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住んで旅する-移住旅行記②士幌でハスカップを狩る

夫の夢はフルーツにまつわるものも多い。
ハスカップもその一つ。

フルーツ好きな夫は珍しいフルーツに目がない。
食べたことのないものを見つけると買ってくる。

北海道に行くにあたり
目を輝かせたのがハスカップだ。

どうしても生のハスカップが食べたいらしい。

そんな夢が叶ったエピソードの記録。
ハスカップってなに?と気になってる方は、ぜひどうぞ。


夢の果実、ハスカップ

ハスカップってどんな果物なのか。
そういえば、わたしも生のハスカップを見たことがなかった。

北海道のハスカップといえば、
「よいとまけ」というお菓子が有名だろう。
私が学生だった頃からある苫小牧の銘菓だが、カステラ生地にハスカップジャムが挟まっている。外側にも艶やかにハスカップソースが塗ってありベタベタして食べにくいお菓子としても有名だが、わたしはベタベタしたこのソースが結構好き。

それ以外にも、もりもとの「ハスカップジュエリー」などハスカップ関連の有名なお菓子はいくつかある。

最近は、お土産の定番、箱キャラメルにも夕張メロンと並んでハスカップのフレーバーが登場しているのも見た。

と、まるで北海道を代表していそうな果物なのだが、実際はどんなフルーツなのか。
店頭で売られているのを見たことがなく、謎が深いと思う。

やってきた出会い

北海道に住み始めて1ヶ月経った5月。
中札内村から車で40分くらい南下したところにある隣り町、大樹町の道の駅で、冷凍のハスカップが売られているのを発見。もちろんお買い上げ。

黒くて小さい粒の見た目はブルーベリーに似ている。ただし、食べてみるとかなり酸っぱい。
うーん、おいしくないのかも?という予感がよぎるが、やはり生で食べてみたい。
どうしても食べてみたい。

そんなふうに願っていたから、十勝近隣エリアのパンフレットに「ハスカップ狩」を発見したときは喜んだ。

これこれ。

場所は士幌町、時期は6月下旬から7月がハスカップ狩のシーズンだそうな。
あっという間に季節が過ぎるので、前もってカレンダーに書き込み、待ちに待った6月末、開始日の日曜日に行ってきた。

士幌町は、わたしの住む中札内村から北に1時間程度いったところにある。
農業の町として、ポテトと肉が有名だが、ハスカップやシーベリーなどの栽培にも取り組んでいるらしい。

十勝の人は、十勝管内を自在に行き来するという。
士幌まで片道1時間、ときいても近いほう、という答えが帰ってきそうだが、わたしたちにとっては遠出、プチ旅気分で行ってきた。

夢のハスカップ狩

今回、ハスカップ狩のためだけに士幌に向かう。
ハスカップ狩といって、
着いたところには簡易テントが貼られている。
その前に並ぶ低木が、ハスカップだ。 

最初に容器の重さを測り記録する。
収穫後にもう一度測り、風袋を差し引いた分だけkg単価換算でお支払いする、というシンプルなスタイルだ。
会場備え付けの容器に加え、家から持参したザルとボウルで臨む。

容器を測り終えて、ではどこでも好きなところへどうぞとなり、ハスカップ並木へ急いだ。

刈られた草とハスカップの低木が広がる会場。
どこでも好きな木で収穫していい

とり方のコツは3つあるらしい。

①葉っぱをめくりあげてとる
②2つついてるのは両方とるのが正解
③取りやすい木を見つけてとるのがよい

確かに、なかなかとれない木もあれば、ポロリすぐにとれる木もあり、木選びがキモかもしれない。

ポロリととりこぼさないように両手で収穫。
わたしは息子と一緒にピッキング作業に取り組み、
夫はいつのまにか低木の並木の中に消えていった。

ブルーベリーに似ているが、細長いかたちをしている

どれくらい経っただろうか。
小さなハスカップの実は、摘んでも摘んでも、容器いっぱいにならない。

ひと粒ひと粒、手で摘むという作業は、めちゃくちゃ根気がいる。
コーヒーの世界でもハンドピッキングで収穫されるのは高級豆というが、今まさにその価値がわかったような気がする。

ハスカップ狩というから、その場でも少し食べてみた。
熟しているハスカップは、皮が柔らかく、少し力を加えただけで汁が出そうになる。その完熟を口に含むと、まるで葡萄のような味がする。
冷凍ハスカップとは別物で、木上で熟したハスカップにはちゃんと甘さがあるのだった。

友人に送りたいという夫に、係のおじさんが、必ず冷凍便で送れという。
冷蔵では傷んでしまうそうで、洗わずそのまますぐ冷凍、が正解なのだそう。

それほどデリケートとは。
冷蔵で運べないから、生果実では流通しないのかもしれない。

ハスカップが甘い、ということを知る人は本当にひと握りだろう。


大量にとったハスカップは、自宅分は半分冷凍し、半分コンポートにした。
保存ならジャムが定番かもしれないが、正直、ジャムにするとハスカップジャムとブルーベリージャムの判別がつかない。

そんなに長期保存しないのなら、コンポートがおすすめだ。

粒の形が残るコンポートで楽しむ。
ヨーグルトにかけたり、炭酸水で割っても。


せっかく手摘みしたハスカップは、砂糖も少なくて済むコンポートで、粒を残して短めに煮込む。

それでもやはり、ブルーベリーに見える…かも知れないが、これはハスカップだと言い聞かせて楽しんでみよう。

こんなところにハスカップ

さて、子どもたちの山村留学先の小学校ではコミュニティスクール活動というのがある。
先日召集されて参加した草取り活動で、小学校にブルーベリーとともにハスカップが植っていると知る。

こんな身近にハスカップがあったとは!

学校以外にも、村では家庭の庭に植っていることもあるらしい。

どうやら、士幌の気候が特段ハスカップに向いている、特産品、というわけではなさそうで、
十勝ではハスカップはどこにでもある庭木として身近な存在のようだ。

ブルーベリーと一緒に植えられることも多いが
ブルーベリーより甘くないことで冷遇されている感のあるハスカップ。

士幌まで行かずともよかったかもしれない。
と思いつつ、木を選び放題のパラダイスで、完熟ハスカップをいただく体験は、レア度大。

6月下旬から7月上旬と旬の期間は短いが、興味がある方はぜひやってみては。

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