もり真梨

「詩とメルヘン」という雑誌の愛読者でした。虹の🌈世界にいるような、やなせたかしさんの絵…

もり真梨

「詩とメルヘン」という雑誌の愛読者でした。虹の🌈世界にいるような、やなせたかしさんの絵に見惚れ、白い鳥やコスモス、四つ葉のクローバーに青い空‥‥「詩とメルヘン」のそんな爽やかなポエムを読んで育ったはずなのに。私の詩はなぜこんなに下品なのか。どこかで道を間違えました。

最近の記事

「白髪」

「あと三年して五十のババアになったら、お前のアソコ真っ白だな」 駅まで送ってくれる運転席で あなたは私の白くなり始めた陰毛の話をした 私はうつむいて苦笑い 今日 呼ばれたのはセックスのためだけ 二ヶ月前にふられたのに 呼ばれて私は上野のホテルに行った たるみ始めた四十路の身体を あなたがまた抱きたくなったのは まだ油があるかと探したライター まだ賞味期限があるかと開けた缶詰 手にしてみたら油はないし食えなくて 八つ当たりのように私の陰毛をバカにする 私が五十路になり それで

    • 「飼育小屋」

      小学五年の時に担任の佐藤先生が胸を触った みんな跳び箱の練習をしていた 先生は私だけ呼びつけ 「おまえは飛んだ後の姿勢が悪い」と言って なぜか胸に手を伸ばした 先生の口はタラコみたいに光ってて 並びの悪い歯が見えた そして私の乳房をぽろんとピアノ弾くように 簡単に触った 跳び箱の列に戻ると 仲良しの優子ちゃんが目をそらし 直也君が汚い物のようにじっと胸のあたりを見る 何か私が悪いことをしたようで 思わず駆け出し飼育小屋の裏に隠れた 勢いよく走ってきたせいで ニワトリが飛び回

      • 「のほほんと」

        あなたは中絶手術は二度目ですね もう繰り返さないほうがいい そう口にしないかわりに 医者は麻酔の量を減らした 「はい1からゆっくり数を教えて下さい」 注射器がチクリとしてから8で暗闇にストンと落ちた 固いベッド まぶしい天井 私は急に目が覚めた 痛い 痛いよ 医者が今まさに 私の股の間を覗き込み ざくりざくりと冷たい器具で掻き回す もうするな もうするな この痛みを忘れるなと 子宮から胎児が落ちてくる さっきまで優し気に微笑んでいた看護婦が 目を吊り上げ私の腕を押さえ込む こ

        • 「幸せのあかし」

          亭主の浮気なんつうのは 帰りを待ってさ パンツの中の匂いを嗅いだらわかるのさ 一日汗をかいた下半身は陰干しの湿った雑巾の匂いがするもんさ それはとっても愛しい匂いで 仕事して汗臭いから愛しい この匂いがあたしら家族を養ってんだ でも今日の父ちゃんのおちんちん ソファーで寝転がりイビキかいてるパンツ下ろしてみたら ティシュが張り付いてて匂いもしない 頭が真っ白になったさ 父ちゃん外で何してきたんだい あたしはいろんな妄想してさ 父ちゃんの寝てる側でやけ酒飲んだ 叩き起こして問い

          「赤ん坊」

          都営バスに乗る 後ろの女が抱く赤ん坊が泣き始め うるさいっと叫びたくなる でもこらえて、喉のあたりが痛くなる 赤ん坊 それは柔らかで無垢で 全力で守らなければいけない綿毛とわかってて それでもバスの中 盛りがついた猫のような泣き声に怒鳴りたくて 眉間をよせてぐっとこらえた あああ あの人の赤ん坊が産みたいの私 産みたいのに産みたいのにもうダメなの私 たくさん愛を準備できるのに 実のつかない枯木のような四十女だから うるさいよ、うるさいよ赤ん坊 私の欲しい愛をいっぱい含んだ泣

          「赤ん坊」

          「二階の部屋」

          小学校の頃 二階のお客様の部屋でよく自慰をした 大きな炬燵があって教科書を開いて 窓からは近くの熊野神社の大きな大木が見えて 勉強に飽きてごろんと横になり 大木を見ながらスカートの中に手を入れる 覚えてしまえば簡単な指遊び 階段の下ではお父さんとお母さんとおじいちゃんが喧嘩をしてる みんな喧嘩に夢中で 私にかまう人がいないから 好きな時に自慰をする 色も形もよくわからないおしっこ臭いあそこ 触っていると小豆のように固くなる いじってくれて嬉しいよう 気持ちよくて嬉しいようと小

          「二階の部屋」

          「掃除機」

          その夜は二人で真木よう子が豊満な乳首をあらわにする映画を見て 布団に入ってすぐ 「下の服、全部脱げよ」と言われて まだ濡れていない私の下半身をあなたは求め でもそれは騎乗位で動くのは私ばかりで あなたは手を伸ばし私の乳首をつねるだけ 汗ばんでぐったりした私が腰を離すと 今度は髪を掴み一物を舐めろと言うから 私は口に唾液をためる そして舌を伸ばしいつものように丁寧に舐めあげる なのにその時あなたが手にした携帯が光る やがて画面から女の喘ぎ声が始まり ちらりと卑猥なサイトの画像が

          「掃除機」

                「陰毛」

          化粧もして帰る支度をしている私に ホテルの時間はあと三十分あるからと またベッドに誘うのは好きでもない男 乳首を揉まれ心ならずもよがり声をあげ 男のベルトをはずし一物を嘗めまわす 好きでもないのにこの性交は母性か奉仕か そんなことを考えたらお股が濡れないから 頭を真っ白にする ふいに喉に違和感を感じ唾を飲めば 男の陰毛が扁桃腺にひっかかっている 男はといえば興奮し私に一物を突き刺して快楽の穴に入り込む 私は魚の小骨のようにチクリと刺す陰毛が気になる ああ嫌だ嫌だよう、こんな好

                「陰毛」