顧客とのコミュニケーション設計を考え抜くSansanのリードナーチャリング
こんにちは、Sansan公式note編集部です。この記事は、マーケティング部から発信しています。今回は、Sansanが取り組んでいるリードナーチャリングについて紹介します。
当社では、各種チャネルから獲得したリード(潜在層~見込み顧客)に対して、Webコンテンツやホワイトペーパーを活用したメール配信を通じ、自社製品への購買意欲を高めるリードナーチャリングを行っています。
今回は、当社でリードナーチャリングを担当する小林萌子さんと石田寛太さんにお話を伺いました。二人の対談を通して、Sansanのリードナーチャリングに対するこだわりを感じていただけたら幸いです。
リードナーチャリングは事業成長の種をまく仕事
石田:マーケティングの中でも、リードナーチャリングはどうしても地味な仕事と思われがちですよね。ですが、受注につなげるパイプラインを生み出す重要な仕事だと実感しています。
小林:リードナーチャリングは、顧客と接点を持ち続けるためになくてはならない仕事です。
Sansanでは、セミナーや展示会など、いろいろなチャネルでリードを獲得しています。リードの属性は、Sansanにそもそも興味がないという人から、サービスについては知っているが購買意欲はない人までさまざまです。
より多くの人にプロダクトを使ってもらうためには、そうしたリードに定期的にアプローチして、Sansanの存在を頭に植え付ける必要があります。そして、将来的に業務で課題を感じた際、「そういえばSansanのプロダクトで解決できるかも」と思い出してもらう。そのための種まきをするのが、リードナーチャリングの仕事です。
石田:小林さんは、マーケティング部でずっとリードナーチャリングに携わっていますよね。
小林:そうです。一貫して営業DXサービス「Sansan」のリードナーチャリングを担当してきました。メールの配信シナリオ決めやペルソナ設計、アウトライン作成、文章作成、送信まで、一連の業務を行っています。
もちろん、配信して終わりではありません。開封率やクリック率、リード獲得率などの結果をこまめに振り返り、次の配信に生かしています。
石田さんは、Sansanと契約データベース「Contract One」のマーケティングに携わってきたんですよね。
石田:はい。コンテンツ企画・制作担当として入社し、はじめはSansanの導入事例集やホワイトペーパー、ダウンロード資料、イベント用の登壇資料などを作成していました。
私が入社したのが、ちょうどContract Oneが立ち上がって半年ほどのタイミングだったんです。当時のチームにはコンテンツ制作担当がいなかったため、私がジョインすることになりました。
小林:石田さんは、コンテンツ制作に限らず幅広いマーケティング施策に取り組んでいる印象です。
石田:Contract Oneは新規事業で小規模な組織だったため、役割が厳密に細分化されているわけではなく、マーケティング施策全般に関われる機会があったんです。
コンテンツ制作は、いろいろな人の思いを形にしていく仕事です。やっていくうちに、「こんなことができるんじゃないか」「こんなことをやってみたい」という気持ちが膨らみ、リードナーチャリングやイベント施策など、手を挙げていろいろ挑戦してきました。
そのうちの一つがメールマーケティングです。自分が制作したホワイトペーパーやダウンロード資料を活用して、メールのシナリオや文章を作成し、送信まで行いました。小林さんと同様に送信後の効果測定まで担当することで、配信だけではなく、次のコンテンツ制作にも生かせています。
最速で効果検証できるのがリードナーチャリングの醍醐味
小林:石田さんは、リードナーチャリングのどこに面白さや意義を見出していますか?
