見出し画像

自転車のお礼に137円でパパに撰んだお返しとは

私が久しぶりに1人で出かける用事があった日あるLINEが来た。
「買いたいと」
自転車にまたがった娘(5歳)の写真。
確か自転車は6歳の誕生日っていってなかったっけ?

確か今日は二人で交通公園で自転車の練習に行ってきたはず。まさかその帰りにもう、ピンクの自転車を押して帰ってくるとは。


と、いうわけで、娘は、先日パパに自転車を買ってもらった。

ストライダーもやってたし、交通公園での練習も補助なしで乗れたらしいのだけど、
娘が欲しがったのは、サーモンピンク?に白いカゴの少し大人っぽい自転車。
どうにも足が付くか付かないかの大きさで、やむ終えず補助ありとなった。

少し大きいというのは、長く使えるということなのだが、今が大変ということでもある。
不馴れな自転車をこぎ出すのもやっと。帰り道、もう嫌だと投げ出したくなる娘の気持ちもわかった。初日にして、娘とパパは喧嘩したらしい。

まぁ、練習に付き合う父も母も、終わりごろにはぐったり(まだ1人では道路に出せないため、親は小走りで伴走する。車通りが多くなくても歩道が整備されていない道のなんとハラハラすることか。気力体力共に削られる)。仕方のないこととはいえ、娘には自転車屋さんから家までの距離が果てしなく感じられたのだろう。

母は帰宅してからその話を聞いた。

どうやら、自転車屋さんからの帰りの坂道、娘がもう疲れた乗れない、と言いだし、自転車で伴走していたパパが「買いたいって言ったの娘ちゃんでしょ」と怒ったらしい。結局、一度パパの自転車はその辺にとめ、娘の自転車を家まで運び、また戻ってパパ自転車にのって帰ってきたのだそうだ。

後日。母と娘で練習した帰り、娘が「自転車買ってくれたパパにお返しをしたい」と言い出した。喧嘩して、パパが怒ったって言ってたけど、やっぱり嬉しかったんだな。
思わず涙が出そうになったが、
「パパなにがいいかなー。お金かな」と言う娘には笑ってしまった。

して、パパにあげるもの買うんだと、娘は小さな貯金箱から意気揚々と
50円2つ、10円3つ、5円1つに、1円2つ、というたくさんの小銭を……つまり
『137円』
を 取り出し、財布に入れて、自転車にまたがった。
最寄りのショッピングセンターまで。
と、その前に公園の売店に寄る。
これはどうかな?と指差す娘。
割けるグミ
バドミントン
シャボン玉
すみっコぐらしのチョコ
うーん、どれも娘がほしいものじゃ……。そして、137円まで縛りって、なかなか厳しいライン。
悩んでやめて、ショッピングセンターに行く。自転車を自転車置場に止めるのも初めてで一苦労。

めくるめく商品の中、137円しかないと分かっている母には、買えないだろうお店がわかるので、ついついこっちの店は?と誘導したくなる。
だが、137円も!持ってきた娘にとっては、もう背筋が伸びて、早足で色々な店を覗く。

お化粧はパパはいらないし……
お花屋さん、1本でも高すぎる……。
洋服屋さん、やっぱりやめた

普段、自分も散財できるような人間ではないのだが、娘の小さなお財布の中身は、自分が何気なく買うものよりもはかなく、ショッピングセンターが巨大に見えた。

次に行ったのは、高級チョコレート屋さん。
そこは、キャンディみたいなチョコレートの計り売りがメインのお店だった。
可愛い箱(箱代すら300円)に、詰めてギフトにもできる。
「1つなんえん?」
と聞く娘。うーん、書いてないから、袋にいれて計り売りしないとなのかな?と、迷っていると、可愛らしい店員さんが「1粒からも買えますよ」と教えてくれた。
「1ついくら?」と聞く娘に、110円位ですよと丁寧に教えてくれる。

娘が137円持っていて、パパにあげたくて買いに来たんですと話すと、店員さんの顔がパッと輝いて、「それは素敵ですね!」と娘をみた。
これなら2つ買えるかもなんてアドバイスももらいつつ、娘はゆっくりチョコレートを1粒だけ撰んだ。
真ん丸のチョコレート。春のデザインの、キラキラした包み紙。
大事にレジまで持って行き、お金をだした。
店員さんが、「包装はただなので、入れておきますね!」と丁寧に1粒を包装してくれた。手提げまでくれて、娘は誇らしげに会計を済ませた。

あと何円残ってる?
106円だったから、あと31円。
それならまだ買える!?

その後、駄菓子コーナーでさんざん迷い、うまい棒には納得できず、母が買ってあげようか?という言葉に首を降り、でも最後は「一緒に買うっていうのはどう?」と母と交渉し、腕がいたくなるほど緊張しながら自分の自転車で無事に帰宅した娘は、真っ先にパパのもとへ行き、チョコなどを渡した。

パパは大層喜んで、あの日怒らなきゃ良かったなと反省して、賞味期限を確認した。もったいないからギリギリまで食べないつもりらしい。
その気持ち、わかる。

なんせ初めて娘が娘の大事なお金で買ってくれたのだから。我が家史上もっとも貴重な137円になったに違いない。


この記事が参加している募集

子どもの成長記録

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?