるので、人口増加や大気汚染の事情だけでなく、彼らの嗜好品や宗教観、食習慣や移動方法など、様々な側面から血の通ったイメージをすることができるようになりました。

かつてスペイン語を勉強していた時に多くの南米出身の友人と交流をしていました。彼らは現地の治安が悪いことを認めはするものの、いかに治安が悪く物騒な事件が起こるかを笑い話として楽しそうに語っており、そのポジティブな国民性を目の当たりにしました。これにより「治安が悪い」というだけのネガティブなイメージは払拭されることとなったのです。

では、株価の様な企業の情報はどうでしょうか。

株価は日々変動し、投資家に利益と損失をもたらします。基本的に優良な企業であれば中長期的には成長する見込みがあり、投資家はその成長の果実を受け取ることができます。

その株価に一喜一憂するものですが、その時に、なぜ企業が投資家に成長の果実を与えてくれるのか、考えてみることが大切です。

よくよく考えると答えは簡単で、その企業の従業員が一生懸命働いているからです。彼らの労働が企業の成長に寄与し、企業は顧客に価値を提供して利益を得ます。その利益は投資家に分配されていきます。

だから、持っている株の価値が上がったり、配当金が支払われた時には、その企業の従業員の働きぶりに思いを馳せるようにしています。

こうして、数値やファクトだけではなく、そのもう一歩深いところまで足を踏み込んで思いを馳せると、世の中はもっと面白く見えてきます。

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