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#31 全ては、ワタシ専用で、私のモノ

(4歳の娘が15歳になった時に渡す手紙です)

最近、祖父母に会いに行けないので、ビデオ電話をかけて、近況についてお話をしています。君が、画面に向かって「ばあば、じいじ」と声をかけると、向こうは満面の笑みで応えてくれます。

最初の頃は、テレビ電話で何を話して良いのかわからず、恥ずかしがっていました。しかし、最近は、幼稚園にいくようになったので、どんなカバンで通っているのか、カバンの中身は何なのか、一つひとつ自慢げに説明をしていました。

「これはね、幼稚園でお絵かきをした絵!」
「このスモックを着て、お外で遊ぶの」
「お弁当が始まったら、このコップと歯ブラシを使う」

あまりにも丁寧に一つずつ説明するので、聞いているこちらは、そこまでしなくてもいいよ、と思っていました。ただ、よくよく思い返すと、自分の使っているものをきちんと説明できるようになったんだな、と君の成長を感じました。

「これは何なのか」
すごいシンプルなことだけど、大人になると意外に説明を省くことが多い。だから、いざ「これは何ですか?」と聞かれると応えられなかったりします。

今この文章を売っているパソコンを指差して「これは何?」と君に聞かれたら、私は「パソコン」と応えます。けれども、それは正確に、聞かれたことに応えていない気がします。

私(父親)が、何をするためのものなのか、どのように使うのか、具体的な場面、イメージを教えてくれ、という意味で、君は「これは何?_」と聞いているような気がします。

そう考え直すと、応えるのか結構面倒であります。それは、「このパソコンは自分にとった何なのか」と考えなければならないからです。簡単なようで難しい。

今の君は、身の回りのものを単語ひとつで応えないとしたら、どのように説明しますか?カバンの中に入っているものは、君にとってどんな意味を持っているのでしょうか。

よかったら、また今度聞かせてほしいです。

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