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Twitterでの議論の作法ー主張・批判・反論のルールについてー

はじめに:Twitterでの議論が不毛に終わらないために


Twitterでは、日夜、賛否ある論点に関して、激論が交わされています。しかし、そんな激論も一方的で自己満的な主張の殴り書きや、相手の主張を理解せずに罵詈雑言を浴びせる、などという不毛なものに終始することが大半です。

そんな、Twitterでの議論が不毛に終わらないために「Twitterでの議論の作法」というのを提示してみたいと思います。もし、皆がこの作法に基づいて議論をすれば、建設的な議論ができるのではないか、と考えています。

本稿のアウトラインとしては、まず、「そもそも議論とは何か」ということから、議論の目的と方法について考察し、議論の構成要素である「主張」「批判」「反論」のルールを定め、「どのような場合に議論の目的が果たされたと言えるか」を列挙していきます。

最後まで読んでいただければ幸いです!


▼「議論」とは何か:「討論」との違い


私なりの「議論」の定義を提示したいと思います。

・「議論」と「討論」の違い

議論とは、ある議題についての主張の根拠に対して、根拠を提示して反論する。その反論に対して根拠を示して反論をする、という一連の流れにおいて、どちらかが片方の主張を受け入れるか自身の主張を放棄するかによって決着する言論のやり取りだと思っています。

です。

このような根拠を示した反論によって相手の主張を崩すという性質をもつ議論は、一般に言われる「討論」に近いです。しかし、「勝ち負け」という決着を想定しない点で、「討論」とは異なります。つまり、議論とは、「勝ち負け」を目的とするのではなく、片方の「納得」や主張の放棄によって決着するものと定義付けたいということです。客観的に勝敗を決するわけではなく、あくまで心的要素によって決着するということです。ちなみに、この定義付けは、『議論学への招待』という書籍の定義を参考に私なりの解釈を加えたものです。

・なぜ「客観的な勝敗」ではなく、「心的要素=納得」か。


Twitterでも「討論」のように「客観的な勝敗」を決めた方がいいのではないか、と考える方もいるかもしれません。

しかし、Twitterというのは気軽につぶやけるという性質上、「客観的な勝敗」を求める人は少ないのです。それよりも、Twitterで人々が憤慨したり中傷に走る理由は、他人の意見に「納得」ができないからだと思っています。もちろん、一方で、このような考え方を押し進めると「Twitterはストレス発散の場所」であって「議論の場」ではない、という反論が考えられます。確かに、Twitterは議論には不向きではあるものの、事実としてTwitterで議論を試みようというユーザーは一定数いるのです。有名人の賛否ある発言に多数のコメントが寄せられる(炎上?)ことからも伺い知れると思います。

つまり、Twitterには相手の意見を打ち負かしたい人が一定数いるのです。そのような人たちに「勝敗」ではなく「納得」をもたらすために「議論の作法」が必要だと考えるのです。ここでの「納得」とは、「この点では確かに自分の意見は間違っていたかもしれないが、この点では自分の意見は正しいだろ」というような自分にとっても相手にとっても妥当性が見出せるような意見の決着を目指すということです。もちろん、それが、「納得」ではなく議論の「放棄」に繋がるとは多々あります。それは、片方にとっては「勝利」でもあり、片方にとっては「納得」のための過程でもあるのです。

まとめると、なぜ「納得」や「主張の放棄」を議論の目的にするかというと、Twitterで、「建設的な議論」を行うためであり、実際にそのような営みを求めている人は一定数いると考えているからです。

・「議論の作法」を提示する意義


Twitterで「建設的な議論」を行うには、「議論の作法」考える必要があります。現状、Twitterのリプライ欄では罵詈雑言の嵐が吹き荒れています。双方に交わることのない対流を正面からぶつけ合わせて上昇気流を生むためには、ある種の秩序が必要になります。

秩序は「作法」によって導かれます。

ちなみに、「ルール」ではなく「作法」というのは、権威付けがされていないからです。Twitter社によって決められた制限は「ルール」ですが、一個人が「こうしよう」というのはあくまで「作法」に留まるということです

このような「作法」の提示は、確かに、一個人の一意見に過ぎず大きな効力を発揮するとは考えられません。しかし、一人でも多くの人に「作法」を知って頂くことで、「小さな秩序」は生まれると思います。議論は2人いれば成り立ちます。私の提示する作法を心得て下さる2名以上の議論によって、新しい価値が生まれることと確信しています。大きな上昇気流を生まなくても、少しでも小さくても「新たな発見」「新たな価値」という上昇気流が「作法」によって生みだされれば、それで十分です。

「議論の作法」を共有し「建設的な議論」を秩序立てていくことができれば、Twitterの一層有意義な使い方ができると思います。是非、これから書き記す「議論の作法」をご一考くださればと思います。


