これまで、これから

オーケストラから離れようと思っている。

わたしは4歳でエレクトーンを始めてから、音楽を何かしらずっとやり続けてきた。ここでの"音楽をやる"とは、お金を払って楽器を習ったり、部活やサークルなどの組織に所属したりしている状態のことであるとする。受験期も、往復5時間かけて学校に通っていたときも、一度もそれを辞めたことはない。それが許される恵まれた環境だったというのもあるし、音楽が好きだった。わたしの交友関係は音楽を中心に回っていて、友達はほとんどみんなそれぞれに音楽が好きな人たちだ。学生が終わり、社会人になるというときには、音楽を続けていきたいなとまず1番に思った。そして今はオーケストラに所属している。社会人オケでありながら、同年代の人のみで構成されている上にみんなのモチベーションが高い奇跡のような組織だ。
だけども肝心の自分のモチベーションが追いつかない。仕事の片手間でやるオーケストラは苦行のような面のほうが明らかに強くて、しがみついているような現状にとにかく疲れてしまった。大学生のときはオーケストラをやっている自分が好きだったけれど、今はそこにいるだけでどんどん自分を嫌いになっていくような気すらする。音楽をやっているというよりもタスクをこなしているという方がずっと実態に合っている。いくらクオリティの高い団体とはいえ大学オケほどの一体感も時間もなく、あそこで一旦完結した物語に無理にPt.2をくっつけているような気分になって虚しくなる。わたしのモチベーションと実力不足のせいだけれども。大学生のときも今も、オーケストラをするにはあまりにも多くのものを差し出す必要があって、相変わらずいろいろと犠牲になるものだ。一部の恐ろしいバイタリティや熱量を持った人たちを見ていると、自分とは全然違うなと身に沁みて思ったりする。
大学生でオーケストラをできてほんとうに良かった。あのときは自分が選び取りさえすればいつまででも続けていけるものだと思ったけれど、あんなふうに夢中になって全力投球できるのは、幾つもの条件が揃ったかなり限定的な環境下だけだと実感した。あれが青春ってやつだったのか。青春ってそういうものかもな。

だからこれからはまた違う形で音楽と関わっていきたい。とりあえずは疲弊して少し擦り減った自分を治して、軽くなりたい。音楽に限らずちゃんと今やりたいことをやりたいし、そうしないといけないと思う。次の段階に進む時なんだな、と感じている。おそらくは人よりも執着心の強いわたしにとって何かを辞めることはちょっとした恐怖だけれども、これからはいろいろなものに目を向けて豊かになりたいとも思っている。別にまたやりたくなったらやればいいのだし。

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