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サイゼリヤ 間違い探しは 目で視るわたしの 世界のプライド

サイゼリヤには、オトナもハマる間違い探しがあるらしい。

という噂は聞いたことがあった。けれども、あの赤字に緑色のマークのお店は、全国どこに行っても目にするもんだから、逆に訪れる機会というものをなくしてしまっていた。だからすっかりその存在を忘れてしまっていた。

旅先で、迷って歩いてやっと辿り着いたスイーツタイムは、ちょいと遅めになりがち。そんな日の夜は、ひとりだと「コンビニでいいかな」となってしまうけれども、誰かと旅をすると「コンビニじゃあちょっと心許ないかな」と思ってしまうから不思議だ。そんなわけで、宿泊していたホテルの地下にサイゼリヤがあるとのことで、これまたちょっとずれ込んだ夜ご飯を。

そして、席について注文を終えるや否や、彼はおもむろにキッズメニューを開いては

サイゼリヤの間違い探しはマジでおもろいのよ。
一緒にやろうよ。

と嬉々としていた。

間違いは全部で10個。彼いわく、7〜8個見つけられたら良い方で、10個見つけるのは至難の業らしい。

「聴覚障害があるので、目で見てコミュニケーションを取っています」

をウリに生きているわたしにとって、【視る】ゲームであるこの間違い探しは、絶対に負けられない戦いだ。

最初の6つまでは、1つ目のミラノ風ドリアが届くまでに見つけることができた。ここで一度答え合わせをして、互いに気づけなかったところを一つずつ見つけて、残りは3つ。

次々に届くペンネだとかプチフォッカだとかの味なんてもう考えられないくらいに真剣にキッズメニューを凝視すること35分。残りの2つを見つけたところで、注文したものたちを全て食べ終えてしまった。

でも、でも、あと1つが見つからない。これはもう始まる前から「負けられない戦いだ!」と意気込んでしまったので一歩も引きたくない。と焦り始めていたわたしを見かねた彼が「僕、もう一つくらいミラノ風ドリア食べれるよ」ともう一度注文をしてくれたので、オトナ気なくキッズメニューをさらに凝視。

上半分に6つ、下半分に3つの間違いがあったから、きっと最後の一つは下半分のはず。ううううううう。

と、格闘するわたしを2つ目のミラノ風ドリアを頬張る彼が

「9つ見つかっただけですごいのよ。あとひとつなんて、見つかるわけがない。」

とちょっと諦め顔で笑っている。

悔しいいいいいいいいいい!

とさらに格闘すること数分。

「ああああああああ!この絵のサイズが違う!!!!」

と興奮して彼に説明する。も

「え。それ、まじで言っている?」

とちょっと信じてくれていない様子。でもまぁ2つ目のミラノ風ドリアもちょうど食べ終えてしまったということで、答え合わせを。スマホで【サイゼリヤ 間違い探し】と検索した彼が順番にひとつずつ答えを確認……ドキドキ。と、ものの数秒で

「ねぇぇぇぇ。さんまりちゃん、合ってる!すげぇ!」

と無事10個全てが合っていたことを確認してもらい、ハイタッチをしたところで入店から50分。ふううううう。お腹は満腹だし、頭はスッキリだし、サイゼリヤおもろいお店だった。全国どこにでもある普通のチェーン店かもしれないけれど、他のチェーン店はせいぜい満腹しか寄越してくれないぞ。

これでなんとか明日からも「聴覚障害があるので、目で見てコミュニケーションを取っています。聴き取りにくい分、世界を視ることを心がけています」と、自信をもって言えそうです。やったね。

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