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剣岳八峰Ⅰ峰四稜の積雪期初登攀(要約)

学習院大学山岳部 昭和55年卒 平尾陽太郎

はじめに

 学習院大学山岳部は、 1978年春の山岳合宿で剣岳八峰Ⅰ峰四稜の積雪期初トレースに成功し、 剣岳小窓での雪崩遭難後の低迷状態からの脱却と新たな方向性を模索する重要な一歩となった。 日本国内の社会人山岳会の活動や世界的な登山記録に比べれば地味ではあるが、 一年半かけて計画し、 オーソドックスな手法で達成されたこの記録は大きな成果と意義があった。

 挑戦は前年の尾瀬ヶ原から始まり、 部員が一体となって共通の目標に向かって取り組んだ。 活動は剣岳周辺での合宿を中心に展開され、 悪天候にも負けず「八峰を成功させる」という強い気持ちで結束し、 成功を収めた。

剣岳八峰Ⅰ峰四稜の冬季登攀と八峰縦走

 学習院大学山岳部は、剣岳八峰Ⅰ峰四稜の冬季登攀を試みた。 1978年春、 8名の部員は千寿ケ原から出発し、 ベースハウス(BH)の剣御前小屋でアタックに備えた。

 3月16日にアタックが始まり、 真砂尾根の岩稜帯を進む中でアンザイレンが必要な悪路に遭遇。 雪が降り始め、 アタックの不安が広がった。 3月17日、 雪がやみ、 天気が回復する。 アタック隊は剣沢に到着し、 アンザイレンをして小岩峰を目指すが、 不安定な岩壁に遭遇。 再び四の沢右俣に下降。 その後、 Ⅰ・Ⅱのコルを目指して登攀を続け、 コルで雪洞を掘って夜を過ごす。

 3月18日、 晴天の中、 Ⅱ峰に立ち、 16時40分にⅠ峰の四稜の積雪期初制覇する。 3月19日は悪天候で雪洞で停滞。 20日にⅤ・Ⅵのコルに到達する。 3月21日、 山学同志会7人のパーティと合流し、 八峰の頭まで交代でラッセル。 そこから本峰に向かうが、 天候が悪化。 平蔵の避難小屋に到着。 3月22日から23日にかけて吹雪が続き、 最終的にサポート隊の助けを借りながら下山し、 アタックを終えた。

八峰登攀を終えて

 学習院大学山岳部は、 八峰Ⅰ峰四稜の登攀に五日間かけ成功した。 雪質と天候に助けられつつも、 雪壁や雪稜のラッセルに悩まされる厳しい経験を積んだ。 技術的な点では大岩壁のテクニカルな登攀には及ばないが、 剣岳特有の困難さに立ち向かった。 部員の結束と一丸となった取り組みが、 部員構成や経験の違いを乗り越え、 一年半にわたる長期プロジェクトを成功に導いた。 大学山岳部の利点は十分な時間をかけて登山に取り組めることであり、 春山合宿で積雪期初登攀の成功につながった。

「文責・深沢幸弘=77年度主将、酒井守=副主将、平尾陽太郎」

<記録概要>
 学習院大学山岳部が1977年3月8日から25日までの期間に剣岳八峰Ⅰ峰四稜の積雪期初登攀および八峰主稜の登攀を達成した。 アタック隊とサポート隊で構成され、 アタック隊はⅠ峰四稜を完登し、 サポート隊は戦略的な役割を果たして各種作業に従事した。 悪天候や吹雪にも直面し、 さまざまな困難に立ち向かいながら、 登山活動が成功裡に終了した。

詳細は「原文」を参照してください。
「剣岳八ッ峯Ⅰ峰四稜(一九七八年三月)(100年の自画像)(原文)」へ

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