▼議論の流れ:「主張」「反論」「批判」


議論は「主張」「反論」「批判」の一連の流れだと先に述べました。そのような流れを以下で分かりやすく定式化してみたいと思います。

議論する人々を「A」と「B」に分けます。Aの主張は「a」、Bの主張は「b」とします。そうすると、議論の流れとは以下のようになります。また、「a」の根拠を「a'」、「b」の根拠を「b'」とします。

〈議論の流れ〉具体例

__________________________________

A:a1主張(a'根拠)をする

B:Aの主張に対してb反論(b'根拠)する

A:Bの反論に対してa2反論する

B:Aの反論に対してb2反論する

・・・

・・・

決着:AまたはBが相手の主張を受け入れる、または、AまたはBが自分の主張を放棄する

__________________________________

議論の決着とは、AかBが主張を受け入れるか放棄するかです。つまり、反論に対して明確な根拠を出せなければ、主張を放棄することとなります。また、主張や根拠が曖昧であったり、妥当性が見いだせない場合などには、〈派生の議題〉だ出ることがあります。以下のような場合です。

〈派生の議題が出る場合〉:論点がずれること


主な議題a-bに関して、議題c-dを設定する必要があることがある。議題c-dの結果により、根拠b'の主張の是非が決まる。

__________________________________

A:a1主張(a'根拠)をする

B:bは曖昧だという主張をする(c)

A:Bの主張(c)に対して反論(d)をする

B:dに対して反論(c2)する

A:c2に対して反論(d2)をする

・・・

・・・

決着:AまたはBが相手の主張を受け入れる、または、AまたはBが自分の主張(c、d)を放棄する

__________________________________

このような新たな議題(c、d)の決着により、主張(a1)の妥当性が決まります。もちろん、(c、d)の決着は、AやBの勝敗を決める訳ではなく、あくまで個別の主張(aやb)の妥当性を決めるものです。できるだけ、簡潔に決めなければ、議論が脱線してしまいます。

〈最短の議論〉一例

__________________________________

A:a1(a')

B:納得

__________________________________

〈長い議論〉一例

__________________________________

A:a1(a')

B:b1(b')

A:a2(a2')

B:b2(b2')

A:b2'の曖昧性を指摘(c)

B:c1

A:納得:a3(a3')

B:a3'の妥当性を指摘(d)

A:e1(e')

B:f1(f')

A:e2(e')

B:f2(f2’)

A:納得:a4(a4')

B:a4'の妥当性を指摘(g)

A:h1(h1')

B:i1(i')

A:主張を放棄

__________________________________


▼議論の作法!議論が脱線しないために


ここからが本題です。

議論が議論として成り立つため、前提として以下の条件が整う必要があります。

①議題が明確であること(当事者がどのような命題の是非を話し合うかが完全に理解できること)。全員が理解できるような説明がされていること。説明不足であるとの指摘に対して説明を行えない場合は、当該議題は議題として成立しない。

②議題が一つに絞られていること。設定された議題に対して別の議題を提示する場合は、その議題が主の議題と関係があることを示さねばならない。示されない場合は、当該議題は議論の対象とならない。

③当事者がどのような立場にあるかを明言していること。明確な主張をすること。主張が明確でなく理解可能でないとの指摘を受け説明ができない場合は、当該主張を放棄したとみなされる。

④主張に対して根拠・理由を示すこと。根拠が示されない場合は、主張や反論は成立しない。根拠が明確でないとの指摘に足して、理解可能で論理的な根拠を示さない限りは当該主張を放棄したとみなされる。

⑤議題に沿った主張をすること。関係のない話や罵倒をしない。議論に関係がないとの指摘に対して議題に則した主張・反論を行わない場合は、当該主張を放棄したとみなされる。

⑥主張の根拠となるデータ・情報が誤りである場合、別の根拠を示さねばならない。別の根拠を示せない場合は、当該主張を放棄したとみなされる。

⑦根拠や理由については、引用のみではなく、その場で発話・明言して説明することが望ましい。特に、説明を要求された場合に、発話・明言を放棄する場合は、当該根拠を放棄したとみなされる。

⑧主張の立場を明確にしない場合は、当該主張を放棄したとみなされる。

⑨主張を受け入れるか主張を放棄した場合に、当該議題における議論は終了する。

⑩議論当事者は、主張を放棄することよりも新たな根拠を提示するか相手の主張を受け入れることが望まれる。

まとめ


端的にまとめると、建設的な議論をするためには、「主張」」「反論」「批判」という議論の流れを意識し、「根拠の妥当性」や「主張の曖昧性」について理解することが重要です。相互理解を進めながら議論をすることで新たな気づきが生まれ、自分にとって新しい考え方ができるようになると思います。


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