経済
明日はたかしくん、3歳の誕生日です。ママもパパも、ソワソワしています。
ソワソワソワソワ、ソワソワソワソワ
「あっそうだ!!」
ママが叫びました。
「まだたかしにプレゼント何が欲しいか聞いてなかったわ!!聞かなきゃ!!聞かなきゃ!!」
「本当だねぇ。聞かなきゃ!!聞かなきゃ!!」
パパも同調します。早速子供部屋へ行きます。
ガチャリ
ドアを開けると、たかしくんはお爺ちゃんとブロックで遊んでいました。カラフルなブロック。楽しそうです。
「やあ、なおこや、どうした。」
お爺ちゃんがヨボヨボ言います。
「あぁ、あのね、まだたかしにプレゼント何欲しいか聞いてなかったからさ。何欲しいのかなあ、と思って。」
「あ、なるほどじゃあ。」
お爺ちゃんは柔らかい視線をたかしくんに向けます。春の陽気のような眼差しです。
「ということよ。ねぇ、たかし、何が欲しいかしら?」
笑顔で話しかけるママ。愛情が伝わってきます。
「ペット!!ペットが欲しいでちゅ!!」
たかしくんはカタコトの日本語で答えます。可愛らしいです。ペットが欲しいのでしゅね。
「へぇ、なに?何が飼いたいのかな?」
今度はお父さん。お父さんがにっこりと質問します。
「経済!!経済!!」
たかしくんはどうやら経済が飼いたいそうです。パパ、ママはちょっと悩んでしまいます。
「う〜ん。経済かあ。大丈夫かなあ。日銀さん。たかしに譲ってくれるかなあ。」
「わからない。まず話してみるところから始めなきゃ。アタック!!アタック!!」
パパは早速日銀さんに電話しました。
トゥルルルルー、トゥルルルー
ガチャッ
「はい、日銀です。」
キリッとした、男の声です。
「あ、日銀さんですか?あの、突然なのですが経済を譲って頂けませんでしょうか?息子のたかしが経済を飼いたいと言い出したもので。」
「おお!!丁度よかった。近々定年退職しようと思ってたのですよ。では、経済は任せました。よろしくお願い致します。」
「お!!ほんとですか!!やったー!!」
ガチャッ!!
ママは目を丸くしてパパの方を見ている。
チャッキッ!!
満面の笑みでOKのポーズを取る、父。
「やったーーー!!」
「いぇーーーい!!」
抱き合って喜ぶ二人。喜びが、爆発している。そして、誕生日当日。
「おめでとうーー!!」
「おめでとうーー!!」
ケーキを囲んでみんなでお祝い。
フーーーッ!!
ケーキを吹き消すたかし。横綱の貫禄がある。
「はい!!誕生日プレゼントのぉ、、、、、『経済』よぉおおお!!」
「いぇええええーーーーい!!」
盛り上がる二人。
「やっだあ!!やっだあ!!」
たかしくんも両手を上げて椅子の上で喜んでいます。なんと、可愛いことでしょう。
「大切に育てるのよ!!」
「大切にね!!」
「バブーッ!!」
パーティーが終わりました。たかしくんは子供部屋で経済を弄っています。なんだか、元気がないな。元気が、元気がないな。つまらない。これじゃつまらない。そうだ。餌をあげてみようかな。餌を食べるところを見たい。餌を、餌をあげよう。たかしくんは餌、通称日銀砲を経済に与えることにしました。
↓続き
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883455812/episodes/1177354054894675632
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