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「下午のまち銭湯~昼下がりの銭湯」 第一湯 綾瀬【玉の湯】
銭湯は昼下がりにいくに限る
昼下がりの綾瀬
綾瀬。この街ぼくは初めて。早速、千代田線に揺られ向かってみるのだが、これがなかなかドキドキする。初めての街はいつだってそうだ。いったいどんなとこなのだろう。隣駅の亀有や同じ足立区の北千住とそう違うということはないだろう。でも「治安が悪い」というはなしをきいたこともある。ゴッサムシティのようなところだったらどうしようか。気持ちの整理もつかないまま綾瀬に着いてしまった。意を決して改札を出てみると・・・なんてことはない。普通の街なのである。
ということで今回は銭湯訪問がてら綾瀬に初上陸した次第である。
もちろん新宿や大手町といった都会やビジネス街とは違うんだけど、正真正銘の東京の街。二十三区内の駅前。そんな光景。そしてちょっと下町。亀有や北千住と一緒だ。なぁんだ。ぼくの大好きなタイプの街じゃないの。
駅前にはイトーヨーカドーがあって買い物客がひっきりなしに出入りしてる。仕事人と思わしき人間もたくさん行きかう。子連れもお年寄りものどかな生活感を出しながら歩いている。平日昼下がりの綾瀬はそんな感じだ。
空腹の銭湯もそれはそれでよいのだが、銭湯へ出かけるときは腹に何かを詰め込んでいくことが多い。
駅前で蕎麦屋をみつけたので食らう。
チェーンオペレーションなんて概念は全く存在しない接客。でも仕事はしっかりやる職人気質もある。これぞ下町の蕎麦屋。いいんだよなぁこれが。
店内じゃ常連客2人が明るいうちから一杯やっている。近くの新しくできた天丼やの話をしていて
「あそこのてんぷら不味いよな。べちょっっとしてて食えたもんじゃない」
「俺はよくいくよ。衣がサクッとしててうまいんだよね。」
会話が全くかみ合っていない。でもこれもなんだか風情を感じるなぁ。
駅から歩く
線路沿いに歩いてみる。高架下はちょっとしたアーケードのようになっていて様々な飲食店が軒を連ねる。
ランチ営業の飯屋に交じり昼から飲める居酒屋なんかもあってやっぱ下町だなぁと感じる。
道を挟んだ向こうには東京武道館がある。
九段下に日本武道館というのがあるがこれが昔から海外でTOKYOブドウカンと紹介される。1989年にここ綾瀬に本当の東京武道館ができてしまったもんだからとても面倒くさいことになってしまっている。
武道館の横にはよく整備された広い公園があって親子が遊んでいる。きっと住みやすい街なんだろうなぁ。
スマホで地図アプリを立ち上げGPSで現地点を確認する。あとはひたすら歩く。銭湯まで歩くというこのなんてことのないちょっとした散歩が堪らなくすきだ。
やっぱり昼下がりが良い。夜の街を歩くってのもいいけど景色がや人の流れがしっかり見える昼のほうが良い。その街の生活感がより体感できる。この感じ。すごくいい。
目的の銭湯「玉の湯」についた。
玉の湯
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タイル張りビルの一階部分が銭湯で上の階は住居になっているようだ。マンション銭湯?・・・いやマンションにしては規模が小さいからアパート銭湯とでもしておこうかな。隣にはおなじみコインランドリーが併設している。
ピンクのカラフルな暖簾をくぐり、松竹錠をがしゃっとやって下駄箱に靴をいれる。この時代もう銭湯くらいでしか松竹錠なんて使わない。この体験もまた特別な体験である。失われつつある文化がまたここにもある。
右側の自動扉から中に入るとロビーになっていて左側にフロント式の番台がある。銭湯の番台といえば脱衣所にあるイメージが強いかもしれないけれど今やこのようなフロント番台が一般的だ。小銭入れからきっちり470円を支払い入店する。
脱衣所に入ると正方形の白いロッカーがある。鍵を回して服を入れるのだが、この鍵がちょっと変わっている。いや、鍵はふつうの鍵なのだが番号札がめちゃくちゃデカい。腕に付けようにも、足に付けようにも如何にもこうにも邪魔になりそうだったので手に持って浴場に向かう。
かららら~。
浴場に響く引き戸の音。独特の反響音。
