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背伸びをした日

5歳に近い4歳って。
まだまだものすごく甘えん坊で抱っことかせがんだりするくせに、ちょっと自分は世の中を分かってきましたよというような顔をしていて、ちょっと走れるくらいでオリンピック出られると思っている、なんていうかもう。

そんな娘が、フラダンスを習いたいと再三いうので、市民体育館のフラダンス教室に体験にいってきた。

それが平日の夕方からやるっていうので、その日は保育園早帰りで。
早帰り。
もうそれだけで気持ちウキウキ、そわそわ。
申し込んだ4日も前から毎日楽しみにしていて、保育園ではパートの先生まで「フラダンス行くんだってね」と声かけてくれるほどだった。  

いざスタジオに入ると少し早く、他の子はまだ来ていなくて、娘はいつもの自由人のまま待っていた。優しく見守ってくれる先生。

5分後、他の生徒さんが入ってきた。それをみた娘が一気に静かになった。ピシッと音がしそうなほど、緊張しているのが伝わる。
娘が見上げる先におられた生徒さんが、なんと、中学生だったからだ!

4歳と中2!

ひよこと白鳥か!

タンポポとバラか!

普段赤ちゃんたちを相手にしているので、娘はだいぶ大きくなったつもりでいた。
シラスがイワシくらいにはなったと思っていたものが、錦鯉と並ぶとシラスだったことに気づくような、感覚。

自己紹介。お姉さんたちも、優しく、中学生らしい素直さで、お話ししてくれる。好きな食べ物、フルーツかぁ。
娘の好きな食べ物は、と聞かれ、「…のり」と答える。渋いねと言われる。
日頃からの海苔好きを貫いたんだね。

ダンスが始まり、なぜか「お母さんもどうぞ」と言われて見学の私も一緒にステップ。これがなかなか結構難しい。
「日が暮れて~おうちに帰る~」など、意味をつけながら教えてくれるので娘にも(私にも)分かりやすい。
白鳥の中のひよこのような後ろ姿がかわいすぎる。足動かすときは手は動かず、手を動かすときは立ち止まる娘だが、なかなか無言で真剣に取り組んでいる。

疲れて来たところで、座学。
お姉さんたちの後ろでちょこんと座る、かと思いきや「真ん中がいい!」と。お姉さんたちの間に座る娘。ぐいぐい系に、戸惑いながらも優しく席を空けてくれる。

今日教えてもらった振り付けをおさらい。ホワイトボードに先生が棒人間を書いていく。お姉さん達が板書する。娘も私があわてて用意した裏紙に一緒に書く。
真剣に、白板と見比べて書く。時々、棒人間に髪の毛と顔も描き、「かわいくしてみた」と言う。
保育園はお勉強はないので、生まれて初めての板書だ。お姉さんたち、「私も昔は顔描いてた」と、優しく見守ってくれる。
優しい世界。ホッコリとする。

もっと絵を描きたいとごねる娘。いやお絵描きの時間じゃないから。
お絵描きは保育園でも出来るけど、フラダンスは明日は教えてもらえないんだよというと、抱っこでお姉さんたちの踊りを見始めた娘。また踊りたくなって、自分から、輪に加わる。

疲れてくると、走り出したり、床に寝たり、そんなところはまだ4歳児。

ついていけるかな?集中力もつかな?お姉さんたちの足引っ張らないかな?と、心配になりつつも、
来週もやる?に、「うん!」と迷いなし。
とりあえず、やれるだけやってみようか。

帰り道
「こんなに踊れる4歳いないって先生言ってたねー」と意気揚々。「来週は、もっと踊れるようになるかもしれない」。
本人はお姉さんたちとの差を気にしていない様子。きっと自分は白鳥と並んで、アヒルくらいにはなっているつもりだろう。小さな背伸びがかわいくて、いつまで頑張るのか応援したくなった。
いつも、『やりたいときがやらせどき』だと思ってるけど、本人がやりたいのっていつも、ちょっと背伸び出来るものな気がする。

そんなことに、チャレンジしてみるって楽しい。私も娘もワクワクしている。

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