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ルイーズ・ブルジョワ展の衝撃が忘れられない

森美術館で開催中のルイーズ・ブルジョワ展。日本では27年ぶりの国内最大規模の個展。
開催期間: 2024.9.25〜2025.1.19


心エグられました


こんにちは、さんろくです。

ルイーズ・ブルジョワ展 地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」の展示作品について振り返っていこうと思います。

この展示には刺激的な内容が多く含まれています。アーティストのトラウマ体験が作品に投影されているため、落ち込みやすい方にはあまりお勧めできません。

ぼくは、アーティストに関して、ほぼ無知の状態で行きました。ブルジョワの作品にひとたびのめり込むと、彼女が苦しんできた半生に胸が痛たまれます。

しかしどの作品にも一貫性があり、その独特な世界観に忽ち感動してしまいました。この刺激は、過去の鑑賞体験でも味わった事がありません。



蜘蛛は母親の象徴

「かまえる蜘蛛」


ルイーズ・ブルジョワの代表作は、この大きい蜘蛛を模した彫刻。

六本木ヒルズ・森タワー傍近を彷徨いた方なら見かけた事があるかもしれません。外2Fのガーデンエリアにボンと構える、あの気持ちの悪い蜘蛛のオブジェです。

(初見は「ジブリに出てくるキャラクターでいたような…何だっけ」と思ってましたが、全然違いました。すいません。)

賑わいのある外の広場で見るのと、物静かで薄暗い展示室で見るのとでは、印象が全然違いました。蜘蛛はブルジョワがまだ20歳の頃に病気で死去した母親の象徴であり、母を経験したブルジョワ自身でもあるそう。大切な母親が亡くなったショックがとにかく大きかったようです。

蜘蛛から放つ邪悪なオーラには、子を育てる母の苦悩を鑑賞者に訴えかけているようにも感じました。


赤の美しさ

「授乳」
母体や女性の乳房をモチーフにした絵が数々展示されていた。
ホログラムで作られた作品。写真でも表せない3D体験が味わえた。


平面作品では、赤を基調とした作品がよく目立ちました。

血液のような赤みがかった絵は、どれも生々しくも同時に美しかったです。作品には椅子がちょくちょく登場します。孤独に追われ、壁に直面する程に精神が弱っていたのでしょうか。

地獄

「シュレッダー」「無題」
迫りくるシュレッダーの刃に抗おうとする人の足。地獄で味わう試練なのか。渦型の太陽らしき模型と、奇妙にもマッチしている。
「カップルIV」
片方の人形の足だけ何故ギブスを着用しているのか謎が深まるばかり...


人体表現は有機的ですがリアリティはなく、まるで人間の成れの果てを暗示させるようでした。狂気な世界観には、恐ろしくも惹きつけられる魅力がありました。


関係を修復させるために

「青空の修復」

ブルジョワの家庭は、タペストリー修復工房でした。幼少期は生前の母親の手伝いをしていた為、糸で縫う表現が作品に昇華されています。

写真の作品では、裂かれた穴が糸で縫合されています。これには一度解かれた人間関係を修復させたいという前向きな思いが込められているそうですが、妙に痛々しい上に浮き彫りされた穴は人の目を想像させ、より不気味でした。


鑑賞を終えて


人間に潜む普遍的な感情が描かれているため、見ていて思わず、アーティストに対して共感を抱いてしまいました。

絵画から空間を支配したオブジェまで、表現技法も様々で、100点以上のボリューミーな展覧会でしたが、決して飽きのこない内容でした。

特に終えた後の余韻が凄く...闇に惹き寄せられる感覚というか。ぼくはふと漫画の「血の轍」を思い出し、単行本を読み終えた後の感覚に近しさを感じました。



余談

鑑賞当日、ぼくは元々ブルジョワ展は行かないつもりでいて、隣で開催していた「さくらももこ展」の方に興味があった為、そっち目的で森美術館に足を運びました。

丁度、武蔵美の長期スクーリングを終えた翌日で、疲れた感情を癒す為にも、大好きなさくらももこさんの世界観に浸りたいと思いました。

当日券売り場でチケットを買おうとしたところ、時間帯で完売しており、「1時間後なら空いてますよ」と言われ、

「1時間かどうしよ…退屈だし隣でやってるブルジョワも次いでに観に行っちゃおかなーっ」

的な軽いノリで、ももこ展のあるビル53階よりエスカレーターで駆け上がった54階のブルジョワ展へ先に訪れました。

結果、ブルジョワの世界観にまんまとはまり、その衝撃で、直後に巡ったももこ展の内容が一つも入ってきませんでした。

いや、世界観のギャップありすぎるって。絶対にセットで観ないで下さい。


後日、ももこ展は改めて観に行きました。ももこさんの絵から、こたつにいるような愛情の温もりを味わえました。ももこさんの貴重な原画が展示されていますので、好きな方はぜひ。単体で...


では、また!

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