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創作講談の習作

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所属する講談教室の課題「3分講談の創作」。毎月ひとつ、お題に即してミニ講談を作ります。内容を考えるのも書くのも楽しく、私にはとても合っている課題です。文章力の筋トレにもなっていま… もっと読む
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記事一覧

3分講談「守山宿の仇討ち」①

★謡曲『望月』の翻案・リメイク作品です。 時は、室町のころ。ところは、近江国・守山でござ…

小鈴
2か月前

3分講談「髑髏の仇討ち」(テーマ:仇討ち)

亡くなった人の骨というものには、骸骨、どくろ、しゃれこうべ、野晒し―、実に色々な呼び名が…

小鈴
2か月前
7

3分講談「秘密探偵・岩井三郎」 

明治二十九年、東京日本橋に、日本初の私立探偵事務所が誕生いたしました。創始者は、岩井三郎…

小鈴
4か月前
2

3分講談「日秀上人御一代記② 大蛇退治」(テーマ:自由)

室町時代、紀州・那智勝浦の日秀上人は、「補陀落渡海」へと出立いたしました。小さなくり抜き…

小鈴
7か月前
5

3分講談「日秀上人御一代記① 補陀落渡海への出立」(テーマ:自由)

和歌山県那智勝浦町に「補陀洛山寺」という古いお寺がございます。室町時代、海沿いに建つこの…

小鈴
8か月前
9

3分講談「前田利長と高山右近 十文字の炭手前」(テーマ:旅行)

★3月に訪れた、富山県高岡市にまつわるお話です。 富山県高岡市は、富山市よりも西に位置す…

小鈴
1年前
6

3分講談「フェノロサと夢殿」(テーマ:奈良)

奈良の名所のひとつといえば、法隆寺があげられましょう。法隆寺には、「夢殿」と呼ばれる建物があります。夢殿には、聖徳太子の等身大の姿を象ったとも伝えられる、大きな観音像―救世観音が安置されております。現代でも、春と秋とに期間限定で開帳されていますので、ご覧になった方もいらっしゃるのではないかと思いますが、この観音像が世に見(まみ)えたのは、意外にも、明治時代も半ばになってからのことでございました。(①) 明治初年。日本国内には、神仏分離令をきっかけとした廃仏毀釈の嵐が吹き荒れ

3分講談「文明開化の熱狂―兎税の顛末」(テーマ:納税)

江戸から明治へと時代が変わった、すぐの頃のお話です。 東京では、散切り頭に士族の商法、牛…

小鈴
1年前
2

3分講談「阿倍仲麻呂と吉備真備」(テーマ:自由)

月というものは、昔から、遠く離れた場所や人を思い出すよすがとなることが多いようですね。「…

小鈴
1年前
2

3分講談「上田秋成の生い立ち」(テーマ:雨)

※雨→「雨月物語」→上田秋成(多少無理やりです)  摂州大坂・曾根崎新地。この界隈は大坂…

小鈴
3年前
1

3分講談「貴船明神の由来(前編)」(テーマ:節分)

時は寛平の御時と申しますから、平安時代の中頃。 京の都に、中将定平という貴族がおりました…

小鈴
2年前
3

3分講談「貴船明神の由来(後編)」(テーマ:節分)

平安時代の中頃。京都・鞍馬山の奥に住まう鬼の娘に恋をした、中将定平という一人の貴族。娘と…

小鈴
2年前
2

3分講談「竜宮と剣」(テーマ:海)

寿永四年、西暦一一八五年四月二十五日。長門国赤間の関・壇ノ浦において、平家一門はついに源…

小鈴
1年前
2

3分講談「孝行問答」(テーマ:自由)

「孝行の したい時分に 親はなし」なんてことを申しますが、江戸時代、この「孝」という概念を、ことのほか重んじたのが、五代将軍・徳川綱吉でございました。ま、綱吉といいますと、真っ先に思い浮かびますのが、あの悪名高い「生類憐れみの令」ではないかと思います。その極端な政策から、「犬公方」などと渾名されるわけありますが、綱吉の政策の根底にございましたのは、「儒教」という学問の考え方だったそうですね。中でも特に重んじられたのが、「忠」と「孝」、「忠」は主君によく仕える心、「孝」は親を敬