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院長への直訴状

2024年1月18日
国立別府病院 院長殿
菊池小百合

2024年1月4日、主治医の大谷先生から他の病院に転院するよう強要される発言がありました。
私は2023年12月の中旬から、乳がん治療のためタモキシフェンを服用しています。薬の服用が始まってから半月ぐらいの間、副作用の影響で強い倦怠感や発汗などの症状が出ていました。
別府病院は待ち時間が長く、体調不良の中での通院がきつく感じられました。私は大谷先生に「小さい病院に転院できないか」と相談しました。先生は「次の診察でもう一度気持ちを確認するので、その時にまだ転院したいと思うなら手続きをしましょう」とおっしゃってくださいました。私は先生が「転院するのは構わないけれど、もうすこし考えてからにしてはどうですか?」と提案してくださったのだと受け取っていました。

私は先生のお心遣いに胸を打たれ、転院するのをやめようと思っていました。

しかし次の診察のとき、大谷先生はとてもイライラした様子で、今すぐ転院の手続きをするように私に迫ってきたのです。私は先生の豹変に驚いて、言葉を発することができませんでした。
先生はその後も怒ったような口調のまま一人で話を進めました。私は先生によって勝手に、2月29日に転院することを決められてしまいました。

会話でのコミュニケーションは難しいと判断し、クレームと言う形で私の考えをお伝えしようと思います。

大谷先生は普段、とても温厚な人です。その日は私生活で何かあったり体調が悪かったりしただけなのかもしれません。2月29日の診察の時は、普段通りの先生に戻っているかもしれないとも思いました。しかし、もし先生の機嫌が戻っていなかったら、私は口喧嘩で先生に勝てる自信がありません。

先生や別府病院と争いたい気持ちは、私には一切ございません。私に転院の意思がないことを、大谷先生にお伝えしたい思いだけです。院長先生から大谷先生に上申していただきたいと存じます。

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クレームのお手紙を書くなんて初めての経験だった。しかも目上の人に対してである。尊敬語と謙譲語が錯綜する。ムズイ、ムズすぎる。

「”拝啓”とか”敬具”とか書くんか?」

まずはそこからである。ググったところ、クレームには季節の話題や挨拶は不要とあった。いきなり要件から入るものらしい。

手紙の内容について、山本先生から「こんな感じで行け」と指示があった。
・時系列を明確に分かりやすく整理すること
・「私は病院と争う気は無い」と明記すること

皮膚科を登場させると時系列がややこしくなる気がした。あえて割愛したが、改めて読んでみると事実と違ってしまったので良くなかったかもしれない。しかし久しぶりに長文を書いたわたしの脳みそは、オーバーヒートしそうだった。
「だいたいの流れは同じ!OK、OKもう知らん!」
開き直って手紙をA4にプリントアウトし、茶封筒に入れて家を出た。

相談窓口でこれを手渡したら、その後は自分の力ではどうにもできなくなる。仕組みの分からない装置が勝手にスタートするようなものだ。胸の中がぎゅっと締め付けられた。

病院に行く前に、八幡竈門神社にお参りに行く。
(何でこんなことに…)
泣きたい気持ちをこらえて、わたしは別府病院へと向かった。

「ご用件は?」
相談窓口の担当者がわたしにたずねた。わたしは茶封筒を見せながら言葉に力をこめて言った。
「クレームです!これを院長先生に渡してください!」
窓口の担当者はポカンとしていた。わたしはさらに言葉を続けた。
「あの、必ず院長先生に渡していただけますよね?郵便のほうがいいかな?と思ったんですけど…」
「院長に渡すだけでいいんですよね?それならかならず渡します。大丈夫です」
担当者はオロオロした様子だった。わたしは、手紙を担当者に手渡すと病院を後にした。

温泉好きが高じて20年以上暮らした東京から別府に移住しました。九州の温泉をもっと発掘したいと思っています。応援よろしくお願いします。