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とある十勝の日常。移住者が見つけた、5月の驚き

十勝の村に移り住んで、1ヶ月半。
どんどんと繰り広げられる新しい日常に忙しい。
長い長い夢を見ているような驚きの連続に、関西から移住した普通のわたしが、適応しながら生きている。
その5月の驚きを記録した。


田舎暮らしの驚き

山村留学を目的に短期移住している十勝の村、中札内。
移住してすぐ驚いたことは、以前の記事に書いた。
4月の驚きの記録はこちら↓

あれからしばらく過ごしてみて、ここの暮らしが日常となった今、
やはり驚くことがある。
じわじわとくる、新しい暮らしの実感と、
たまにやってくる、うわーという大きな驚き。 

タンチョウ二羽

最近タンチョウがやってくると聞いて、見たい見たいと思っていた。
そしたら、買い物の帰りにようやく二羽の白黒の鳥発見!

畑に長い一本足で立っている、白いボディに黒しっぽ。タンチョウに違いない。

留守番をしていた娘に、タンチョウが見えたよ!と報告したら、反応が悪い。
「見たことある」。

え、どこで?

なんと「学校の女子トイレの窓から見える」とのこと。

女子トイレからタンチョウ鶴が見える小学校。
どんな学校よ。
素敵すぎる自然!
(学校の裏手に広大な畑が広がっており、そこにもすでにタンチョウが来ていたらしい)

堆肥のにおい

朝、玄関のドアを開けると
堆肥のにおいが、うわーとやってくる。そんなときはそっとドアを閉め、洗濯物は部屋干しにしよう。

うちの庭の裏は畑になっていて、最近トラクターが忙しい。朝イチで堆肥を撒いているのか、最近よく牛糞のにおいがする。

越してきた当初から、村の暮らしでは、1日のうちにふと何とも言えないにおいが漂う時間帯があった。
しばらくすると消えている。
牧場を訪れたわけでもないのに、こんなにおいが突如漂ってくることに驚いたが、畑に堆肥を撒くために、におうようだ。

堆肥のにおいについて、
「慣れると鶏糞か牛糞か種類もわかるようになる」と村の人か言うので、すごいなーと思っていたのだけど

ドアを開けて うわ牛糞か!と思ったから、わたしもそろそろその域に入ってきたかと思う。

いよいよシーズンインした畑、牛糞の堆肥はこれまでとちがった強烈なにおいだ。

ちなみに、ちかくの更別村には「堆肥熟成場」もある。堆肥が広げて置かれている場所。
置いてるだけかと思ってたら、たまにトラクターでかき混ぜている。(そのタイミングで通ると強烈だった。)
置いてかき混ぜるだけ、というシンプルさが潔い。うんうん、土地はいっぱいあるからなぁ、と勝手に納得する。

牧場や養鶏場から出る牛鶏ふんは畑の堆肥になり、わたしたちがお肉や野菜をいただいた生ゴミも、回収されて堆肥になる。その土から美味しい作物が育つ。

食べたものが土に戻り、また何かを生み出していく。それを包む広大な土地と太陽の光。

畑のにおいに直面すると、その循環を感じて、その中に、たまたま居させてもらっていることに感謝する。
この壮大な自然循環を、北海道産野菜を食べる全ての人々に伝えられたら!
なんて気持ちが、ふくふくと湧き上がってきた。

たんぽぽの力

たんぽぽが、わーと咲く、一斉に咲く。一面に咲く。しかも数日で。
そのあまりの勢いに驚いた。

さっきまでここに何が生えていたか忘れてしまうほど景色が一変してる春。

春の畑に一面に咲く
黄色い点は全てたんぽぽ
畑の脇にも。どこにでも咲く。

そこかしこに、たんぽぽが咲く。花をつむ子供もほぼいないし、踏まれないし、伸び放題、たんぽぽの楽園と化している。
牧草の畑の中、耕された畑の脇の農道、道のアスファルトの割れ目。どんなところにもびっしりとたんぽぽが咲き、一つ一つの花が力強い。

