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昏し、暮らし

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#エッセイ

清潔で、とても明るいところ

伊丹空港に行った。べつに用もなく。 展望デッキに出ると、見渡す限りよく晴れた空が広がって…

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大連への旅の脆い記憶

円安らしい。どういうことなのかは知らん。これは冗談ではなくマジで知らん。 高校時代、授業…

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とある下町の思い出

野暮用で、昔住んでいた街を訪れた。苦しい記憶が多いせいで、離れて間もない頃は近くを車で通…

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知らない街

地元で小洒落た催しが開かれていた。なんか素敵な街みたいになっていて、嘘つけ! と思った。 …

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バイパス道路

りんご娘のメンバーだったジョナゴールドの『7号線』を、たまに聞く。ひま、といい加減に付け…

先生

中学生の頃、ある日の美術の授業で、コラージュ作品の課題が出た。雑誌や植物など、持参したも…

古い灯台

和歌山をぶらぶらした。小雨が降っては止んだ。 心奪われた建物。なんの施設かは知らない。なんであろうがこの渋みは素晴らしい。 和歌山に行くことはあっても、和歌山市内の中心部を見て回るのは記憶の限り初めてのことだった。草臥れた活気とでもいうか、紛うことなき地方都市の趣。目の前の風景の奥にどんな生活が営まれているのか想像が巡る、とても叙情に富んだ街だった。 とにかくきれいな風光を求める心が湧いて、雑賀崎へ車を走らせた。日本のアマルフィの呼び名もある景勝地らしい。誰が言い出したん

禁酒、沁みとキレ、不良、川端康成

気付いたらひと月も酒を飲んでない。酒を覚えて以来こんなことは初めての気もする。 いや、酒…

蛍を見た

ちょっと前のこと。蛍鑑賞会とやらに出かけた。明るい昼下がり、電車で数駅の小さな町へ。 鑑…

書かれた風景

よく人と会っている。近頃は元気なのにかまけて、来る誘いを全て了承して、ときどき疲れ切る。…

都会の端っこの連想

難波中、ってエリアがある。大阪の人でも、特に難波に馴染みのある人しか知らなかったりするの…

貧しさ

また昼夜逆転してる。無職だから別に困らない、ということもない。そこそこ田舎に住んでるせい…

散か雑か

有吉クイズの過去回をいくつかまとめて見た。とても面白い番組。なんで今まで見てなかったのか…

祈りの値付け

蚤の市へ。とある神社の境内で、毎月開かれている催し。 終了時間ギリギリに訪れたものだから、もうほとんどの店が撤去した後だった。まだ残ってるところも片付けを始めている。人もまばらな参道を吹く寒風に小石が転がる。 午前中の雨でぬかるんだ土の上を、微かに波立つ水溜りを避けながら、残っている店から店へと歩き回った。今まさに片付けられようとしている品物たちを、曇り空から差す柔らかい残照が包んでいた。 ある店の親爺が、出遅れた物色者の俺を目敏く見つけて、そばに寄ってきた。今日は全然売れ