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2022年度第2回研究会(2022.6.16)の報告

■2022年度第2回研究会開催

 2022年度第2回の研究会をzoomで行いました。新しいメンバーが2名加わりました。参加者は8名でした。
 前半は第29回日本産業精神保健学会(2022.7.9-10)の一般演題に登録した、「オンライン・オープンダイアローグの可能性を探る-長時間労働者面接の経験から」の発表スライドをお見せし、解説を加えました。後半はグループに分かれ、オンライン・カウンセリングのメリット・デメリットや活用可能性などについてダイアローグを重ねました。
 

■リフレクティングをしなくても効果が出るのか?

 研究会の最後の方で、副所長の春日と米沢の間で面白いやり取りがあったのでご紹介します。
 春日から、今までも関係者を集めて合同面接はやってきたけれども、オープンダイアローグを取り入れて行うと何が違うのだろうか。特に今回の事例では明確なリフレクティングを行ったわけではないけれど効果を発揮したので、何が違うのだろう?という疑問が出されました。今回の発表内容は学会終了後に改めてnoteに掲載しますが、米沢からは、「以前に比べ一人一人が思いをなるべく話しきれるように、前より聴き方が丁寧になっているかもしれない」というようなことを、ぽつりぽつりと答えました。
 

■今ここにいるすべての人を大切にする

 米沢の話を受けて春日から、確かに聴く側の意識が違うかもしれないと。今までの合同面接では、ある問題に焦点を当て解決のために話をするやり方だったように思う。それがオープンダイアローグを学んでから、問題を解決しよう、という意識ではなくなっているのかもしれない。オープンダイアローグでは、今ここにいる人全員の、それぞれが感じている、思っていることを聴く場をつくるという意識になる。それがフラットな雰囲気になって、今まで聴けなかったことを聴く機会になり、自然に方向性が見えてくる、ということが起きるように思う、と。
 

■あえて目的を一度忘れること、いったん役割をおろすこと

 研究会終了後、研究会連絡メールでさらに対話を展開しました。そこで考えたことを記します。私たち支援者が関わる面接では、必ず目的があります。長時間労働の解決だったり、職場復帰の判定だったり、健康指導であったり。それはそうなのだけれど、その目的をいったん忘れ、まずはこの問題をめぐって本人が何を思っているか、どういう気持ちを抱いているかを聞いてみたい。他の参加者もいれば、その人がいま感じていることを聞いてみたい。さらに、私たち支援者は、問題を解決する、答えを出すという役割を背負わされている。それは仕事として当然のことなのだけれど、いったんその役割を脇に置いて、参加者の話を聞いていて感じたことや思い浮かんだ考えを言葉にしてみる。それを受けて参加者がまた感じたことを言葉にしてもらう。そういった応答を繰り返すうちに、いつの間にか、こうしたらよさそうだというコンセンサスに行き着くことができる。結果的に、何をするべきかをダイレクトに話し合うよりも、いい答えが出ていることが多いように思えるのです。リフレクティングをやる・やらないというテクニック的なことよりも、まず参加者が思っていること、感じていることを忌憚なく語れる場を用意しファシリテートするだけで、従来の面接とは違った結果が生まれるのではないか、といったことを言葉にすることができました。
 クライアントの問題が解決しないときは、クライアントの話から何かを聞き落としているはずだ、あるいは聞き出せていないはずだ、と必ず考えるようにしています。
次回は8月18日に開催します。
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