双子の臍の緒
ひとは私と姉の見分けがつかない。姉といっても一卵性双生児で、母とはろくに話をしたことがないから、四歳の冬にじゃんけんをして負けたほうを姉と決めた。いつか二人で母の部屋の引き出しを漁ったことがある。奥に木箱があり、臍の緒が入っていた。微妙に形の違う、白っぽい二つの肉片。どちらが自分のものか私たちはわからなかった。十四歳の春に一人の男を愛した。三人で暮らし始めた。臍の緒の話を、男は夜の深まる境によく聞きたがった。私は男のそういう心情を嫌った。姉は好いているようだった。
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