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2021.0315 菜虫化蝶(なむしちょうとなる)

「お元気ですか。お稽古は、3月から再開しようと思います。お待ちしておりますね」

秋からお茶に加えて着付けのお稽古も重ねて、初級の許状の申請もしたというのに、年始の緊急事態宣言を受けて、楽しみにしていた初釜は中止となった。

あれから2ヶ月。
やっと、お茶のお稽古が再開されるとのこと。

もちろん、飲食を伴うお稽古のため、個人でのお稽古。まだまだお濃茶の回し飲みなんて夢みたいな世界だけれど、それでもわたしたちは少しずつ日常を取り戻したいと、足掻いている。

お茶のお稽古の再開も、そのひとつ。


お稽古に向かう道中、あんずの花がふわっと咲いていた。はるが、春がやってきたんだな。それだけでも、なんだか気分がふわふわしてくる。

数歩進むと、今度は白い花が咲き乱れている。

ユキヤナギだ。花の周りに蝶々を引きつける平和の花。

七十二侯では、啓蟄のおわり「菜虫化蝶」

まだユキヤナギの周りに蝶は飛んでいなかったけれど、足元にはアリが、花にはハチがそれぞれ1匹ずつ顔を見せに来た。

きっと、毎日少しずついろんな春が顔を出してくるんだろう。明日は、どんな春に出会えるのだろうか。

そんなわくわくを胸に、春の空気で肺を大きく膨らませてふぅっと吐ききるそのタイミングで、お稽古場に到着した。

「こんにちは。ご無沙汰しております」

玄関でいつもより少し大きな声で挨拶をすると、にこにこした先生が玄関までやってきた。

今年初めてのお稽古がはじまる。お茶を点てる日常が、新しい一年が、わたしを待っている。

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