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記憶の中の波間にゆれる

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#自由律俳句

ある地点

亜熱帯のさなか
記憶の波に揺れる

今みたもの
すべて
本当は どこにいったのか
不敵な笑みは
彼方に押しやられる

楽しくなければならない
いつだって

使命を果たさなければならない
いつだって

大通りを
行き交う人々の間を
ぬって
生ぬるい風にあたる

亜熱帯のさなか
記憶の波に揺れる
#詩 #詩作#詩を書く#ポエム

砂の記憶

ずっと 奥に
目の前にある
しんとした 殺風景な旅の記憶

遠くに来たと思った

異国の血に憧れた頃
無理やりに
あの人に溺れた

結末を
考えるのではなく

わかっていたとて
夢に 出てくる

あの日
キスをした

異国にいる気がした

箱舟にのって
砂の河を渡る

真っ赤な太陽を背に
キャラバンは行く

私は
浮足立った子供で
それ以外なにも見つからない子供

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無題

夏になる前の
夜を歩いた

じわじわと
からだを通り抜ける夜気に

大事なものは
そんなに たくさん無いなとおもって

少し泣いた

無いことが悲しいのではなかったとおもう

夜風が
あまりにも
早足で 夏を 連れてこようとするから

少し 戸惑っただけ
それだけだとおもう
#詩 #詩作#詩を書く#ポエム

つながる緒

わたしは 生きていく
あなたと 共に
繋がる緒がある

この世に 落とされたら

あなたは
自分の足跡に
驚きつつも ひとり築く

憂いの泉は
秋雨の 水溜まり

思い煩うことなく
生きるがいい
あなたは

わたしは
ただ 静かに
あなたが
来るのを 待っている

繋がる緒があることを
誇りに思いながら
#詩 #詩を書く#詩作#ポエム

金木犀の香りと、

金木犀の 香りがする時 あなたに 逢えた

待ち焦がれて

なんとしても生きなければいけないと

懸命に 夢みて

金木犀が香る時
やっと あなたに 逢えた

石畳の細い道を
きっと 私たちは
いつか 散歩する

金木犀の香りに
包まれて

夕暮れの
薄い 橙色か

金木犀の きっぱりとした橙色か

どちらが
綺麗だろう、なんて あなたと
話せることを 切に願い

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共有する

夢だったか
現実だったか

それが
もう なんだか
わからなくて
難しい

林をぬけると
朱い屋根の
おうちが あって

誰が住んでいるのか 少し怖い想像をしてみたりして

にわとりが
忙しそうに 鳴くのを
あなたと
じっと 眺める

雨が 降りそうだ

夢だったのだろうか

時々 わからなくなる
わたしは
あなたは
記憶を 共有する

ずっと それが
続くと錯

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