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第一章 初めての土地で単身出張、二泊三日の場合①

⇩ <序章>及び<目次>はこちら

第一節 道路幅の選択

 貴方は初めて訪れる不慣れな土地に出張で訪れました。本来は取引先との会食が入っていたのですが、先方に急な所用が入り、急遽その夜は単身で食事をしなければなりません。貴方がもし、食事に興味が無く、一刻も早くホテルに帰って動画でも観るかという方ならばこのお話はここで終わりです。しかしそれではお話にならないので、貴方は一定の好奇心と冒険心をお持ちである設定とさせていただきます。更にはその翌日も含めてその地域を愉しみたいという気持ちをお持ちの方と致しましょう。

 さてここでホテルのコンシェルジュ等で近隣の飲食店の案内を受ける、若しくはネットで近隣の情報を検索する等の方法を採る事が一般的ではありますが、街というものは一種のジャングルであり、自身は冒険心豊な探検家であると自覚のある貴方は、敢えてその様な手段に頼らず、本能に従って街に繰り出す決心をしたとしましょう。勿論、かつての探検隊が不明確な地図とコンパスを頼りに未開の地へ赴いた様に、ある程度の下準備の必要性を認めても好いでしょう。
 ホテルの玄関を出た貴方は先ず何処へと向かうべきなのか。

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 ここで街探検の最大ポイントとなる点について論じます。
 「基本的に自身の求める店舗の資本力は、その店舗が面する道幅に準拠する。」という論です。これは今後、どの様なシチュエーションであろうとも、街探検の基本中の基本になる概念です。もし貴方が保守的価値観を強くお持ちで、失敗したくないとお考えの場合、道幅の広さが安心の証となるでしょう。つまり、道幅が広いという事はそれに面する土地の価値は高く、ひいてはテナント料も高い事は間違いありません。その様なテナント料の高さに耐えうるとしたら、大手のチェーン店か、有名高級店しか在り得ないからです。政令指定都市であればほぼ間違いなくこの理論は当て嵌まります。
 もし片側6メートル以上の道路沿いに建つ、築年数の浅いインテリジェントビルの1階にその店が所在する場合、まず間違いなくテナント料が冗談では済まない金額となるでしょう。その様なお店で支払える余裕が有ると仰る方も多いと察して居ます。しかしながら潤沢な資金に恵まれた貴方であったとしても、その様な高級店の広いテーブルで、たった一人で食事をする勇気をお持ちであるどうか。その点に是非留意していただきたいのです。

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 そこでここは私のお勧めの道路幅、片側1車線以下の道路幅を狙う事にします。片側1車線の道路幅であっても、可能であれば列車の高架下に入る店舗等がより望ましいです。そして食事の後の二店舗目、つまりより街の深いエリアに探検を進めるのであれば、この時点で最初に築く拠点を、片側1車線、つまり一方通行の道路沿いに所在する店舗に置く事が、今後の探検の成果を出すために必要な勇気ではないでしょうか。最善を尽くすために最初のベースキャンプの所在地を、駅の再開発がされていない方(多くの地区でほぼ確定されている理論ですが、線路を挟んで大体片方が再開発により整備され、反対の方面は旧市街地が広がる事が多い。)の一方通行の道路沿い、可能な限り高架下か古い雑居ビルの中に所在する店舗に定める事を強く推奨します。
 そこで貴方は私の助言に従い、駅やターミナルから400メートル離れた一方通行の道路沿いに建つ、築30年超の雑居ビルを見定めました。第二節では店舗選びについて論じて参ります。

⇩<第2節へつづく>


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