夫が、たんぽぽコーヒーを作る、と言って根っこを干していた。
おいしいのかなぁ。と横目で見ているわたし。
やばい、もしハマったら大量に作れてしまうぞ。

後日、干し上がっていました…
(たんぽぽの根っこ)

トラクターがゆく

トラクターが道を走る。普通に。ゆうゆうと。
4月には見かけなかったのに、春になるとそこかしこに動き回るトラクター。
青、緑、赤、わたしの推しは青かなぁ。
緑の畑と青い空。赤いトラクターも映えるけど、青もりんとして良い。

こちらのトラクターは、ピカピカして、大きい。広大なスケールの農業ゆえ、農機は海外産のものが多いらしく、いわゆる「外車」。佇まいもめちゃくちゃかっこいい。

ピカピカのトラクターを見せてもらった

トラクターって、田舎では田植えの時におじいちゃんが乗るもの、というのんびりしたイメージがあったが、こちらでは毎日忙しく動き回り眩しい存在に見える。
すごい馬力のある車に、後ろに搭載する器具を付け替えて、畑を耕したり、いもを掘り起こしたり、冬は除雪機にもなったりするんだって。

道道を、そんなピカピカしたトラクターが走っているとかなりの貫禄。平伏して道を譲りたい気持ちになる。車に比べたらわりとゆっくりなイメージではあるが、たまにゴーッという音とともに結構なスピードで走ってゆく小型トラクターなどもいて、ほお!となる。

道をゆうゆうと走るトラクター
夜に働くトラクターも見た。
ライトを光らせ轟音で畑をゆく

なんというか、農業がクールに存在している、新鮮さ。
牧場のお宅では、トラクターを模した型の三輪車を見た。お子さんが楽しそうに乗っていて、うちの子も乗せてもらう。

この村の農業は、かっこいいぞ。


強風吹き荒れる

とにかく風が強い。洗濯物が飛ぶのはしょっちゅう
先日はコンクリートの竿立てが倒れた。
風で物置が飛んだというエピソードに、どんだけの風?!と思ったが、最近では、そりゃ物置も飛ぶかもしれないとリアルに思い始めている。台風の時みたいなのが、ずっと吹いているが、もはや驚かなくなってきたもの。

畑にそびえる防風林がこの地域の素敵な風景を作り出しているのだが、ただの景観美ではなく必需品の林なのだなと実感する。
はるか向こうまで広がる畑の、はるか向こうから、すごい勢いで風が吹いてくる。

ふとんを干していたらものの数分で布団干しごと吹っ飛んだ。

布団が吹っ飛んだ!というセリフを、事実として叫ぶ。

干して数分で飛んだ

最近のニュースで、防風林を切る人がいて、切らないようにとリーフレットなどで啓発活動があると聞いた。
激しく同感!
もし防風林が全部なかったらいかほどの風にさらされるだろう。

特によく晴れているときこそ、強風が吹くとのこと。
晴れたり曇ったり、すごい風だったりとにかく激しいこの気候だが、それが美味しい作物を育むのだそうだ。そう思うと、ありがたき風。

忙しい春

「どこどこの苗がいい」という口コミが、春先に出回る。どこから回ってきているのだろうこの情報、と思いつつ、耳をそば立てて聞いている。

こちらの人は、畑をやる人が多い。
石灰をまいて、馴染ませ、堆肥をまいて、馴染ませ。そこに苗をうえる。
みんなが植えどきを待って、万全の準備体制だ。丹精込めて土作りをするのだから、そこに植えるものは吟味して決めたいよね。よく育つ。苗が元気。などいい苗を見極める談義は大切だ。

タイミングが同じだからか、連帯感がある。
先日の土曜日にホームセンターのチラシが入っていたが、表は苗の売り出し、裏は堆肥、石灰、農機具などで、表裏すべて農作物関連品で埋められていた。その他要素一切なし。都会に慣れていたわたしには新鮮だ。この時期ホームセンターといえば、行楽キャンプグッズや家電の売り出しがあってもいいものを。
うーむ、そうか、
春、みんなの心は植え付けでいっぱいなのである。

ちなみにこれを書いている5月下旬、ここ1週間で、畑になにかが植わり始めた。もう植えていいらしい。
さあ、植えよう!


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