3分講談「貴船明神の由来(前編)」(テーマ:節分)
時は寛平の御時と申しますから、平安時代の中頃。
京の都に、中将定平という貴族がおりました。あるとき、宇多天皇のもとで「扇合わせ」の会が開かれました。扇合わせと言いますのは、扇に詩歌や絵を書き、それを見せ合って優劣を競う遊びの一種ですが、この時、定平の対戦相手が出した扇に、美しい女性の絵姿が描かれていました。それをひと目見た定平、勝負も忘れてぽ~っとなってしまった。絵の中の女性に一目惚れでございます。さあそれからというもの、寝ても覚めても扇の女のことで頭がいっぱい。仕事もまる