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小泉武夫『不味い!』

マグロとおぼしき刺身、ハマチと思われる乳白色の刺身、伊豆半島では漁れる筈のない鮭の半分凍ったような刺身、薄っぺらなトンカツ、豚肉らしきもの、疲れきってぐったりしたエノキダケの天麩羅、繊切りキャベツの上に薄っぺらなハム、赤黒っぽいマグロの刺身、古くなったウナギ、鱗がまだ付いている皮つきのままの蛇のぶつ切り、生臭く青臭い蛇酒、弁当の隅の方にグチャグチャととぐろを巻いて固まっているスパゲッティ、ぐじゃぐじゃにゆでたおひたし、油まみれのハムやホタテカマボコのフライ、噛むと歯に粘り付くシュウマイ、爪楊枝ほどの細い海老を大きく見せるために衣をたくさん付けて揚げた騙しの海老フライ、……。

――ごちそうさまでした。

参考:
小泉武夫『不味い!』(新潮文庫)、新潮社。
平成十八年一月一日 発行
平成二十年四月二十日 十一刷
カバー装画=山科けいすけ

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