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散人の作物

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2022年7月の記事一覧

届かぬ暴走

届かぬ暴走

 デッサンをしている時、私の画力が次第に落ちていくのが如実にわかった。その要因という物は目の前に横たわるデッサンの対象物以上に明らかなる事柄であった。それは恋である。十九歳の私の経験するようなものとすれば適当であり、私を笑うものはいまい。故に今告白しているのである。しかし話はそれで終わらない。というのも恋ならば勝手にしていれば良かろう。それは私とて同意見であり反論の余地のないものである。もしも私が

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