見出し画像

吐き出すゲロも枯渇した朝は

賢さ 他人を利用して楽する才覚。

虚しさ(悲しさ) 宇宙そのものが感じている「永遠の寄る辺なさ」が各意識者に分有されて感じられていること。

中年 「何歳までが若者なのか」という問いを立てた瞬間に若者は中年になる。

子供 自分が「暴力」の主体であることに無自覚な没理性的動物。天使に譬える人がときどきいるが多分それはブラックジョークのつもりだろうから反論するには及ばない。 

都市 銭湯と自室以外では裸になることが許されない自然嫌悪の空間。

読書 「危険な人間」を育む可能性が最も高い趣味の一つ。 

引きこもり 生きることの怖さや残酷さをしかるべき感性で把握できている点でほぼ「正常」。

ニート 良心的労働忌避者。

成熟 「嫌なことは嫌だ」というまともな感性にいっそうの磨きをかけること。

哲学 思考するための確固不動の足場さえほとんど存在しない中で命懸けの知的跳躍を試みる意志。既に書かれた哲学書を頑張って読むことではない。アリストテレスが云々と偉そうに解説することではない。

一皮剥ける 野外で射精すること。

尾崎豊 ふつうに結婚して子供をつくってしまったいせいでただの凡人にしか見えない。歌はけっこう好きなんだけど。

人間力 営利企業などの上層部の人間とって好都合な各種の服従能力。

国家 二言目には「国家」だの「国難」だの言ってくる連中に耳を傾けてはいけません。

信仰 このどうしようもない世界に何とか「意味」を与えようとする健気な努力。 

「本音で生きる」 野暮の骨頂。

一人暮らし いつでも長い時間をかけて存分にマスターベーション出来ること。妖怪が陰毛を部屋中に散らかした後でも焦って掃除する必要がないこと。

子供部屋 やがて中年部屋となることを想定して設計すべき。

死刑 書類殺人。

教養のある パロディの元ネタがすぐに分かること。

教養のない 「いまさら聞けない大人の常識」みたいな本を手に取ってしまうこと。

論破 無学者と無学者の疑似論争によく見られるマウンティング。

父親 かつては真の自由に憧れた青年たちの哀れな末路。家に一定の金さえ入れてくれるならべつだん家の中にいなくてもいいと思われている。

いじめ 私の経験あるいは想像上、それは「世界の苦痛量」を増加させる「行為」であるので、「悪」である。「殺戮」や「拷問」や「出産」や「病気」と同様、「苦痛の感覚可能性の再生産」に寄与する「行動」はすべて、「悪」である。「悪」はそれ自体として「否定」されなければならない。つまり意志的に「抑止」「回避」しようと努める「べき」である。「悪」は「存在するより存在しないほうがいい」と、私の「良心」は判断する。けれども事実として、「悪」はいたる所に「存在」している。そのような「悪」を当たり前のように存在・維持させている「この世界」や「人間」を、私の「良心」は許容することが出来ない。それに関して私は一ミクロンの妥協も出来ないのだ。

幸福 最上の幸福は「意識を持たないこと」。二番目の幸福は「嫌なことは最大限やらないこと」。

大江健三郎 石原慎太郎とともに、「生理的に読みたくない」という理由のために読まれぬことの多い小説家の一人。  

文士 孫に囲まれて柔和で好々爺然とした文士ほど汚らわしいものはありません。文士はアルコールと睡眠薬の過剰摂取で野垂れ死にでもしないと様になりません。まともに幸福に居座ることの出来る人間が文学なんか出来ますか。

ミスタービーン 成長に伴う社会的責任を拒みたい大人たちのアイドル。

葬式 いつかは自分もこうやって死ねる、という感傷的希望に浸れるぶん、結婚式よりは悪趣味ではないし恥知らずでもない。ただし儀式の時間が長すぎる。墓も余計。

大人 青年の死に損ない。

赤ん坊 あの産声が悲鳴に聞こえない人間の神経を、私は心の底から疑う。

オナニー ほとんどの大人はちゃんとやっているのにほとんどの大人は「そんなこと自分はやっていませんよ」と取り澄ました顔をしなければならない。

大学生 どんな夢や理想を掲げても苦笑を誘わない最後の人生期間。どんな髪型のどんなファッションで街に繰り出しても滑稽に映らない最後の人生期間。どんなに拙くどんなに過激な文章を書いても痛々しく思われない最後の人生期間。

恋愛 俗世の恋愛は面倒臭くて幻滅させられることのほうが圧倒的に多いので、「実在しない理想の他者」とのみ恋愛しようと決めた最初の人間は、人類の知性レベルを確実に数段は高くした。

「世の中はカネが全てではない」 「世の中はカネが全ではない。カネに全く不自由しない人間にとっては」の略。

賃貸アパート 隣人愛を育むのには極めて不都合な生活空間だが、理不尽耐性を身に着けるのには極めて格好の生活空間。人を殺めることに自己抑止力が働きにくい人には決して推奨してはいけない生活空間。

地獄 いかなる鬼畜系想像力が生み出した地獄イメージも「私のいま存在している世界」よりはずっとマシだろうし、ずっと清潔だろう。

ペニス 男性が本番でそれを硬く維持し続けるのにどれくらいの集中力と想像力を発揮しているのか、大部分の呑気な女性はおそらく知らない。

先生 「先生先生と呼ばないでください」と得意気に苦笑する小説家を私は信用しない。

倫理 「これは悪である」という感受性に立脚した真剣なる「理想論」。

スマホ 先天性の病気のため容貌がひどく目立ってしまう人がある雑誌インタビューで言ったことを思い出す。この時代、公共の場所では誰もがスマホしか見てないのでジロジロみられることが少なくなったらしい。醜形恐怖の人も同じようなこと思っていそうだ。

文学青年 毎年レッドリストに記載されながらもしぶとく一定数は存在し続けているようなのでそろそろ絶滅危惧種扱いしないで欲しい。失礼ですよ。

お洒落 「綺麗」「格好良い」の基準的イメージはあらかじめその時代のその文化圏を生きている人間たちによって「漠然としかし確実に共有」されているのだろうか。お洒落の本質は自己発情なのだから鏡を見てある程度自己陶酔できればそれで充分だ、と開き直ってめいめいが好きな恰好で往来を闊歩できないのは、ひどく不自由なことではないのか。それとも髪型から服装のコーディネートまで誰もが相互に模倣し合う世の中のほうが「文化的」に洗練されているし「個性」も際立つのだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?