石田:仮説や攻略の方向性を最速で検証できることですね。成果がすぐに数字で現れるからこそ、他のマーケティング施策と比べてPDCAを高速で回すことができる。しかも、コストもあまりかかりません。
特に、新規事業では予算が限られている、かつ、訴求ポイントも固まっていないケースがほとんどです。そのため、低コストでとにかくPDCAを回せるリードナーチャリングが非常に役立ちます。
小林:確かに、結果が数字ですぐに現れるのは、リードナーチャリングならではのポイントですね。こまめに成果を振り返って定量的な目標を追い続けられるので、迷うことがありません。
あと、シンプルにメールマーケティングって奥が深いんですよね。メールマーケティングは、ただメールを書くだけの仕事ではありません。件名一つとっても、開封してもらうためにはどのキーワードを使えばよいのか、細部までこだわって考え抜く必要があります。そして、件名と本文の内容に乖離がないよう、自然なコミュニケーションの流れを考えて文章を作成することも欠かせません。細かくて地道な作業ではありますが、すごく奥が深くて面白い仕事だと思っています。
石田:そういえば、小林さんはメールマーケティングの改善で社内表彰されたことがありましたよね!
小林:自動化の仕組みを改善して、成果を出しました。
もともと、手動でのメール配信に加えて、自動配信プログラムを使ってメールを配信していました。ただ、これまでの自動配信プログラムでは、メールを送って終わりの設計になっていたんです。
そこで、未開封者に対してメールを再送信したり、成果が出ていないコンテンツを除外して内容を組み替えたりといったことができるよう、ワークフローの見直しを行いました。結果、自動配信プログラムだけで前期比2倍のリードを獲得できるようになりました。
石田さんは、これまでやってきた中で特に印象的だった施策はありますか?
石田:ターゲットの解像度を上げるための取り組みですかね。
私がContract Oneのリードナーチャリングに着手した当初、メインターゲットは従業員500名以上の企業でした。規模が大きい企業では、担当者ごとに役割が細分化されている傾向にあります。そのため、ふわっとした内容のメールを送っても、自分事として捉えてもらえないんです。結果、開封率が非常に低いという課題を抱えていました。
そこで、ターゲットの解像度を上げて、ペルソナを細かく設定するという取り組みに注力しました。インサイドセールスやフィールドセールスのメンバーと連携して、顧客企業のDX推進レベルを設定。「レベル1の顧客は〇〇という課題を抱えている」「レベル2の顧客は△△と考えている」というようにペルソナを設定したんです。そのペルソナをマーケティングの各種施策に活用するようにした結果、それぞれのコンテンツの訴求が具体的になり、顧客からの反応も増えましたね。
小林:リードナーチャリングだけではなく、マーケティング施策全体の成果につながったのがすごいです!確かに、チーム全体で共通のペルソナを持っておくと、コンテンツが作りやすくなりますよね。
石田:そのペルソナを使ってリードナーチャリングを行い、結果を基に高速で改善することで、ペルソナのさらなるブラッシュアップにもつながりました。
結果を共有し、他のマーケティング施策にも生かす
石田:リードナーチャリング自体も面白い仕事ですが、特にSansanにはやりがいを感じられる環境が整っていると思います。
Sansanでは、リードナーチャリングの結果を他のマーケティング施策に生かす、という場面も珍しくありません。
例えば、イベントのタイトルに入れる文言を二択で迷っていたとします。全員がAの方がよさそうと思っていても、Bを入れたメールの方が反応が良かった場合は、データを基にBにする、という判断ができるんです。すぐに結果が出て最速で検証できるリードナーチャリングだからこそ、他のマーケティング施策のクオリティアップにも生かせます。
小林:確かに、「このキーワードで送ると開封率が良かったから、顧客にとって関心度の高いテーマなのでは」と仮説を立て別のマーケティング施策に生かす、という動きはできていますね。自分たちの取り組みが、マーケティング全体にプラスの影響を与えられる可能性が大いにあります。
