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短編小説 ITO

あらすじ

いろんな「いと」をそこかしこで見つけることができる物語。

「そこ」では、皆苦しみながら生きている。

生きている?そこが生きているならば、ここは何?

「大体、何故私はこの場所にいるのかしら。そして、いつからいるのかしら。
周りの人たちと話したことはこれまで一度もなかった。
話したいと思ったことも一度もなかった。
ただ、漏れ聞こえてくる話し声を耳にするだけだ。
と云うよりも、話すような余裕などありやしないのだ。ずっと、飛び跳ねるようにして走り続けなければならない。その足元は針山だ。痛いのかどうかなど、最早感じるような心は持ち合わせていない。
そのランニングマシーンに見えるような針山は数え切れるような台数ではなく、それにみな踊らされるかのように走り続けている。時々は弾かれて背面から倒れ、針山に刺さっているものもいる。
なのに不思議だ。
ここの罪人は、どんなに過酷な目に遭っても死にゃあしない。何故なのだろうか。」

ここは、どこ?

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18,865字

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