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「下午のまち銭湯~昼下がりの銭湯」 第四湯~王子【飛鳥山温泉】

銭湯は昼下がりにいくに限る

昼下がりの王子


王子。緊急事態宣言が出たり出なかったり。なかなか銭湯に行けない日が続く。

しょうがないとはいえ趣味を制限されるというのはなかなか精神健康上よくない。しかし我慢我慢といった修行僧な毎日。

緊急事態宣言の谷間のとある日。午前中埼玉のほうに所用があってその帰りに王子駅でアクシデントで電車が止まってしまいそのまま待っても良かったのだけど、ちょっと降りてお茶でもしていこうかなぁと駅の外に出てみた。

王子飛鳥山を歩く


駅を出ると飛鳥山公園に入れる。緑豊かな大きな公園で、渋沢栄一の催しものをやっているようだ。きっとこんなコロナの世でなけりゃ家族連れで賑わっていたんだろうなと想像できる。素晴らしい公園。

ここ北区の王子はいくつかの路線が入り込んでいる乗り換え駅で、駅前はなかなか広々としている。駅からちょっと歩くと都電荒川線が走っていて、車に紛れて信号待ちなどをしている。最寄りは飛鳥山駅。都市に溶け込む路面列車はなんだかちょっと東京なんだけど東京じゃないレトロな雰囲気が漂ってる。でも下町って感じでもないんだ。

ちょっと歩くと甘納豆屋さんがあった。「おや、どれどれ」と樹液に吸い寄せられる夏の虫よろしく覗いてみる。気づけばすっかり散歩気分で「そうだお茶をしに降りたんだ」と店を探す。

先を歩く。どこかにカフェやら喫茶店やらはないかなぁ、とキョロキョロしていると、路地の向こうに「飛鳥山温泉」という看板を見つけてしまった。

「なんと・・・こんなところに銭湯が!」。思いがけないじゃないか。当たり前のように前まで行ってみる。



飛鳥山温泉


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レンガ造り、コインランドリー併設。店前には自転車が多数。温泉感は全然なくまぎれもない銭湯だ。奥には松竹錠の下駄箱。よしちょっと散歩して汗かいたし湯に入っていこう。

入店。目に飛び込んできたのは広々としたロビー。大きな円卓に奥には机とイスがいくつもある。こりゃちょっとした食堂じゃないか。フロント番台で支払いをする。あぁ、知らない銭湯に来てこうして小銭入れからお金を取り出すというなんてことのない日常行動がひどく懐かしく思えてしまう。

脱衣場に入る。ご主人だろうか。熱心に床をモップ掛けだ。ぼくと目が合うと軽く会釈をくれる。清潔感とささやかな愛嬌。良い銭湯の条件。というかこの脱衣場きれいだ。割と最近リニューアルしたんじゃないかなぁ。

かららら~

浴場へ。白タイル基調の素晴らしい浴室だ。開放感があっていい。

右の壁伝いに大きな浴槽が1つある。左側にはカランが2ブロックあって19個。カランの奥には水風呂がある。その奥に扉が2つあって右の扉が有料のサウナで左側は露天風呂だ。銭湯の露天風呂はテンションが上がる材料だ。

桶と椅子をとってカランに移動する。桶は無印の黄色のプラ桶。ふいに入った銭湯だけどかなり期待値は高い。良い銭湯は入湯する前からなんとなくわかる。

さて湯に入ろう。大きな浴槽は、中でいくつかのブロックに分かれている。左の壁には3種類のジェットバスがある。その隣に電気風呂があって、中央部は白湯スペース。入り口側は銀枕があるバイブラ。っほ~これは盛沢山。たっぷり楽しめそうだ。まずはスタンダードに白湯からいこう。

しゃぽん・・・

おお~。良い。体に染み渡る。お湯が裸体を柔らかく包み込む。ここのお湯は上質な地下水を使用しているらしい。ちなみに温泉ではない。でもまぁ地球の奥深くから汲んでいるってことで構造的には温泉と一緒。事実上の温泉と言ってしまってもいいだろう。こういうのは気分の問題だ。

カコ~ン。鳴り響く桶の音。嗚呼、忘れてはいけないサウンド。もっともっと味わいたい。ずっとずっと楽しみたい。やめてはいけない止まってもいけない。昼下がりの銭湯。

ジェットバス行ってみよう。

ジェット3兄弟。左から座風呂ジェット、ボディジェット、ハイパージェット。座風呂ジェットから。腰というか内部のレバーまで強烈に刺激するのが銭湯スタイル。おまけに足の裏も刺激だ。ボディジェット。これはいつも迷う。お腹側で突入するのが正しいのか背中側で受けるのがよいのか。おじさんたちは大体お腹で受けているので多分それが正しいのだろう。ハイパージェット。こういった街銭湯にあるハイパージェット(ウルトラやスーパーのときもある)はまじでハイパーなのだ。ほんとに体が浮き上がるくらい強力。果たしてマッサージ効果があるかどうか疑問。

電気風呂。最近やっと入れるようになったけどぼくはやはりまだ苦手。背中からミリ単位でビビりながら侵入。ビビッと刺激が来たら側退散。まだまだ修行が足りないようだ。

ホカホカと体があったまってきたので。水風呂へ。入水。おお・・・これは結構冷たいぞ。一気に冷却。存分に冷えたら、この冷たさが体を覆っているうちに再びお湯へ。バイブラゾーンへ突入。

ビリビリ~電流が皮膚を駆け巡る。下からはバブルがゴボボボっと尻を刺激してくる。う~んたまらん。ひたっと銀枕が後頭部を冷やして気持ちいい。

なんかぼ~としてきた。ああそうだ。露天があるんだっけ。よし行ってみよう。真っ白なタイルをひたひたあるく。左奥の扉を開けると・・・おお。壁にに竹細工が施されている。風呂はちゃんとした岩風呂だ。本格的!

足場に気を付けてはいってみる。ぬるい。サウナ施設とかスーパー銭湯にある炭酸泉くらいの温度。じっくりゆっくり入る感じだね。しばしポーっとする。するとどこからともなくあの木をあぶったような独特な蒸し臭が。サウナの匂いだ。隣にあるサウナ室から蒸し臭が漏れてきているのだ。これがなんとも心地いい。サウナの匂いを嗅ぎながら風呂に入る。なんという贅沢。

なんだかすっかり時間がたってしまった。ぼくは普段こういう水風呂のある銭湯は交互浴をたくさんするんだけど今日は全然しなかった。なんかじっくりお湯に浸かっていたい。そんな銭湯だ。

脱衣場に戻る。服を着てドライヤーで髪を乾かす。ここはドライヤー無料。そのまま暖簾をくぐりロビーへ。大きなテレビもあってくつろげそうなロビー。コロナじゃなかったら缶ビールやアイスを買ってここでくつろぐのもいいかもな。

さて帰ろう。駅まで歩く。駅に着くと電車は復旧していた。ホームから電車に乗車。良い途中下車だったな。やはり銭湯はいい。

ああちょっと長湯しすぎたかな?喉が渇いてきた。

あれ・・・そういえばお茶しに降りたんじゃなかったっけ?

銭湯の詳細


『飛鳥山温泉』[所在地]北区滝野川[最寄り駅]都電荒川線「飛鳥山」駅下車、徒歩5分。 JR京浜東北線・東京メトロ南北線「王子駅」から徒歩10分

[営業時間] 14:30−24:30日曜は13:30より営業[定休日]火曜[入浴料]470円

[サウナ]サウナセット750円[ドライヤー]無料

※備え付けシャンプー、ボディソープあります

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