『あぁ。銭湯に来たんだな』と実感する。
浴室は縦長で白いタイル張りのとても清潔感のある銭湯だ。よく手入れが行き届いているなぁとうれしくなる。
銭湯の浴槽の位置はそれぞれの銭湯によってさまざまだが、代表的な配置スタイルがいくつかあって東京の銭湯の主流は正面奥の壁に横並びに浴槽が配置されているタイプ。もう一つが側面もしくは中央の壁に沿って縦並びに浴槽が配置してあるタイプ。これが関西になると浴槽が浴場の中央に配置してあるものが多くなるという。
この綾瀬の銭湯は縦並び式だ。側面の壁に沿って湯舟が2つならんでいる。今回は湯舟だけ堪能するから入らないけれど入口のすぐ右側に有料のサウナがある。
サウナがあるということは水風呂があるかもと思い、みてみると手前の小さな浴槽が水風呂だ。ということは交互浴ができる。心がウキウキする。
桶を手に取りカランに向かう。カランはざっと数えて13。桶はやっぱりケロリンだ。実は事前の情報で珍しい白いケロリン桶があるということで楽しみにしていたんだけども、この日は見る限りそれらしきものはなかった。結構なレアアイテムのようだ。
備え付けのシャンプーを手に取り頭をガシガシ洗う。ざばーんと桶のお湯を頭からかぶる。本当はシャワーがあるのでそれを使えばいいのだけど、なんだか桶で流した方が銭湯気分に浸れるんだよなぁ。
タオルにボディーソープをとりワシャワシャと全身を洗う。泡を洗い落とし椅子と周りをざっと水で流していざ浴槽へ。
浴槽は遠目で見ると大きな主浴槽一つだけなのだが、近くでのぞき込むとなかに金属製のパイプがあってそれで二つに分けられているのがわかる。主浴槽の左側は深湯になっていてジェットバスが二つある。右側が普通の白湯だ。まずは白湯からいただこう。
右足をソロ~リいれて、
しゃぽん・・・
じんわり肩までつかる。
あったかい。心がどんどんほぐれていく。
他のお客さんは3人。まだ明るい時間だからこんなもんだよなぁ。
カコ~ン・・・
鳴り響くあの銭湯の音。心地よいサウンド。ふと正面を見てみると、にこっと笑顔の顔のイラスト。窓から差し込む昼下がりの日光。ああまぶしい。堪らない。やめられない。昼下がり銭湯。
一通り体が温まったところで水風呂へ。いざ。入る。
うひょ~冷た・・・くない!?
緩いってわけではないししっかり水なんだけど、なんだか優しい温度。サウナ使用だとちょっと物足りないかも。
でも交互浴に使うなら最高の温度だ。思い返してみるとぼくは元々は水風呂が苦手で全然入れなかった。初めて入れた水風呂がそう、ちょうどこれくらいの温度だった。懐かしい。そこからどんどん虜まれてしまったんだよなぁ。
じっと水風呂に使った後は。すぐにまた主浴槽へ。白湯に浸る。
ビリビリビリ
きたきた。体の表面をまるで電気の膜が包み込むような感覚。この痺れが堪らない。でもなんだか体には悪そう。だから直ぐ上がる。カランまで戻ってしばらくぼーっとする。サウナでいう休憩の時間というやつか。
今度はジェットを味わおう。足場に気を付けて深湯に入る。
ごぼぼぼぼ
横並びのジェット。背中を押し込む。湯流に体を預けるとフワっと頭が後ろに倒れる。
ひたっ。ひんやり。
背面に銀枕がある。気持ちいい。
その後は何回か水風呂と白湯を往復して存分にこの綾瀬の湯を食らいつくす。
カランに戻ってからだを良く拭き。脱衣所にへ。床を濡らさないように細心の注意を払いロッカーまで戻る。鍵を回そうとするとやっぱり目に入る番号札。しかし大きな札だなぁ。服を着て、髪を乾かし、忘れ物がないか確認して退店。
「どーも」とフロントで挨拶して表に出ると。まだまだ明るい。そうだ今日はまだ終わっていない。さてどうするか。そういえば駅前に呑み屋がいろいろあったなぁ。まだまだこの街は楽しめそうだ。さぁこの素晴らしき銭湯で火照った喉をクールダウンといこうかね。
銭湯の詳細
『玉の湯』[所在地]足立区綾瀬[最寄り駅]千代田線「綾瀬」駅徒歩6分
[営業時間] 14:00−23:00[定休日]金曜日[入浴料]470円
[サウナ]有料(入浴料込み770円)[ドライヤー]20円
※備え付けシャンプー、ボディソープあります
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