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光徳小屋と学習院大学スキー部(「山桜通信」52号)

雪桜会(学習院大学スキー部OBOG会) 渡辺ひかり

昭和三十五年六月、リュックに不安を詰め込んで細い山道を登りました。緑滴るなか、ポカリと光徳小屋が姿を現し、ほっと一息つき青空の美しかったこと、今も覚えています。

仙台の女子高校から、父の学生時代の親友のすすめで、学習院大学一校だけ受験し進学。部活は水泳部と条件付きで、父の親友宅へ下宿。泳げないのに水泳部、毎日放課後、プールで先輩方が優しくご指導くださったものの、親元を離れたのも初めて、学校では話す人もなく、何とか一年間頑張りました。

二年生になり、高校時代に仙台近郊の八ツ森スキー場・蔵王で滑っていたので、内緒でスキー部入部。下宿へリュックを持ち込むことはできず、一度仙台へ戻っての「スキー部合宿参加」でした。入部して間もなく、また同期生女子は居らず不安ばかりの初日。当時一年生だったチー坊さん(*1)が声をかけてくれ、小屋脇の清流散歩するのでと誘ってくれました。長靴お借りして緑をかき分け、つがいの水鳥を見たり、流れの中をそうっと光徳牧場、戦場ヶ原まで流れていることを丁寧に教えてもらい、不安は一掃されてスキー部合宿はスタート。チー坊さんは記憶なしと。不安そうにしている姿を見て誘ったのでしょう。

勿論、炊事当番とトレーニングがあったのに覚えていません。但し、夕食後「三本松へ酒の買い出し」へ数人の男性が出掛け、大宴会が賑やかに催され楽しい時が過ぎました!つまみは「塩」。終了すると一斉に寝床へ。翌日は早朝から規則正しいトレーニングで、その見事さはしっかり覚えています。
それから、五十一年。野沢温泉千歳館でのスキー部OB会に出席。在学中にお会いできなかった大先輩や後輩が三十数名集合。翌朝各々の選択したコースを歩きました。右川清夫・井ヶ田傅一大先輩の三人で、スキー場になる緑一地面の山で蕨を取りながら、大昔からずうっとお仲間のごとく楽しい語らい「小さなビニール袋はいつも携帯する」をご指導賜りました。

それから数年後、右川大先輩から「山桜会六月例会」へのお誘いをいただき、思い切って参加。舟橋大先輩をはじめ、これまでお会いしたことない方ばかり。年齢の大きな幅、学校の枠を超えて山を愛する人々の集い。二泊三日は、山行、宴、温泉と心よく楽しませて頂き、青春カムバック。皆様優しく、相手、周りへの気配りは自然に。下山時に躓いたら、前後の方々身体を張って止めて下さり、驚くことばかりの連続でした。

スキー部の人々、高等科山岳部に属し大先輩から優しい丁寧なご指導のもと、気配りのできる行動を身につけていることが理解できました。それが伝統であり、長い歴史ある学習院ならではの人間作り。外部入学であればこそこの素晴らしい伝統に気づき、良き学び舎であることに深謝している次第です。

素晴らしい伝統ある一貫教育。現役学生に是非再確認してもらい、「同じ釜の飯を食う」部活を学生時代の大きな部分にし、人生の基本になる思いやりを身につけ、社会に旅立って欲しいものです。五十年後に分かり、幸せな人生と思うでしょう。

(*1)チー坊さん
平塚通彦さん(1960(昭和35)年高等科山岳部卒)、大学時代はスキー部で活動され、山桜会会員・雪桜会会員。
この時代は「ニックネーム」で呼ばれることが普通であったので、原文のママにしています。

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