#7 人生にリセットボタンはありません
(4歳の娘が15歳になった時に渡す手紙です)
坂道を登って、神社に参拝に行こう。
そう決めて、家族でお出かけ。
最初は、どんな道も意気揚々と歩いていた君。
予想通り、10分ほど経つと「疲れた」と泣き出してしまいました。今日はたまたまお菓子を持ち合わせていなかったので、通りがかったお店で、ペロペロキャンディを買いました。
昭和からある、昔ながらのグルグル模様の水飴。330円、なり。
君の顔の3分の1くらいあったよ。
キャンディを買ってもらった君は、とってもご機嫌になり、そのあとはどんな道も最後まで歩きました。気持ち一つで、こんなにも変わるのは、この頃だけでしょう。
ただ、そのキャンディとは、悲しいお別れをしました。
自転車の後ろに乗っていた君は、ふざけて体を揺らした拍子に地面に落としてしまいました。もちろん、キャンディは粉々。
君は、落としてしまって悲しみと、落としたことで父親に怒られるのではないか、という不安で、しょんぼりした様子で私の顔を見ていました。
父親も母親からも怒られないことがわかった君は、小さな声で
「また、買えばいいのかな」と言いました。
私が「一回壊れたり、失くしたものは、もうそれでおしまい」と伝えると、君は無言で頷きました。
偉そうなことを言っている私ですが、ついこの前、同じような経験をしました。君に言ったことは、実は、私自身に言ったことだったのです。
壊れたもの、失ったものは元に戻らない。
これはテクノロジーが進化しても、君がこれを読んでいる頃では変わらないんじゃないかな。
つまり、思い出のコップや手紙を壊したり、失くしたりしたら、元には戻らないってこと。同じ商品を手に入れることはできても、全く同じものは手に入らないでしょ。
私はね、このことってモノだけに限らないって思います。
人間関係も同じ。
君も友達とケンカをする時があるでしょう。(私はあまりなかった)
多少の勘違い、すれ違いで仲が悪くなるくらいだったら、仲直りできるけど、君が期待を大きく裏切ったり、嘘をついて傷つけたら、その信頼関係は壊れてしまう。これをもとに戻すのは、モノを修理する以上に大変です。
ましてや、命も同じ。(もしかしたら、死んだ人が生き返るようなテクノロジーが実現している?わけないか)
人間の人生は一度きり。二度ない。
これはやり直しがきかないから、慎重に生きろとか
失敗したら終わりだ、とか
間違えないように誰かの言うことを聞け
という意味ではないです。
後悔がないように、自分で選択をして、生きていってください。
ってことです。
ちょっと説教くさくなってきたので、ここでやめます。
人生にリセットボタンはありませんよ。