石田:イベントの登壇資料も、リードナーチャリングの結果を参考に作成することが多いですよ。リードナーチャリングのデータは、マーケティング施策を考えるうえでの重要なナレッジです。私はデータをブックマークに登録して、いつでも見られるようにしています。
小林:あと、自分たちの施策で獲得したリードから商談獲得や受注につながったかを確認できるのも嬉しいですよね。
石田:リード獲得から商談獲得、受注までの情報が綺麗に可視化されているのは、Sansanならではの強みかもしれません。
開封率やクリック率、リード獲得率はモニタリングしていても、その後の商談獲得率や受注率までを追えている企業は少ないでしょう。Sansanでは、受注までの各プロセスをモニタリングできる体制が整っており、リードナーチャリングの施策が商談や受注につながっているかどうかがわかります。
BtoBのリードナーチャリングならではの難しさ
小林:同じリードナーチャリングでも、BtoBとBtoCではやり方が大きく違いますよね。
石田:リードナーチャリングに限った話ではありませんが、BtoBでは決裁者が複数人存在します。BtoCならその人が欲しいと思えば買ってくれることのほうが多いですが、BtoBではそうはいきません。「この人にはこうアプローチすべき」「この役職者にはこのコンテンツが刺さる」など、BtoBではアプローチ方法をより深く考えて検証していく必要があります。
小林:訴求方法も違いますよね。BtoCでは、売りたいプロダクトを全面に押し出すメールを送信しても違和感がありません。
一方、BtoBでは相手がそのプロダクトそのものには興味を持っていないケースが多いため、間接的な訴求が重要です。まずは顧客が抱えている潜在的な課題にアプローチし、最終的にプロダクトの魅力に気づいてもらう必要があります。顧客に気づきを与えられるようなコミュニケーション設計を考えてメールを作成するためには、顧客のことはもちろん、プロダクトの強みを真に理解していなければいけません。
石田:顧客やプロダクトに対する高い解像度とコンテンツの構成力、文章力など、幅広いスキルが求められますよね。
だからこそ、リードナーチャリングを経験することで、マーケティングに必要な基礎的なスキルをすべて身につけられると思っています。
リードナーチャリングから挑戦の幅を広げたい
石田:今後は、従業員1,000名以上の企業を対象としたエンタープライズマーケティングを攻略したいと思っています。
今はチームが立ち上がって1年ほどと、ようやく土台が整ってきた段階です。現状ではイベント施策にしか取り組めていませんが、今後はリードナーチャリングやデジタルマーケティングにも着手し、エンタープライズマーケティングを攻略するための土台を作っていきたいです。
個人的に、攻略の鍵は「循環」にあると考えています。イベントのコンテンツをリードナーチャリングに活用し、リードナーチャリングによって得られた結果をイベントのコンテンツ設計に生かす、というような循環を生み出したいですね。
小林さんの今後の目標はなんですか?
小林:今までの経験から得た知識を生かし、メール以外にもLP(ランディングページ)やホワイトペーパーといった幅広いコンテンツ制作にチャレンジしたいと思っています。自分が作ったコンテンツで受注に貢献できたら最高ですね。
あとは、考えることを決してやめず、常に改善しようとする姿勢を忘れないようにしたいです。
会社の規模がどんどん大きくなり、リードナーチャリングも仕組み化が進んでいます。ルールや型が増えること自体に問題はありませんが、常に「それでいいんだっけ?」と考え、改善しようとする必要があります。決まった枠にとらわれない会社であって欲しいし、自分も意識したいところですね。
石田:同感です!いつの時代も、成功するのは挑戦し続ける組織です。規模が大きくなっても変化を恐れることなく、新しいことにどんどん挑戦していきたいですね。
まとめ
日々顧客へのアプローチ方法を模索し、フロントにつなげるパイプラインを生み出しているリードナーチャリングチーム。彼らが追いかけているのは、開封率やクリック率といった目先の数字だけではありません。受注に向けて、最適なコンテンツやコミュニケーションのあり方について考え抜くのが、Sansanのリードナーチャリングです。
Sansanのマーケティング組織について、詳しくは以下をご覧ください。